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【勉強会レポート】行政の課題を解決する外部人材を登用する方法

作成者: 佐々木健|2026/08/19 1:42:02

先日、issues官民共創勉強会にて、「行政の課題を解決する外部人材を登用する方法」をテーマとしたオンライン勉強会が開催されました。


本勉強会には、株式会社Another works 代表取締役の大林尚朝氏(1日目のみ参加)、同社 執行役員 Public事業部長の犛山創一氏、厚真町まちづくり推進課 企画調整グループ 主査の北川桂氏、京都市行財政局しごとの仕方改革推進室 政策連携団体共創係長の外薗俊輔氏が登壇しました。

主催のissuesは官民共創の促進を目的とし、議員の皆様へ先進事例の共有や学びの機会を提供する中立な立場として本レポートをお届けします。


このレポートでは、ご多忙のため勉強会にご参加いただけなかった地方議員の皆様へ、労働人口不足や行政組織における専門人材不足に関する社会課題にフォーカスした当日の主要な内容を、具体的な事例と質疑応答の内容を踏まえてお伝えします。

1. 日本が直面する労働力不足と行政組織の現状

日本全体の人口減少と労働力不足が進む中、自治体経営における人材確保は主要な課題となっています。

  • 人口減少の動向:年間で約90万人の人口が自然減しており、これは和歌山県や香川県の県人口に相当する規模です。
  • 労働力の不足予測:2040年には約1,100万人の労働力不足が発生すると予測されており、これは東京都23区の人口規模に匹敵します。
  • 行政組織への影響:人口減少が進む中で、複雑化する行政課題に対して公務員のみのマンパワーで対応することは困難な局面を迎えています。

従来の行政運営では、職員の新規採用や民間への業務委託が中心的な手法でした。

しかし、地方部を中心に採用が難化している点や、予算規模による委託費用確保の限界といった課題が存在します。 こうした背景から、定住人口の奪い合いではなく、仕事を通じた「関係人口」の創出や、専門的知見を持つ外部人材を共有・活用する手法が着目されています。

2. 行政における外部人材(複業人材)登用の役割と特徴

行政組織内に外部の専門人材を「複業」という形で受け入れる手法は、職員による直接業務と企業への民間委託に続く「第三の選択肢」として位置付けられています。 外部人材の関わり方は、支援の形態と提供される能力によって主に以下の分類に整理されます。

  • 伴走支援型:職員と協議を重ねながら課題抽出や戦略設計、業務推進を共に行う手法。
  • 業務発注型:仕様に基づいて特定の専門業務を外部の個人に個別発注する手法。

外部人材の登用により、短期間での課題解決だけでなく、プロジェクトを通じて職員へ専門ノウハウが伝承され、組織内のスキルアップにつながる効果も確認されています。また、参画する個人側も報酬のみならず、地域貢献や経験蓄積を目的として参加する傾向が見られます。

3. 外部人材導入の具体的な自治体事例

勉強会では、実際に外部人材を取り入れた自治体の取り組み事例と数値変化が共有されました。

  • 徳島県海陽町(職員採用の強化事例)

    職員採用試験の応募者数低迷(2022年度は4名)に対し、民間の人事専門人材を登用しました。

    現状課題の洗い出しから戦略設計を行い、PR用の記事作成やオンライン説明会の工夫、採用動画の公開などに取り組んだ結果、2023年度の応募者数は18名へと増加しました。

  • 北海道厚真町(広報・情報発信の強化事例)

    人口約4,200人の同町では、地域活性化企業人制度などを活用し、延べ20名の外部人材を受け入れてきました(現在12名が稼働中)。


    SNS発信における運用方法のアドバイスを受けたことで、公式Facebookのフォロワー数が約5,500〜5,600人から6,200人以上へ拡大しました。契約期間終了後もノウハウが庁内に残され、職員主導での運用体制が構築されています。


  • 石川県能登町(EBM・効果測定の事例)

    設置された巨大モニュメント(イカキング)の経済効果算出において、民間の専門家が参画し、根拠に基づく行政推進(EBM)の領域で職員とともに算出作業を行いました。


4. 外部人材登用における制度活用と費用構造

外部人材の登用にかかる費用は、個人への「人件費・報償費・委託費」と、募集等に係る「採用費・システム利用料」に分かれます。

  • 特別交付税措置の活用:総務省の「地域活性化企業人(複業型)」制度等を活用することで、財源確保が可能です。
    • 人件費・報償費部分:10/10(上限100万円)が特別交付税措置の対象となります。
    • 採用・募集費用部分:1/2(上限100万円)が特別交付税措置の対象となります。

      ※補助金の活用に関しては自治体によって異なる場合があります。
  • 導入にあたってのプロセス:導入に際しては、庁内の課題感を明確化する「要件定義」が重要となります。求めるスキルを事前に整理した上で公募を行うことで、ミスマッチを防ぎ、人材の確保につなげることが可能です。

5. 質疑応答やハイライト

質問:国の特別交付税措置について、現在導入されている自治体のうち交付税措置を受けている自治体はどのくらいありますか。また、システム利用料や委託料などの採用費用についても交付税措置の対象となりますか。

  • 回答:現在制度を利用している自治体は20〜25程度です。本制度は三大都市圏以外の市町村が対象であり、複業型が令和6年度から開始された制度のため順次導入が進んでいます。募集前に要する経費(プラットフォーム利用料や採用媒体費等)についても、1/2(上限100万円)の交付税措置対象に含まれます。

質問:これまでに自治体とどのような分野・プロジェクトで連携されていますか。分野別の割合やユニークな事例があれば教えてください。

  • 回答:DXが約2割、広報が約2割で全体の約4割を占めており、次いでふるさと納税、計画策定業務、産業振興分野などが続きます。ユニークな事例としては、石川県能登町のモニュメント(イカキング)に関する経済効果算出において、民間の専門家がEBMの領域で算出した実績があります。

質問:自治体に外部人材を登用する際、個人情報の取り扱いや情報の秘匿などの管理はどのようにマネジメントされていますか。

  • 回答:自治体と個人との契約内に必ず秘密保持事項を盛り込んでいます。また、個人情報(DXの三層分離における最下層の領域等)については提供しない範囲で業務を委託するなど、自治体側で情報規制を行いながらプロジェクトを進める体制を整えています。

質問:求める人材とのマッチング割合や、稼働後にスキルや実情に開きがあった場合の対応、勤務形態について教えてください。

  • 回答:課題の要件定義を事前に行い、不在の職種(建築士や士業など)を明確化して公募するため、人が集まらない事例はありません。万一スキルが合わない場合は、業務委託の特性上、プロジェクトの変更も可能です。勤務形態は最初に現地訪問を行い、以降はオンラインで対応する形式が一般的です。

質問:市外の人材を活用することで、地域の事業者や専門人材との競合(民業圧迫)を懸念する声はありませんか。

  • 回答:現時点でそのような懸念やハレーションの声は発生していません。地域の事業者に依頼している業務ではなく、従来市外の事業者に発注していた計画策定や広報物作成などの業務を個人に置き換えるケースが多いためです。地域の事業者における複業活用は今後のテーマとして捉えています。

質問:人口10万人規模の中核都市などでの活用事例はありますか。

  • 回答:中核市や都道府県、政令指定都市(政令指定都市の約40%)でも導入実績があります。人口規模の小さい自治体では伴走支援型が多い一方、規模の大きい自治体では広報の動画撮影や写真撮影などの専門業務を専門個人へ個別発注する(例:神戸市で広報クリエイティブ業務等に約40名登用)手法が見られます。

6. まとめ

人口減少に伴う労働力不足や行政課題の複雑化が進む中、自治体単独での人材確保や大規模な業務委託のみに依存する体制には限界が生じつつあります。

専門的な知識を持つ外部人材を組織内に受け入れる手法は、特別交付税措置の活用を通じたコストの最適化にとどまらず、庁内へのノウハウ定着、職員のスキルアップ、さらには新たな関係人口の創出に寄与します。外部人材の柔軟な登用は、持続可能な行政経営と地域課題解決に向けた有効な選択肢の一つとなります。


自治体規模に応じた具体的な対策シミュレーション

皆様が活動されている自治体の地域特性や予算規模に合わせた、より具体的な先進事例の共有と課題解決の無料相談会(ミートアップ)を実施しています。
個別相談をお申し込みいただいた皆様には、本勉強会のアーカイブ動画を共有いたします。
動画を事前にご覧いただき、あらかじめ自治体の担当課と地域の現状や課題感についてコミュニケーションを取っていただいた上で相談会(ミートアップ)ご参加いただけますと、当日はより地域の実情に即した有意義な情報交換が行えます。
域の社会課題解決に向けた具体的なステップとして、ぜひこの機会をご活用ください。
個別相談の予約リンクは以下からご確認ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
issuesでは、今後も議員の皆様の地域課題解決の一助となるような情報発信や勉強会を実施してまいります。