issues|イシューズ ブログ

【3分で分かる】自宅介護と自治体のサポート~4つの事例~

作成者: 高松陽子|2024/02/29 4:39:29

「家庭で介護している方を自治体として支える事例を知りたい」

介護離職、高齢者の介護を高齢者が行う老老介護、高齢の認知症患者の介護を認知症である高齢者が行う認認介護など、社会的な問題になっています。

さらに介護の現場がきついという理由で、介護職の離職も後をたちません。介護職がいるから自宅介護ができているケースもあります。

この記事では、自宅介護を行う住民へのサポート事例3例と、介護事業所への支援事例1例をご紹介します。

最後までお読みいただくと、 お住まいの自治体で活用できるヒントが得られますよ。

 

2025年問題はすぐそこに

2025年問題とは、団塊の世代である昭和22年〜昭和24年生まれのすべての方が75歳以上になることで起こりうる問題のことです。

令和7(2025)年には、日本の総人口の約18%が75歳以上になるといわれています。

介護が必要な方は増える一方、少子化で介護の担い手は減少。介護問題は待ったなしの大きな課題です。

●「2025年問題」をご存じですか - 高槻市ホームページ

【神奈川県茅ヶ崎市】認知症高齢者を介護する家族へのGPS貸出

神奈川県茅ヶ崎市では、認知症の方を在宅介護している家族に、GPSの貸し出しをしています。

対象は、65歳以上で行方不明になる可能性のある認知症患者の家族。

万が一、行方不明になったとき、パソコンやスマートフォンから専用サイトにアクセスして、位置情報を確認できる仕組みです。

自治体が企業と契約していて、月額1320円(税込)で利用できます。

またGPS以外にも、SOSネットワークも整備。

あらかじめ認知症の方の写真を登録しておいて、万が一行方不明になったとき、警察も動員して捜索できるようにしています。

●認知症等行方不明高齢者家族支援サービスについて

【鹿児島県鹿児島市】自宅での理容・美容サービスの提供

鹿児島県鹿児島市では、寝たきり高齢者の家庭に理容・美容師が訪問して、カットや洗髪などを行ってくれるサービスを導入しています。

対象は要介護3以上の65歳以上。
※要介護3というのは、日常生活にほぼ介助が必要な状況。

訪問理容・美容師さんは、寝たきりの方のカットのプロフェッショナルなので、身体に負担がかからないようにカットしてくれます。

寝たきりの状態であっても、身だしなみを整えることは衛生的にも、気持ちが前向きになるという意味でもメリットは大きいです。

●寝たきり高齢者の方へ|鹿児島市

 

【高知県いの町】介護する人を支える家族介護支援金

高知県いの町では 、在宅介護している家族に介護支援金が支払われます。 

他の自治体のとの大きな違いは「要介護2」から支給されること。他の自治体では要介護4~5とする自治体が多いです。

※要介護2は身の回りの管理が困難で、生活をするうえで見守りや介助が必要な状態です。

常に介護を必要とする高齢者のそばにいて介護することは、とても大変なこと。

介護者を支援する制度がちょっとした支えになりそうですね。

●家族介護支援金

【東京都港区】介護ロボットで介護職員をサポート


東京都港区では、介護事業者へ介護ロボット購入の補助金を出しています。

介護ロボットは、介護が必要な方の自立支援や、介護する側の負担軽減に役立つロボット機器です。

移乗や移動、排泄支援などを行います。

補助を受けたい事業所は港区の設ける相談窓口で、介護ロボット・ICTなど事業所の規模にあった機器を相談します。

1事業所あたり上限は400万円です。

●港区介護ロボット等導入支援事業について

●介護ロボットとは

訪問介護の基本報酬引き下げ~2024年度介護報酬改定~

3年に1度見直される介護報酬。2024年度の改定で、訪問介護の基本報酬が「引き下げ」になります。

もともと訪問介護は、2021年の時点で4割が赤字経営(独立行政法人福祉医療機構調べ)。

さらに2023年は倒産が60件と、過去10年で一番倒産数が多かった(2023年東京商工リサーチ調べ)という結果がでています。

改定後の介護事業者の動向に注目です。


●Research Report - 2021 年度(令和 3 年度)訪問介護の経営状況について

●2023年の「訪問介護事業者」倒産が 60件に急増 ヘルパー不足や物価高、競合で過去最多を更新 | TSRデータインサイト

「介護」は生活の一部だから、利用者に寄り添った支援を

この記事では、神奈川県茅ヶ崎市のGPS貸し出し、鹿児島県鹿児島市の訪問理容・美容、高知県いの町の介護支援金、東京都港区の介護ロボット購入支援についてご紹介しました。

自宅介護は生活の一部です。だからこそ介護を受ける側、提供する側に寄り添った支援が必要です。

ぜひお住まいの自治体で参考にしてみてくださいね。