「子ども・子育てに優しい社会って何だろう?」
子ども家庭庁が2023年6月から7月にかけて「子ども・子育てにやさしい社会づくりのためのニーズ調査」を行いました。
その中では20代から40代の子育て世代のリアルな声が寄せられています。
この記事ではその調査結果をご紹介します。
子ども・子育てにやさしい社会づくりのためのニーズ調査について│こども家庭庁 2024
こども家庭庁は「子どもと一緒にいるときに、不便を感じたり、周りからの理解や配慮が欲しかった」ことについて意見を募集して、3400名の回答がありました。
性別は回答者の8割が女性で、年齢は回答者の9割以上が20~40代。特に多いのは30代の6割でした。
また、末子の年齢は1歳が最多の2割で、妊娠中から1歳までの合計が全体の約5割でした。
「子どもと一緒にいるときに、不便を感じたり、周りからの理解や配慮が欲しかった場面を教えてください」という質問に対して、多かった回答は、
1.働いているとき 21.9%
2.公共交通機関を使った時 21.5%
3.スーパーやショッピングモール、お店に行ったとき 12%
また、「周りから欲しかった理解や配慮の内容」については、
1.子どもや子ども連れ、ベビーカーでも移動しやすく使いやすい施設の整備 22%
2.子どもや子ども連れに対する、周りの方の寛容な姿勢やちょっとしたサポート 21%
3.子ども連れの様々なニーズに応じたきめ細やかなサービス 11%
という結果でした。
働いているときに周りから欲しかった理解や配慮については、
・時短勤務や急病時の早退など、同僚への負担の気にして制度を使いづらい
・有給や看護休暇の日数が全く足りない
・実家が頼れない状況なのに、病児保育も予約できない
・ファミサポ・一時保育などの各種支援の申請手続きが煩雑で使いづらい
・子育て中は働き方の自由度を高めて欲しい
・妊娠したら遠回しに辞職するようにいわれた
・知らない人に幼いのに保育園に預けてかわいそうと言われショック
・会議が夕方に設定されて困る
などが寄せられました。
公共交通機関を使ったときに多かった要望は、
・エレベーターがない・遠い駅が多く大変
・タクシーにもチャイルドシートを付けてほしい
・バス乗車の際、赤ちゃんを抱っこしながらベビーカーをたたむのが大変
また、子ども連れに対する周囲へ寛容な姿勢を希望する意見も多く
・電車の中で車いす&ベビーカーのスペースを譲ってくれない方が多い
・泣くことが迷惑になっている意識を変えてほしい。
・子どもが少ししゃべるくらい、許して欲しい
という意見が寄せられました。
スーパーやショッピングモールに行ったときに希望する施設・設備として、
・男子トイレにもおむつ交換台を設置してほしい
・トイレの個室をベビーカーが入れるくらいの広さにしてほしい
・子供の上げ下ろしができる、1台ずつ固定できる自転車置場が欲しい
また、それぞれのお店で決めている子ども連れの優先ルールや呼びかけについて
・優先エレベーターでも混んでいて乗れない
・スーパーに子連れ優先レジがあるが店員・顧客共に配慮してくれず、子供も待っていられず騒いでしまい大変
という意見が寄せられました。
市役所や銀行、病院などでは、子連れに対してきめ細やかなサービスを希望する声が多く、
・子供を⾒ながらの書類の記入が困難。キッズスペースがほしい
・提出書類(予防接種、保育園の入園申請など)が、全て紙ベース。Web対応にしてほしい
・発達相談など丁寧な対応が必要。保健師さんを増やしてほしい
他にも、
・親自身の受診時に預け先がない
・開庁時間を長くしてほしい。利用の際は仕事を欠勤しなければならない。
・マイナンバーと連携してあらゆる手続きを簡素化してほしい
といった希望がありました。
公園で遊んだり、街中を歩いたりしたときは、移動しやすくて使いやすい設備が欲しいという声が多く寄せられました。
・ベビーカーで通りにくい道路や歩道がとても多い
・公園のトイレが汚い・防犯⾯でも心配
・トイレを洋式にしてほしい
・暑い日や雨の日に遊べる場所がない
また他にも、
・ボール遊びが禁止されていて、自由に遊べない
・子どもがたくさん遊んでいる公園でタバコを吸う方が複数人いる
・電動スクーターなど、通常の自転車ではないスピードの速い二輪車が狭い歩道を走⾏している事が多く危険
といった意見がありました。
レストランやカフェでは、子どもと一緒でも使いやすい設備が欲しいという声が多く寄せられました。
・ベビーカーでも⾏ける、ベビーチェアがある、オムツ交換台がある店が増えたら嬉しい
・男性用トイレにもオムツ替え台を設置してほしい
・子連れOKやベビーカーOKなどの表示をしてほしい
また、子ども連れに対する周囲へ寛容な姿勢を希望する意見も多く、
・子供が騒いだり少し大きな声を出してしまっても寛容に受け止めてほしい。ファミレスでさえ周囲の目が気になってしまう。
・アレルギーの子供がいるので持ち込みを許容してほしい
・これから混雑するかもという理由で、子連れの入店を断られた
という意見がありました。
レジャー施設や遊園地、博物館などでは、移動しやすくて使いやすい設備が欲しいという声が多く寄せられました。
・子連れOK表示のある美術館へ⾏ったが、ベビーカーでの入室がNGなゾーンや階段を使わねば⾏けない閲覧室などが多かった
・屋内遊園地が増えれば良い
・男子トイレにもおむつ替え台が欲しい
また、子ども連れに対する周囲へ寛容な姿勢を希望する意見も多く、
・遊園地に未就学児複数と大人1人で出かけると、付き添いの関係で乗り物に乗れないことがある。スタッフのサポートが欲しい
・動物園で最前列の大人がいて、身長の低い子供が動物を⾒ることができなかった。
子供に限らず、車椅子など視線が低くなる人のことを考えてほしい
その他に寄せられた意見として、
・妊娠出産に対する男性の理解が圧倒的に不足している
・育児休業中の手当振り込みが遅く、生活苦となった
・ベビーグッズを無料レンタルしてほしい
・子育てに必要不可欠なオムツやおしりふきは消費税8%にしてほしい
・年少扶養控除復活
・学費無償化希望
・ベビーシッター制度の全国的な普及が必要
・テレビの緊急速報(特に地震)にふりがなをふってほしい
といった意見が寄せられました。
この記事では、子ども家庭庁が行った「子ども・子育てにやさしい社会づくりのためのニーズ調査」の回答結果をご紹介しました。
ハード面、ソフト面で子ども連れに優しい社会は、障害を持つ方や高齢者にとっても優しい社会でもあります。
ぜひお住まいの自治体での参考になさってみてくださいね!