issuesの高松です。
「保育園に入れない待機児童が多い。他の自治体での解決事例を知りたい」
2月は保育園の入園判定がでる時期です。住民から「保育園に入れない。復職できなくて困っている」「待機児童対策、なんとかできませんか?」という意見をいただいている方も多いのではないでしょうか。
待機児童を減らすため、それぞれの自治体で工夫をしています。
この記事では、自治体での待機児童解決の事例と、保育士確保にどのような対策を行っているかをご紹介します。最後までお読みいただくと、お住まいの自治体で参考にできるアイデアが得られますよ。
待機児童とは保育園の利用資格があり、入園を申し込みしても、保育園を利用できなかった未就学児のこと。
2023年4月時点で、全国の待機児童は2,680人。待機児童が多い年代は、1・2歳児で全国で2,280 人、待機児童の85.1%に当たります。
<参考サイト>
●令和5年4月の待機児童数調査のポイント
●「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」を公表します
待機児童が出てしまう理由はさまざま。
・保育人材の確保が難しく、保育園児の定数を増やすことができなかった。
・申込者が予想以上に多かった。
・計画していた園児の利用定員数が足りなかった。
・地域によって保育需要に偏りがあった。
など。
保育需要の偏りを減らす試みとして千葉県流山市の事例、園児の利用定員数を増やす試みとして神奈川県横浜市・東京都品川区の事例をご紹介します。
●「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」を公表します
千葉県流山市では、駅前に送迎保育ステーションを設置して、市内の保育園に子どもたちを送迎する取り組みを行っています。
流山市は子育てしやすい市として、子育て世代の流入が増加。都心から電車で30分という立地の良さもあり、人気のエリアです。
つくばエクスプレスの2つの駅に送迎保育ステーションを設置。
朝、子どもを送迎保育ステーションに預けたら、それぞれの保育園までバスで送ってくれます。
帰りもそれぞれの園から送迎保育ステーションまで送迎してくれるので、親は保育園まで行く必要はなく、駅前でお迎えができます。
親は駅前の送迎で済むので、自宅から保育園の距離を考えずに園を選ぶことができます。そのため立地による園児の偏りがなくなり、保育施設を有効に活用することができるのです。
<参考サイト>
●送迎保育ステーション事業
神奈川県横浜市では、市内の一部の私立幼稚園に2歳児クラスを設置しました。
預かり時間は園によって違いはあるものの、保育園とほぼ同じ時間か、それより短い8:00~16:00など。延長保育を整えている施設もあります。
昼食は自園で調理したり、お弁当だったり、園によって対応は異なります。
希望すれば卒園まで同じ幼稚園で過ごすことができます。
<参考サイト>
●私立幼稚園2歳児受入れ推進事業 横浜市
東京都品川区では、保育園に隣接する小学校の空き教室を保育園の分園として活用し、保育園の利用定員数を増やしました。
品川区立西品川保育園は、小学校の隣にあります。小学校の1教室を、5歳児クラスとして利用。日中は小学校、登園・降園の時間帯は保育園で過ごします。
保育園の広い教室を低年齢クラスにあて、利用定員数を増やし、多くの子どもたちを受け入れられるようにしました。
5歳児クラスは小学校の給食を食べたり、小学生と触れ合う時間ができることで、保育園から小学校への進学がスムーズになるというメリットもあります。
<参考文献>
●余裕教室を活用した保育所整備について
待機児童を考える上で重要なのが「保育士の確保」です。
保育士が離職する理由は、人間関係、給料が安い、仕事量が多いなど。保育士確保のため、それぞれの自治体で待遇改善に取り組み始めています。
例えば、千葉県松戸市では、「松戸手当」という独自の補助があります。
保育園で正規職員として働く保育士へ、園からの給料とは別に松戸市から支給されます。
支給額は勤続年数で変わります。例えば、1年目〜11年目は45,000円、12年目は49,800円〜78,000円。
子どもたちのために頑張ってくれる保育士の待遇改善は、早急に解決すべき課題の1つです。
<参考サイト>
●図表1-2-62 保育士として就業した者が退職した理由(複数回答)
●松戸市の保育士確保に関する取組み
この記事では、千葉県流山市・神奈川県横浜市・東京都品川区の事例、保育士確保に向けた自治体の対策をご紹介しました。
保育園ならどこでも入れればいいだろう、と考える方もいらっしゃいます。
しかし、子どもを預ける保護者としては、園の方針や、子どもの性格と園の雰囲気があうかどうかで保育施設を選びたい、という気持ちもあります。
さらに、保育園での虐待事例もメディアで報じられることもあり、園選びには慎重になる家庭も多いです。
保育施設を増やすだけでなく、保育の質も落とさない対策が求められています。
ぜひ、お住まいの自治体での待機児童解消のヒントにしてみてくださいね。