issuesの高松です!
「不登校児童生徒への最新の支援策が知りたい」メタバースとは、インターネット上に作られた仮想空間のこと。超越を意味する「meta」と世界を意味する「universe」を組み合わせた造語です。
メタバースというと、ゲームで使うイメージが強いかもしれません。
実は引きこもり支援策の一つとして、注目を集めています。
メタバース上に作られた学校に登校し、仲間や教員とのやりとりを通じて、社会や人とのつながりを持ち続けることができるのです。
〇【メタバース×不登校】企業や自治体などによる教育支援の事例を紹介
今の小中学生は、生まれた時からインターネット環境が整い、SNSが身近にある世代です。
身近であるが故に、学校の友達とリアルでもオンラインでも関わらないといけない‥心が休まらず不安に感じる子どもたちもいます。
SNS感覚で使えて、匿名性を保てるのがメタバースなら、登校できない、外出も難しい子供たちも参加しやすいため、全国の自治体にメタバース登校が広がっています。
〇【メタバース×不登校】企業や自治体などによる教育支援の事例を紹介
不登校の子どもたちは、学校に行きたい気持ちがあっても、外出できない、登校できない状況に置かれています。
メタバース登校なら自宅から参加できて、インターネット上ではあっても、「学校に行けた」、「人とつながりを持てている」といった自己肯定感を保つこともできます。
不登校になると、居場所が自宅だけになりがちです。
メタバース登校で、自宅以外に自分の居場所ができて、気持ちが安定するきっかけにもなります。
多様な動画、アプリやソフトを使った学び方など、リアルの学校では経験できないことも、メタバース登校なら体験できます。
メタバース登校は最近始まったばかりの取り組みです。
全ての自治体で取り入れられているわけではありません。
システムの導入、メタバース登校のための教員の確保など、自治体でも導入に向けた予算と準備も必要です。
メタバース登校ではパソコンやタブレットに向かう時間が長くなるため、視力の低下、姿勢が悪くなるなどの問題点が指摘されています。
〇【メタバース×不登校】企業や自治体などによる教育支援の事例を紹介
〇「メタバース登校」という新たな取り組み 不登校の子どもに活用され始めたメタバース
帯広市では2023年5月から不登校児童生徒の学びの場「ひろびろチョイス」を運営しています。
始まりは、コロナ禍の2年間で80人近く不登校が増えたことがきっかけです。
gigaスクールの整備で、ICTの整備が進んだことから、メタバース登校を導入することにしました。
インターネット環境があれば、自宅や学校内の支援センターなど、さまざまな場所から参加できます。
月曜日から金曜日の10:00〜14:15まで。
午前中は、「個別チョイス」と呼ばれる自分で学びを選択する時間です。
例えば、オンライン学習サービス、帯広市の提供する学習コンテンツで漢字やタイピングの学習、自分の学びたいプログラミングなど。
またメタバース上でも、1人でじっくり学べる部屋、みんなでわいわい学ぶ部屋があり、好きな場所を選ぶことができます。
午後の授業は曜日によって内容がかわります。
月曜日は、学習で分からない内容等をオンラインで個別に教えてもらう日。帯広市内のNPO法人が担当しています。
火曜日は、クラブ活動の日。スポーツクラブ、クッキングクラブ、ボードゲームクラブの3つから選びます。児童生徒の交流の場でもあります。
また月に1回、帯広・十勝のさまざまな人や場所へ行ったり、体験したりする遠足もあります。遠足は人気があり、「外に出られなかったけど、今は遠足を毎月楽しみにしている」と話す子どももいるそうです。
1人ひとりの子どもと向き合おうとすると、必要になるのは人的リソースです。
子どもたちの背景はそれぞれで、支援していこうとすると、支援する側の人数も必要になります。
支援員、相談員を増やして、もっと多様な選択肢を子どもたちに提供したいと考えていて、フリースクールとの連携強化も検討しているそうです。
https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/802/hirobirotyoisu2.pdf
〇メタバースを活用して、不登校児童生徒に居場所と学びの機会を提供|みんなの教育技術
京都市の居場所作りは少しユニークで、VRchatを使った生徒同士の学び、交流の場を作りました。
※京都市と一般社団法人プレプラとの共催。
VRchatはメタバースの1つ。好きなアバターの姿でチャットや音声通話、身振り手振りなどを通じてコミュニケーションを取ることができます。
不登校の問題の一つは「孤独を感じていること」。オンライン上ならば、自宅にいても参加できて、顔出しなしでもコミュニケーションがとれるメリットがあります。
開催期間は2023年9月25日〜10月22日(計15回、各回1時間)、不登校の小中学生12名が参加しました。
内容は多彩で、メタバース文化論、e-sportsチーム運営者からのお話、VRchat上のゲームクリエーターなど、普段なかなか話を聞く機会がないような方ばかり!
参加者からも好評だったそうです。
メタバースを使った学びは広がりを見せています。
この記事ではメタバースのメリット・デメリット、帯広市のメタバース登校、京都市のVRchatによる居場所作りをご紹介しました。
教育にはリアルな対面が必要と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不登校の児童生徒にとって大切なことは、自分が居場所を持つ安心感と、社会とのつながりを持ち続けることです。居場所もつながりもなくなると、学校や社会へ戻ることがより難しくなってしまいます。
社会の多様性が広がる中、教育の多様性も見直さなければいけない時期なのかもしれません。
ぜひお住まいの自治体での参考にしてみてくださいね。