issuesの高松です!
「最新のこども白書の内容が知りたい」
こども白書はこども基本に基づく年次報告書です。
1年間に行ったこども施策の実施状況を国会に提出するため、データを公表しています。
今回は2024年6月21日に閣議決定して国会に提出されたこども白書の概要と、それぞれの重要事項の中から事例をご紹介します。
こども白書は大きく2つのパートに分かれています。
1つ目はこども大綱に掲げた数値目標や指標を含めた現状報告と、こどもをとりまく現状を報告。
さらにこども基本法制定やこども家庭庁設置に至る経緯なども説明しています。
2つ目はこども大綱にそった施策の取組状況について。
その中には国の施策だけでなく、地方自治体やNPOの事例も含まれます。
2022年の出生数は77万人。統計を取りはじめてから過去最小を記録しました。合計特殊出生率も1.26と過去最低です。
こどもたちへのアンケートでは、66%のこどもが「自分の将来への希望」を感じている一方、「国の将来は明るい」と答えたこどもが23%という回答が得られました。
2030年以降、2020年代の出生数の減少に伴い、若年人口が今の倍速で減少する見込みです。
その結果、日本の人口は今の1億2500万人から、2050年に1億人、2060年に9000万人へ減少するとの予測があります。
年間約100万人が減っていくというのは、毎年大都市が1つなくなるようなもの。
2023年12月「こども未来戦略」が閣議決定され、少子化対策に3.6兆円の予算を確保しました。
少子化の1つの理由は「婚姻数の減少」です。
子ども家庭庁では出会いの機会・場の提供を行っている地方自治体へ「地域少子化対策重点推進交付金」で支援しています。
例えば、結婚支援センターがその1つ。
愛媛県の「えひめ結婚支援センター」では、出会いを求めている利用者向けにビックデータを活用したオンラインマッチングシステムを提供しています。
ビックデータから利用者の希望の相手を探すことができるのです。
またスタッフが利用者への伴走型支援で結婚の希望がかなえられるような後押しをしています。
こども施策の総合的な推進│こども家庭庁 2024
こども家庭庁では日本のこども・若者の意識の特徴を把握するため「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」を実施しました。
※調査期間:2023年11月~12月、対象地域:日本と世界4カ国、年齢:13歳~29歳、調査方法:インターネット
「自分自身に満足しているか」という自尊感情を問う質問で「そう思う」と回答した割合は、
・日本:57%
・フランス:75%
・アメリカ、ドイツ:73%
と他の国と比較して低い結果に。
一方で、日本国内でみると2018年の調査よりも約12%「そう思う」が増えており、改善傾向が見られています。
こども施策の総合的な推進│こども家庭庁 2024
政府が講じたこども施策の実施状況を7つのカテゴリーに分けて報告しています。
・こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等
・多様な遊びや体験、活躍できる機会づくり
・こどもや若者への切れ目のない保健・医療の提供
・こどもの貧困対策
・障害児支援・医療的ケア児等への支援
・児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援
・こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組
その中から2つの事例をご紹介します。
香川県高松市のNPO法人「まんまるサポート」では、「こどもの未来応援基金」を活用して、不登校やひとり親家庭のこどもなど、学校や家庭以外の場所での支援が必要なこどもを対象に、学習支援を行ってきました。
継続した学習支援で、
「学びへの集中力が上がった」
「自分の力でできなかった宿題をやり遂げることができて、自身を持って学校にいけるようになった」
「志望校に合格できて、進学の夢がかなった」
と語るこどもたちが増えました。
2024年1月1日能登半島地震が発生し、その2週間後、県立能登高校の教室にこどもたちの居場所「わくわくぷらざ」を開設しました。
開設のきっかけは能登高校の「総合的な探究」の授業で、災害発生時のこどもが安心できる居場所作りについて、探究していたチームがあったことから。
認定NPO法人「カタリバ」の支援を受けながら、高校生自身の手で「わくわくぷらざ」を運営しました。
主な利用は小学生で、連日利用者は30名程。
高校生との会話や、オンラインダンスレッスン、ミニコンサートなどのアクティビティを通じて震災のストレスを発散させて、落ち着きを取り戻していきました。
政府が講じたこども施策の実施状況│こども家庭庁 2024
こども・若者のライフステージ別の重要事項に対する、各府省庁の関連施策の実施状況を掲載しています。
主に3つのカテゴリーに分かれています。
・こどもの誕生前から幼児期まで
・学童期・思春期
・青年期
その中から、学童・思春期のこどもに向けた「いじめ」対策の事例をご紹介します。
大阪府吹田市では、こどものメンタルヘルスやいじめや不登校の防止のため「こころとからだの連絡帳」という電子連絡帳を導入しています。
今までの健康管理は口頭や書面でした。
吹田市内の小中学生2500人に対象に調査研究をしたところ、
・こどもがSOSを出しやすくなった
・学校全体でこどもたちの状況を把握できるようになり、こどものSOSに気が付きやすくなった
・いじめや新規不登校が減った
などの結果が報告されています。
ライフステージ別の重要事項│こども家庭庁 2024
この章では、
・子育てや教育に対する経済的負担の軽減
・地域の子育て支援
・共働き、共育ての推進
・ひとり親世帯への支援
について書かれています。
こども、子育て当事者に優しい社会になるよう、意識改革の取り組みとして「こどもまんなかアクション」の事例が紹介されています。
例えば、
・こどもまんなか応援サポーターになってくださった大手コンビニメーカーとこども家庭庁が協力して、こども食堂を開催。
・大学の学園祭で中学生から社会人が集まり、それぞれの視点で子育ての未来を語るシンポジウムを開催
など。
子育て当事者、こどもたち、地域住民との交流を通して、お互いに理解を深め助け合う社会作りをすすめています。
子育て当事者への支援に関する 重要事項│こども家庭庁 2024
この章では、
・こども・若者の社会参画・意見反映
・こども施策の共通の基盤となる取組
について書かれています。
その中から、こどもの社会参画、意見反映の場である「こども若者★いけんプラス」の事例をご紹介します。
「こども若者★いけんぷらす」には以下の3つの目的があります。
①こども・若者が、政策に対して意見を伝えて、政策を決めるプロセス(過程)に主体的に
参画する機会・場を得ること
②政府(国)が、こども・若者の意見を広く聴いて、制度や政策に反映し、制度や政策をよ
り良くすること
③社会全体にこの取組を広く発信することで、こども・若者の意見を聴くことの大切さにつ
いての理解を広げること
こども若者★いけんプラスには小学生から20代の若者が約4000人が登録しています。
2023年度は27のテーマについて、登録メンバーから意見を集めました(アンケート含む)。
集まった意見は関係する省庁に報告するとともに、審議会などの資料にも活用されます。
こども若者★いけんプラスの運営には、中学生から20代のメンバーも。常にこどもや若者の視点に立ち続けられるよう工夫されています。
意見交換会のあと、こどもや若者からは、
・みんなの意見を聴けて良かった
・ファシリテーターの人が話を自分にふってくれて話しやすかった
などの意見がありました。
一方で開催場所が東京が多く、遠方に住むメンバーからは、東京以外での開催を希望する声もありました。
こども若者★いけんプラスは始まったばかり。集まった意見は、これからの運営に役立てて行く予定です。
こども施策を推進するために 必要な事項│こども家庭庁 2024
この記事では最新のこども白書の概要と事例をご紹介しました。
普通に生活している住民にとって、こども施策は実感しにくい部分もあります。
筆者も2児の母親ですが、こども白書を読んで初めて知った施策も数多くあります。
こども基本法に則ったこども白書ははじまったばかりです。ぜひお住いの自治体でのご参考になさってみてください。