issuesのにしのです。
自民党総裁選が9月12日に告示され、過去最多の9人が立候補を表明しました。
総裁に選ばれる人物は次期首相となり、国政の舵取りを担うことになります。そのため、各候補者がどのような政策を掲げ、地方にどのような影響を与えるのかを把握することは、地域の発展に直結する重要な情報です。
この記事では、候補者の金融・経済政策や子育て政策といった重要な政策分野をわかりやすく整理しました。総裁選の候補者と政策を正確に把握し、今後の政策展開に対する準備を進める一助となれば幸いです。
・63歳:女性
・衆議院奈良2区(当選9回)
・経済安全保障担当大臣(現在)/総務大臣、内閣府特命担当大臣(マイナンバー担当)、党政調会長
・49歳:男性
・衆議院千葉2区(当選4回)
・経済安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(科学技術政策 宇宙政策)、防衛大臣政務官
・63歳:男性
・衆議院山口3区(当選1回)、参議院山口選挙区(当選5回)
・内閣官房長官(現在)/外務大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、防衛大臣など
・43歳:男性
・衆議院神奈川11区(当選5回)
・環境大臣、気候変動担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災)
・71歳:女性
・衆議院静岡1区(当選7回)
・外務大臣(現在)/法務大臣、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)、党女性局長
・68歳:男性
・衆議院岡山5区(当選7回)
・内閣官房長官、厚生労働大臣、内閣官房内閣人事局長、党総務会長
・61歳:男性
・衆議院神奈川15区(当選9回)
・デジタル大臣など(現在)/行政改革担当大臣、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革)
・67歳:男性
・衆議院鳥取1区(当選12回)
・防衛大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣、農林水産大臣、党幹事長、党政調会長
・68歳:男性
・衆議院栃木5区(当選10回)
・党幹事長(現在)/外務大臣、経済産業大臣、党政調会長、選挙対策委員長など
高市氏は、財政出動と戦略的投資を通じて強い経済の実現を目指しています。税率を上げずに税収を増やすため、雇用や所得の向上、消費の改善に取り組み、技術発展を支援する政策を推進する方針です。これにより金融面での安定を図り、将来的な納税者にも利益が及ぶと強調。次世代技術や先端産業への支援を通じて日本の競争力を強化し、食料安全保障やエネルギー自給率の向上にも注力するとしています。地方経済の活性化も重要視し、持続的な成長を目指す姿勢を示しています。
高市氏は、経済的な理由で結婚や出産、進学を諦めることのない社会を目指しています。特に、育児支援や介護離職を減らすための制度改革に取り組む意向を表明。具体策として、家事支援サービスやベビーシッターサービスの利用促進を目的とした税額控除の導入や、女性の健康問題に対する支援体制の強化を挙げています。子育て世代の不安を解消するための制度整備を進める方針も示しました。高齢者や障害を持つ方々が社会参加を続けられるような制度改革も視野に入れており、全世代が安心して暮らせる社会の構築を重要課題としています。
小林氏の金融・経済政策は、経済成長を通じて財政を安定させる「経済優先」のアプローチを採用しています。財政政策においては、力強い経済成長による税収増を目指し、持続可能な財政運営と社会保障の強化を図ります。消費税増税を回避し、経済の冷え込み防止を重視する方針です。「新日本創造計画」や「新デジタル日本」といった政策を掲げ、特に地方への投資を推進します。反動体産業や次世代エネルギー、スマート農業などを通じて地域の産業クラスター形成を促進し、地方経済の活性化に取り組みます。
小林氏は、地方の活性化を通じて子育て環境を整備し、東京一極集中の是正を図る考えを示しています。保育、介護、医療分野の従事者への処遇改善や、年収の壁の解消により、働きやすい環境を創出。これにより、子育てと仕事の両立を支援します。教育への投資にも注力し、幼児教育や高等教育の無償化、奨学金制度の拡充など、次世代の育成に力を入れる方針を打ち出しています。
林氏の金融・経済政策は、中小企業や小規模事業者への支援強化に重点を置いています。賃上げが困難な状況下でも、人手不足解消のためのサポートや事業承継・創業支援に注力する方針です。同時に、最低賃金の引き上げを継続し、物価高による家計負担の軽減を図ります。経済対策では、電気料金やガソリン価格の抑制策を実施し、物価高に対応。地域の活性化と格差是正を目指し、インフラ整備や産業振興を推進します。加えて、GX投資や医薬品供給体制の強化を通じ、持続可能な成長と医療分野での競争力向上に取り組みます。
子育て政策においては、安心して結婚・出産・子育てができる環境整備を重視。育児休業給付の拡充や低所得者への支援強化を進める意向を示しています。正規雇用の推進とともに、リモートワークや副業といった柔軟な働き方を導入し、子育てと仕事の両立をサポートします。男女の賃金格差の是正や、育児によるキャリアの遅れを解消する取り組みにも力を入れる方針です。
小泉氏は、金融・経済政策において日本経済の活性化と新たな産業の創出に重点を置いています。金融政策では、金融資産の流動性を高め、大企業に滞留する資金をスタートアップや中小企業に向けることで、新産業の支援を図ります。同時に、リスキリングを推進し、人材が成長分野へ移動しやすくなるよう労働市場改革にも取り組んでいます。経済政策においては、産業構造の転換と労働市場の流動性向上を目指しています。具体的には、解雇規制の見直しや柔軟な雇用形態の導入、「年収の壁」の撤廃などを掲げています。加えて、テクノロジーの進化に対応した規制改革やライドシェアの解禁も視野に入れています。
小泉氏は、自身の父親としての経験から子育て支援に注力する姿勢を示しています。選択的夫婦別姓の導入をはじめ、結婚後も働きやすい環境を整えるための労働時間規制の緩和、年収の壁の撤廃などを提案しています。これらの政策により、子育て世代が柔軟な働き方を選択でき、家庭と仕事の両立を可能にする社会の実現を目指しています。子どもたちの未来に責任を持つ政治家として、将来世代のために迅速な政策実行の必要性を強調しています。
上川氏は、貯蓄から投資への転換と所得再分配の仕組みを確立し、中間層の拡大を通じて市場の信頼を高める経済成長策を掲げています。令和の財政強靭化に取り組み、持続可能な財政政策によって経済の安定を目指す一方、物価対策の強化と実質賃金の向上にも注力します。成長分野として半導体、ヘルスケア、宇宙産業、ブルーエコノミーを挙げ、イノベーションの促進を図ります。同時に、農林水産業の振興や地域経済の成長、地方空港の国際化、高速鉄道網の拡充にも力を入れる方針です。
上川氏は「誰一人取り残さない社会」の実現を強調し、特に女性や子供の声を政策に反映することを重視しています。WPS(女性平和安全保障)を通じて、女性や子供たちの視点を政策に組み込むとしており、若い世代や家庭を支援する政策を通じて育児における孤立を防ぐ体制の整備にも意欲を示しています。
加藤氏は、日本の長年のデフレと低成長からの脱却を目指し、企業の内部留保活用による賃金上昇を起点とした新たな経済の好循環を提唱しています。企業収益が賃金や設備投資に十分反映されていない現状を改善し、欧米との名目・実質賃金の差を縮小するため、企業の積極的な投資を促す重要性を強調。経済政策では「国民の所得倍増」を掲げ、労働市場改革や雇用の流動性向上、スタートアップ支援、地方への投資促進に取り組む方針を示しています。
少子化対策を危機的な問題と捉える加藤氏は、「給食費、子供医療費、出産費の無償化」という3つのゼロの実現を目指しています。子育て支援や教育、医療、介護などの社会インフラを充実させることで、地域住民の生活を支える提案も行っています。「1億総活躍プラン」の一環として、弾力的な働き方の推進を提案し、子育て世帯や働く親の負担軽減策も視野に入れた政策を展開しようとしています。
河野候補は財政規律を重視し、プライマリーバランスの均衡を優先する姿勢を明確にしています。経済成長による税収増加に頼るのではなく、無駄な予算事業を見直すことで持続可能な財政運営を目指す方針です。金融政策については具体的な金融緩和策の提言は少なく、主に財政収支の管理に重点を置いています。経済政策においては、企業の内部留保をグリーントランスフォーメーションやデジタル化などの社会課題解決に活用する考えを示しています。労働市場改革も推進し、非正規雇用者のスキルアップやセーフティネットの整備を通じて、柔軟な働き方の実現と格差是正を図ろうとしています。
河野氏は小児医療費無償化に関する議論が不十分であったと指摘し、子育て支援策の強化を提唱しています。同時に、デジタル技術を活用した「デジタルセーフティネット」の構築を提案。このシステムにより、行政がリアルタイムで所得データを把握し、有事の際にピンポイントで支援を行うことが可能になると説明しています。困窮する家庭への迅速かつ的確な支援提供を目指す姿勢が見られます。
石破氏は、金融・経済政策においてデフレ脱却と経済成長を重視しています。彼は個人消費の回復が経済成長の要であり、持続的な実質賃金の上昇を目指すべきだと主張します。輸出比率の低い日本経済に対し、産業支援や国内雇用の創出を通じて輸出拡大を推進し、経済再生を図る考えを示しています。加えて、少子化や将来不安が個人消費の停滞を招いているとの認識から、社会保障制度の改革を強調。消費意欲を引き出すための設備投資促進も提案しています。これらの政策を通じ、地方創生も視野に入れた全国的な活力の回復を目指しています。
子育て政策において、石破氏は「親ガチャ」という表現を厳しく批判し、家庭環境に関わらず平等に教育を受ける権利が保障されるべきだと訴えます。特に教育予算の拡充を重視し、OECD平均並みの教育投資を目標として掲げています。女性の権利と子育て環境の改善にも注力し、男女間の賃金格差解消や男性の育児参画促進を提唱。少子化問題については「少母化(母親の少なさ)」が本質的な課題であるとし、女性が意思決定により多く参画できる社会の実現が少子化対策につながるという見解を示しています。
茂木氏は金融・経済政策として増税ゼロ政策を掲げ、経済成長を通じた税収増加を重視しています。成長率1%の上昇で1.4兆円の税収増が見込めるとし、外貨準備金や年金資産の運用を工夫することで、安全かつ効率的な資産運用を推進する方針です。東京一極集中の是正に向けて、地方への半導体製造拠点やデータセンターの誘致を進め、雇用創出や人材育成を図ります。AIや量子コンピュータなどの成長産業への投資拡大により、地方経済の活性化を目指します。同時に、食料安全保障の確立や農林水産業の強化にも注力する考えです。
子育て支援に関しては、追加負担を伴う保険料などを凍結し、新たな財源として「ふるさと納税型の子供基金」の創設を構想しています。この基金では、地方自治体ではなく国の子供基金に対する寄付を募り、子供たちの未来に投資する形を取ります。現役世代の低所得世帯や子育て世帯の負担軽減を図るとともに、余力のある高所得者層に負担を求める仕組みの導入も予定しています。全体として、経済成長をベースにした財源確保と子育て支援の拡充を推進する意向です。
自民党総裁選は、日本の将来を左右する重要な選挙であり、地方議員にとっても無視できない影響を持っています。候補者が掲げる政策は、地域経済や子育て支援、地方自治体の運営にも大きな影響を及ぼすため、慎重な判断が求められます。
この記事が、各候補者の政策を深く理解する一助となれば幸いです。今回の自民党総裁選を通じて、地域と国政の連携がさらに強化され、地域社会の発展に繋がることを期待していきましょう。
【参考資料】
情報BOX:自民総裁選、各候補者の政策一覧 |ロイター|2024
【自民党総裁選】全候補者の出馬表明、政策発表会見まとめ|日テレNEWS|2024