多くの自治体で、地方議員の議員定数削減が叫ばれています。
議員削減にはメリットとデメリットがあります。
議員定数を減らした事例を通じて、それぞれのメリット・デメリットを考えます。
2023年6月9日の大阪市議会の本会議で、定数を81→70に削減する条例改正案賛成多数で可決されました。
次の統一地方選挙から適用され、11の選挙区で1名定数が減る予定です。
議員1人あたりの市民数は3万9千人(もともと3万4千人)。全国政令指定都市の中で、4万4千人の横浜市に次ぐ2番目の多さとなる見込みです。
定員削減になった背景は、「大阪市は人口と比較して議員数が多い」という理由からです。
議員定数を減らすメリットとデメリットについて、ご紹介します。
●維新、議員定数11減へ 大幅削減の条例改正案を提案 大阪市議会
●大阪市議会 議員定数削減の条例改正案可決 「81→70」に
給与や議員活動にかかる経費を削減できて、自治体の財政負担を軽減できます。
財政的に厳しい状況にある自治体には、重要なメリットです。
議員数が少なくなると、意見が集約しやすくなり、今までよりも意思決定が早くなります。
その結果、実証実験や本格稼働までの期間も短くなり、政策実現までのスピードが速くなります。
議員の数が多いと、様々な意見が出てまとめるために、議会自体が長くなりがち。進行が煩雑になることがあります。
定数を減らすことで、より生産的な討論が行われるようになり、議会の質が高まる可能性があります。
今現在、人口減少などで地域の実情が大きく変わりつつあります。
議員定数を見直すことで、実際の人口に見合った適切な議員数を確保できます。
議員の数が減少すると、少数派の意見が議会に届きにくくなり、議会内で十分に反映されにくくなる恐れがあります。
議員1人当たりの仕事の負担が増加して、さまざまな課題に対して、質の高い対応をすることが難しくなる可能性も。
結果として政策の質や効果が低下する恐れがあります。
特定の分野を専門にする議員が減って、それぞれの課題への専門性や技術的知識が低下する恐れが。
これは、特に複雑な問題や専門的な議論が必要な場面で影響が出る可能性があります。
この記事では、議員定数を減らした大阪市の事例と、議員定数を削減するメリット、デメリットをご紹介しました。
議員を減らすことは財政面からメリットはある一方、1人あたりの議員が抱える市民数が増えるなどデメリットもあります。
市民の意見に耳を傾け、将来の自治体の未来を描きながらディスカッションを進めていく必要がありそうですね。