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政治活動のNGまとめ~自分も地域住民も守るためのルール~

作成者: 高松陽子|2024/09/13 2:27:53

issuesの高松です!

政治活動は、地域をよりよくするために重要な活動です。一方で、法律に違反してしまうと住民からの信頼を失い、ご自身の政治家生命にまで影響を及ぼすリスクがあります。選挙活動や寄附など住民と接点がある部分では特に注意が必要です。
本記事では政治活動で留意すべき点をご紹介します。クリーンな議員活動の参考になりますと幸いです。

政治活動とは?

公職選挙法第139条(政治活動の定義)で政治活動は次のように書かれています。

「政治活動」とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接又は間接の一切の行為をいう。

政治活動には、
・政党活動
・選挙活動
・後援会活動
・その他の政務活動に該当しない政治活動
に分けられており、線引きをしておくことが求められます。活動により、経費として出る場所が変わるからです。また政治家としての活動と、個人としての活動も分けて考える必要があります。

選挙活動で気を付けること

買収

買収は金銭や物品を渡したり、供応接待で票を集めようとすることです。選挙犯罪のうちではもっとも悪質と言われています。実際に金銭などを渡さなかったとしても、約束しただけで違反になります。また買収に応じたり、促した場合も違反です。

買収罪ではきびしい罰則が定められています。候補者はもちろん、選挙運動の責任者などが処罰された場合は当選が無効になることもあります。

戸別訪問

特定の候補者に投票してもらうために、住居や会社、商店などを戸別に訪問することはできません。また特定の候補者名や政党名、演説会の開催についても言って回ることもできません。

あいさつを目的とする有料広告

候補者や候補者の後援団体は、選挙区内の住人に時候、慶弔などのあいさつを目的とする広告を、新聞、雑誌、インターネット(全て有料)に掲載したり、テレビやラジオで放送したりすることはできません。

飲食物の提供

選挙運動で飲食物を提供することはできません。例外は、お茶や通常用いられる程度のお茶菓子や果物です。 また選挙運動員に渡す一定の数の弁当は提供することができます。

署名運動

特定の候補者に投票をするよう(または投票しないよう)にすることを目的にした署名を集めることはできません。

気勢を張る行為

選挙運動で人目を引こうと自動車を連ねたり、人が集まり列を組んで往来することはできません。

選挙後のあいさつ行為

誰であっても選挙後、当選した選挙人に当選祝賀会を開催することはできません。またあいさつを目的とする文書の掲示や配布もできません。

子どもを連れた選挙活動

18歳未満のこどもは選挙運動をすることが禁止されています(例外はポスター貼りなどの単純労務)。

候補者やスタッフと一緒に子どもが同行すること自体は禁止されていません。しかし選挙カーに乗って有権者に手を振ることや、街頭演説で原稿を読み上げることなど、有権者に直接働きかけることはできません。これらは「選挙運動」に当たる可能性があります。

※候補者が自身の子どもを伴って行う活動について、令和5年3月1日に総務省から通知がありました。
詳しくはこちらをご覧ください。

選挙違反したら罰則がある

選挙で違反があると、罰金・禁錮・懲役などの罰則の対象になります。また選挙権の停止などの措置が取られることもあります。選挙権の停止期間中は投票も立候補もできません。

さらに選挙では連座制という制度があります。連座制とは候補者や立候補予定者の秘書、親族など一定の関係にある人が買収などに関わった場合、仮に候補者や立候補予定者自身が関係していなくても、その選挙での統制を無効にしたり、一定期間立候補ができなくなる制度です。候補者だけでなく、候補者に関わる全ての人が、選挙に関する法律を知っておくことが必要です。

政治活動で気をつけたい「寄附」

政治家が守るべきことはたくさんありますが、寄附もその一つです。禁止されている寄附をご紹介します。

政治家からの寄附

政治家から選挙区内の人に寄附を行う事は原則禁止されています。また、有権者が寄附を求めることも禁止されています。

寄附が禁止されている場面の一例です。

・秘書等が代理で出席する場合の結婚祝
・地域の運動会・スポーツ大会への飲食物等の差入
・お祭りへの寄附・差入
・町内会の集会・旅行等の催物への寸志・飲食物の差入
・落成式・開店祝等の花輪
・病気見舞
・お歳暮・お年賀
・入学祝・卒業祝
・葬儀の花輪・供花
・秘書等が代理で出席する場合の葬儀の香典
※政治家本人が結婚披露宴、葬式などに出席して、その場で行う場合は罰則が適用されない場合があります。

政治家の後援団体からの寄附

政治家の後援団体(後援会など)が行う寄附も禁止されています。例外もあり「後援団体の設立目的により行う行事または事業に関する寄附」が該当します。この場合も花輪、供花、香典、祝儀など選挙前の一定期間にはできないので注意が必要です。

政治家の関係会社からの寄附

いずれのケースも寄附はできません。
・政治家が役員を勤めている・籍がある会社が、政治家の名前で寄附を行うこと
・政治家の名前が入った会社がその選挙に寄附すること

政治家等への寄附制限

政治家への寄附は「政治資金規正法」の中で決められています。

1. 量的制限:政治家に渡せる寄附の上限が決められています。

2. 質的制限:誰が寄附できるかが決められています。

3. 国や地方公共団体との関係:国・市区町村と請負の関係にある場合、その仕事に関連する選挙に対して寄附が禁止されています。

政治資金規正法に基づいた資金管理

「政治資金規正法」では政治活動の資金の流れ、支出の流れを明確にして置かなければいけません。情報公開して公正な政治活動が行われているか誰が見ても分かりようにしておくようにしましょう。

★こちらも合わせてご覧ください。
政治資金規正法を正しく理解しよう!歴史や概略をわかりやすく解説

 

クリーンな政治活動を続けるために

この記事では、政治活動で禁止されていることをご紹介しました。

違反があると、政治家本人だけでなく、後援会や選挙区内の住民など、多くの人を巻きこむことになります。有権者はクリーンな政治を望んでいます。ぜひ日々の活動の参考になりますと幸いです。

<参考資料>
議員活動のコンプライアンスと 政務活動費│地方自治研究機構実務講習会 令和3年
選挙違反と罰則│総務省
候補者が自身のこどもを伴って行う活動について │総務省 令和5年