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選挙告示前の活動に要注意!違法にならないための事前行動ガイド

作成者: にしのやすひろ|2024/09/11 4:38:48

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選挙への立候補を考えている方、または既に立候補を予定している方々にとって、公職選挙法の正しい理解は必要不可欠です。特に、選挙告示前の政治行動は事前運動と見なされるリスクがあり、慎重な対応が求められます。

違法行為は、罰則の対象となるだけでなく、候補者としての信頼を大きく損ないかねません。本記事では、選挙告示前に注意すべき行動や、公職選挙法に違反しないための具体的なガイドラインを提供します。法律を守りながら、正しく選挙運動を進めるための重要なポイントを詳しく見ていきましょう。

公職選挙法が定める選挙運動と政治活動の違い

選挙運動とは何か?その定義を理解しよう

まず、選挙運動とは何かを理解することが重要です。公職選挙法では、選挙運動を「特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として投票行為を勧める活動」と定義しています。この定義から分かるように、選挙運動は特定の候補者を支持し、その当選を目的とした活動に限られます。

選挙運動は、選挙告示日から投票日前日までの限られた期間内でのみ行うことが許されています。この期間を逸脱して行う選挙運動が事前運動と見なされ、違法となります。

選挙運動には、例えば次のような活動が含まれます。

  • 街頭演説や個人演説会での支持訴え
  • 選挙運動用ポスターやビラの配布
  • 選挙運動用車両からの候補者名の連呼

これらの活動は、告示日以降に限られて許可されているため、告示前に同様の行動を取ることは法的に問題となります。

政治活動と選挙運動の混同に注意!違反を避けるために

一方、政治活動は「政治上の目的をもって行われる一切の活動」を指します。選挙運動も広義では政治活動の一部ですが、公職選挙法ではこの二つを明確に区別しています。選挙運動は特定の候補者の当選を目的とするものであるのに対し、政治活動はより一般的な政治的な目的を持つ活動です。

政治活動には、例えば次のような活動が含まれます。

  • 政策の普及活動
  • 政党の活動内容を知らせる広報
  • 一般的な政治的な集会や演説

政治活動は選挙運動の期間外においても行うことができます。ただし、選挙運動と誤解されないよう十分に注意を払う必要があります。例えば、選挙告示前に候補者の名前や写真が入った「のぼり旗」や「プラカード」、「たすき」、「ポスター」などを使った活動は、選挙運動と見なされる可能性があります。

そのため、政治活動を行う際には候補者個人の名前を強調しないことが重要です。例えばポスターを掲示する場合、複数の弁士の名前が記載された文書や図画であり、政党や政治団体(後援団体を除く)の活動として掲示されていれば、政治活動として認められます。

選挙告示前に絶対にやってはいけない事前運動

告示前の選挙運動がなぜ違法なのか?

選挙運動は、公正な選挙を確保するために厳格に規制されています。選挙運動を告示日から投票日の前日までに限定することで、すべての候補者が平等な条件で有権者に訴える機会を得られます。

この期間外に選挙運動を行うと、他の候補者に対する不公平が生じ、選挙の公正性が損なわれます。これが、事前運動が違法とされる主な理由です。

公示前の選挙運動が発覚した場合、公職選挙法違反として厳しい罰則が科さtれ、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

具体例で理解する!事前運動として禁止される行為

では、これまでどのような事案が「公示前の事前運動」に該当し、警告を受けてきたのか、具体的な事例を見ていきましょう。

一例では、参議院選挙の告示前に、政治活動用の自動車で「〇〇を擁立します。〇〇にご声援をお願いいたします」と呼びかけた事例や、立候補予定者が懇親会で「大切な選挙がございます。私も出る予定でございます」と投票を依頼したケースが、事前運動だと判断されています。

また、スーパーの買い物客に対し「今度の選挙では〇〇をお願いいたします」と後援会入会申込書を配布したケースも、公示前の選挙活動であると判断され、警告を受けています。

最近では、ある衆議院議員が選挙告示前に、投票を呼びかける選挙はがきを自身の出身大学の卒業生らに送ったことで、公職選挙法違反の罪に問われた事例がありました。

この事例では、そのはがきを送った相手が「支援者」なのか、それとも規制対象となる「不特定多数の有権者」なのかが争点となり、一審では罰金30万円の有罪判決がくだされました。

政治活動の範囲内でできることとその注意点

選挙告示前でも、適切な政治活動は合法であり重要です。政策の広報や政党の活動を知らせることは自由に行えますが、選挙運動と誤解されないようにすることが不可欠です。

候補者個人の露出に注意

特定の候補者の名前や写真を前面に出すと、選挙運動と見なされる可能性があるため、注意が必要です。候補者個人ではなく、政策や政党に焦点を当てることで誤解を避けることができます。

選挙管理委員会への確認

政治活動を開始する前に、選挙管理委員会に活動内容を確認することをおすすめします。これにより、違法行為のリスクを最小限に抑えることができます。たとえば、駅前での街頭演説やのぼり旗の掲示は、選挙運動と誤解される可能性が高いです。演説を行う際には、あらかじめ選挙管理委員会に内容を確認し、誤解を招く行為を防ぎましょう。

選挙活動と政治活動の違いを理解し慎重な行動を

選挙告示前の行動は、法律に違反しないよう慎重に行う必要があります。選挙運動と政治活動の違いを正確に理解し、告示前に違法な事前運動を行わないことが極めて重要です。違法行為は選挙結果に影響を与えるだけでなく、議員としての将来にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

公正な選挙を実現するためには、法律を守り、正しい知識を持ち、慎重に行動することが不可欠です。この記事が、選挙に臨む皆さまの公正な活動に役立てば幸いです。

【参考資料】
選挙Q&A(選挙運動と政治活動) |東京都選挙管理委員会|2024
現行の選挙運動の規制|総務省|2024
京都市:よくある質問(政治活動編)|京都市情報館|2024
やってはいけない選挙運動・政治活動|墨田区|2024