issues|イシューズ ブログ

【勉強会レポート】子どもが生まれ育った環境に左右されない非認知能力育成の方法

作成者: 佐々木健|2026/08/09 23:43:23

先日、issues官民共創勉強会にて、「子どもが生まれ育った環境に左右されない非認知能力育成の方法」をテーマとしたオンライン勉強会が開催されました
今回は、自立の株式会社 代表取締役社長の川崎孝介氏と、自立の株式会社 取締役・保育士の鹿島龍太朗氏をお招きいたしました
主催のissuesは、官民共創の促進を目的とし、議員の皆様へ先進事例の共有や学びの機会を提供する中立な立場として本レポートをお届けします
このレポートでは、ご多忙のため勉強会にご参加いただけなかった地方議員の皆様へ、義務教育前の教育格差および乳幼児期の非認知能力育成に関する社会課題にフォーカスした当日の主要な内容を、具体的な事例と質疑応答の内容を踏まえてお伝えします

 

1. 保育現場を取り巻く環境の変化と「質」へのシフト

  • 子育て環境への投資を行う自治体の動き
    • 全国的に人口減少が進む中、駅前送迎ステーションの整備を実施した千葉県流山市や、主体性を育む保育環境作りに注力する茨城県つくば市などでは、年少人口の維持・増加の傾向が見られます。
  • 「量の拡大」から保育の「質」を高めるフェーズへの変化
    • 保育施設の定員拡大が進んだ一方、利用児童数は2020年をピークに減少へ転じ、定員充足率は低下傾向にあります。
    • 園児獲得競争、物価高騰、保育士確保難などを背景に、保育園の倒産や休廃業解散件数も増加傾向にあります。
  • 保護者の園選択基準
    • 保護者は平均3園の保育園を見学した上で比較・検討を行っています。
    • 保育内容やカリキュラム、保育士の雰囲気、子どもの成長支援環境といった保育の質や中身を重視して選択しています。
  • 今後の求められる対応
    • これからの保育施設および自治体の保育施策においては、選ばれるための質の高い保育環境の整備が求められています。

2. 乳幼児期における「非認知能力」の重要性と教育格差

  • 「非認知能力」への注目
    • 従来の「認知能力(知識・学力・IQ)」に対し、自分で考えて行動する力、協調性、粘り強く取り組む力、自己肯定感といった「非認知能力(生きる力・人間力の土台)」が注目されています。
    • 認知能力はAI技術の発展により代替される可能性がある一方、非認知能力は将来の学力や仕事、人生の幸福度にも影響を与えるとされています。
    • アメリカのペリー就学前プロジェクトなどの長期追跡研究でも、幼児教育を受けたグループは成長後の持ち家率や高校卒業率、年収などで高い数値を示し、大きな社会的効果があることが実証されています。
  • 保育現場におけるおもちゃの現状と課題
    • 1日のスケジュールのうち子どもがおもちゃに触れる時間は1.5〜5時間におよび、重要な環境設備・教材となっています。
    • アンケート調査によると、1クラスあたりのおもちゃの年間予算は5,000円〜2万円未満が約半数を占め、年間で1〜4個程度しか入れ替えられない状況があります。
  • 見えない教育格差の発生
    • 予算をふんだんに確保し質の高い保育で高い申込倍率を得ている施設がある一方で、予算制限により玩具の老朽化やマンネリ化が生じている施設もあります。
    • 同じ地域内でも子どもが育つ設備環境に格差(見えない教育格差)が生じています。

3. 知育玩具の活用と環境整備による解決策

  • 発達に合わせた環境整備とエビデンス
    • 非認知能力の育成には、発達段階に合わせた適切な知育玩具の選定と環境整備が効果的です。
    • 慶應義塾大学等の研究において、知育玩具を定期的に交換して活用したクラスでは、国際的な保育環境評価スケール(ECERS-3)の「活動」スコアが上昇(偏差値換算で約6.13〜6.84の上昇)し、保育環境の質向上や探求心・主体的な学びに向かう力の向上に寄与することが確認されています。
  • サブスクリプション(定額制)活用のメリット
    • 初期費用の抑制: 新品一括購入のような高額な初期費用や買い替え負担を抑え、定額制サービス(「Cha Cha Cha」等)で継続的に発達に合った玩具を提供できます。
    • 現場の負担軽減: 予算管理が容易になるほか、保管スペースの課題解決、破損・紛失時の弁償不要化により、現場の保育士の業務的・心理的負担軽減につながります。

4. 自治体施策との親和性と民間連携の先進事例

  • 障害者優先調達推進法の活用(庁内連携)
    • 知育玩具の定額活用サービス(「Cha Cha Cha」)は、清掃・検品・梱包・発送などの工程を、自社運営の就労継続支援A型事業所の障害のあるスタッフが担っています。
    • 自治体導入時に「障害者優先調達推進法」を活用できるため、保育環境の質向上(保育施策)と障害者の就労機会創出(障害福祉施策)を同時に推進でき、障害福祉課と保育課との庁内連携施策として位置付けられます。
  • 民間施設の導入事例
    • 東京都中央区・小学館アカデミー晴海本園: 長年使用した古いおもちゃや手作り玩具に頼っていた課題に対し、定期提供サービスを導入。
    • 成果: 子どもの遊びへの食いつきや集中力が向上し、約10分で完了する玩具の交換作業により保育環境の整備が効率化されました。

5. 質疑応答やハイライト

  • 公立保育園での導入実績や自治体で推進する際の経緯について
    • 回答: 法人・自治体向け本格展開を今年度(4月)より開始し、茨城県の自治体で公立保育園への導入予定に向けた協議が進行中です。保育課への直接アプローチに加え、障害者優先調達推進法を軸とした障害福祉課から保育課への庁内連携が提案の契機となりました。
  • 非認知能力の数値化や効果測定が難しい中での行政への提案ポイント
    • 回答: 直接の数値化は容易ではありませんが、ECERS-3などの国際的評価指標を用いた研究(慶應義塾大学や学習院大学等の事例)による可視化データやエビデンスの活用が可能です。本質的には大人がどう環境を整えるかが重要となります。
  • 外遊びや自然体験を主とする保育施設に対する位置付け
    • 回答: 自然体験は優先されるべきですが、雨天時や夏場の猛暑時の室内遊び、個々の子どもが室内で過ごす時間に玩具が活躍します。自然体験で育まれる好奇心等と、知育玩具で育まれる論理的思考や課題解決力のバランスをとることが重要です。自治体向けにはお試し期間(トライアル)も設定できます。
  • 障害のある子どもに対応する「特別支援教育プラン」の特徴
    • 回答: 自社運営の放課後等デイサービスの知見を活かし、年齢区分だけでなく障害の種別・重度、医師の診断・検査結果などを事前ヒアリングした上で、個々の特性に合った知育玩具を専門的に選定・提供します。

6. まとめ

  • 「量」から「質」への転換の不可欠性
    • 少子化が進む中、保育行政および保育施設においては、待機児童対策を中心とした「量の確保」から、子どもの成長を促す「質の向上」への転換が不可欠です。
    • 乳幼児期における非認知能力の育成は、将来の人間力や学力の土台となる重要な要素です。
  • 官民共創施策の有効性
    • 知育玩具の定額活用による環境整備や、障害者優先調達推進法に基づく庁内連携(保育×障害福祉)など、予算制約下でも初期費用を抑えて持続可能な施策を導入することが可能です。
    • これらは、自治体における教育格差の解消保護者から選ばれる子育て環境の構築において有効な手段となります。

自治体規模に応じた具体的な対策シミュレーション

皆様が活動されている自治体の地域特性や予算規模に合わせた、より具体的な先進事例の共有と課題解決の無料相談会(ミートアップ)を実施しています。
個別相談をお申し込みいただいた皆様には、本勉強会のアーカイブ動画を共有いたします。
動画を事前にご覧いただき、あらかじめ自治体の担当課と地域の現状や課題感についてコミュニケーションを取っていただいた上で相談会(ミートアップ)ご参加いただけますと、当日はより地域の実情に即した有意義な情報交換が行えます。
域の社会課題解決に向けた具体的なステップとして、ぜひこの機会をご活用ください。
個別相談の予約リンクは以下からご確認ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
issuesでは、今後も議員の皆様の地域課題解決の一助となるような情報発信や勉強会を実施してまいります。