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自然災害のリスクが高まる昨今、地域の防災力向上の一環として注目されているのが「防災士」の存在です。防災士は、地域の防災活動をリードする専門資格であり、その取得を支援する助成制度が各地で導入されています。この記事では、防災士資格取得の流れから自治体による助成制度の概要、そして具体的な事例まで詳しく解説します。防災士の資格取得支援を通じて、地域防災力の向上を目指すための参考にしていただければ幸いです。
防災士の資格は日本防災士機構が認定するもので、「自助」「互助」「協働」を基本原則とし、社会のさまざまな場で減災と防災力向上のための活動を行うための知識と技能を持つ人々を指します。
防災士は地域社会における防災リーダーとして、防災の知識と技能を持ち、災害時には救助活動や被災者ケア、避難所運営などにおいて活躍が期待されています。公的機関と連携しながら災害現場での対応にも当たり、多岐にわたる役割を担います。
インフラが麻痺するような大災害では、警察や消防、自衛隊などの公的支援が迅速に到着できないことも考えられます。住民は公的機関が機能を発揮できるまでのおおむね3日間を、自らの家庭や地域、職場において乗り越えねばなりません。そのため、平時から防災士は自治体やボランティアと協力し、防災意識の啓発や訓練を通じて地域の防災力を高めておく必要があります。
防災士の重要性を理解し、その役割を地域で果たすことは、今後も予想される自然災害に対して極めて重要です。減災と防災力の向上を図る防災士の役割を今一度見直し、資格取得を推進していくことが大切だと言えるでしょう。
防災士資格を取得するためには、まず日本防災士機構が認証した防災士養成研修実施機関が提供する研修講座を受講する必要があります。この研修講座は、日本防災士機構のガイドラインに基づいて構成され、防災や災害対応の専門家が講師として担当します。研修は集合研修形式で行われ、通常2日間の日程で進行します。研修の最後に試験が実施され、30問中80%以上の正答で合格です。
その後、資格取得のもう一つの重要なステップとして、普通救急救命講習を修了する必要があります。この講習では心肺蘇生法やAEDの使用方法など、緊急時の救命処置を学びます。救急救命講習は全国の自治体、地域消防署、日本赤十字社などの公的機関やそれに準ずる団体が主催しています。
資格試験に合格し救急救命講習を修了することで、防災士資格認証登録の申請が可能となります。防災士認証登録申請を日本防災士機構に提出し、各項目の修了が確認されると、防災士認証状および防災士証が交付されます。これにより、正式に防災士として認められます。
防災士資格取得には、防災士教本代や試験受験料、認証登録料など、最低でも12,000円が必要です。また、防災士養成研修講座の参加費は、民間や自治体、大学などの研修機関によって異なり、民間機関では50,000円前後かかる場合もあります。防災士資格取得にかかる費用は決して安くないため、自治体による助成制度は、多くの人々にとって大変有益です。しかし助成対象者の範囲や助成金の額、適用範囲内容は自治体によって異なるため確認が必要です。
例えば、全住民を対象にしている自治体がある一方、自主防災組織からの推薦者のみを対象としている自治体もあります。助成金の額についても、資格取得にまつわる費用全額を補助するところもあれば、研修講座の受講料のみを補助するところもあります。また、年度ごとに助成人数に上限を定めている自治体も多いです。
このように自治体ごとに異なる助成制度は、その地域の独自の差別化政策の一環ともなっています。防災士資格取得にかかる費用の負担を軽減するこの助成制度は、多くの住民にとって非常に有意義な支援です。地域の防災力を強化し災害時に備えるために、ぜひ防災士資格取得助成制度の拡充を検討してはいかがでしょうか。
自治体が行う防災士資格取得助成制度は、地域の防災意識を高め、地域全体の安全を確保するための重要な取り組みです。ここでは東京都目黒区、岡山県玉野市、東京都豊島区を参考に、各自治体がどのような条件で助成を行っているかを具体的に紹介します。
助成対象者 |
目黒区内の町会、自治会、住区住民会議、防災区民組織に属し、防災訓練や避難所運営協議会に携わっている方。組織の長からの推薦が必要です。 |
補助対象金額 |
防災士養成研修講座の受講料、教本代、試験受験料、救命講習受講料、資格認証登録料の全額が補助対象です。 |
備考 |
年度ごとの募集人員は10名で、定員を超えた場合は抽選になります。受講前の申請が必要です。資格取得後に補助金が支払われるため、一時的に費用の負担が必要です。 |
助成対象者 |
市内在住の18歳以上。市内の自主防災組織で活動し、市と連携して地域の防災活動に取り組む方が対象です。また市税をすべて納めていること、他の助成制度を受けていないこと、自らが加入する自主防災組織または自治会及び町内会のいずれかの代表者からの推薦が条件です。 |
補助対象金額 |
防災士養成研修講座の受講料・教本代・試験受験料・資格認証登録料の全額 |
備考 |
受講前に所定の交付申請書を提出する必要があります。受講後の申請は対象外です。 |
助成対象者 |
区内居住で、講座を受講した後に6ヵ月以内に防災士資格を取得し、区の防災活動に協力する意思を持つ方。また、ほかの助成制度を利用していない方が対象です。 |
補助対象金額 |
防災士養成研修講座の受講料全額が対象です。ただし、受験や資格取得に関する費用は自己負担となります。 |
備考 |
2024年度の募集人数は7名ほど。募集人数を超過した場合は、選考によって決定されます。 |
この記事では、東京都目黒区、岡山県玉野市、東京都豊島区の先行事例を通じて「防災士資格取得への助成」について解説してまいりました。これらの自治体をはじめ、多くの地域で、防災力向上を目指して防災士の資格取得を支援する取り組みが展開されています。具体的な事例を参考に、お住まいの地域でも防災士資格取得への助成を行い、より安全で強固なコミュニティ構築を目指してみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
https://bousaisi.jp/license/
https://www.bousaishi.net/application/grant.html
https://www.city.meguro.tokyo.jp/bousai/bousaianzen/bousai/bosaisi.html
https://www.city.tamano.lg.jp/site/bousai/1661.html
https://www.city.toshima.lg.jp/044/bosai/taisaku/shisaku/documents/2204191525.html