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地域医療構想を基礎から解説!誰でも質の高い医療を受けられる自治体を目指して

作成者: 高松陽子|2024/05/14 5:08:24

issuesの高松です!

・地域医療構想って何?
・地域医療構想はどうして必要なの?
・地域医療構想に向けて国からどのような支援があるの?

2025年、団塊の世代が75歳を迎えます。高齢者人口が増え、今後医療や介護へのニーズが高まることが予想されます。

医療が必要な方を取りこぼすことなく、医療資源を効果的に活用するため、地域の特性に合わせた病院機能・病床数などの見直しが必要です。

この記事では地域医療構想の基礎や、国から自治体が受けられる支援についてご紹介します。

 

地域医療構想とは?

地域医療構想とは、高齢化や労働人口減少によって変化する医療ニーズに合わせて、それぞれの地域にあった医療体制を作ろうとする取り組みのことです。

質の高い医療を安定的に、効率的に提供するために、それぞれの医療機関で役割を決めて、地域内で連携して医療を提供していくことを目指しています。

2025年、都市部での高齢者人口が増加する

地域医療構想では、2025年を1つの目標にしています。

理由は、2025年は団塊の世代が75歳を迎える年で、それ以降医療・介護ともにニーズが増大することが見込まれているからです。

しかし、高齢化の状況は自治体によって差があります。

今後65歳以上の人口が増えていくのは、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県、千葉県、北海道、兵庫県、福岡県。これらの自治体で、2025年までの全国の65歳以上人口増加数の約60%を占めることが予想されています。

一方で、地方では高齢化のピークを迎えた自治体もあります。今後高齢者人口、また地域全体の人口が減少していくことが予想されます。

都市部の高齢化が進み、地方では過疎化が進むことに。

このような背景から、自治体の将来の人口動態に合わせた医療供給体制が必要になるのです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001152036.pdf

https://www.ajha.or.jp/guide/28.html

 

医療の役割を4つに分類

高齢住民の割合や地域住民の人口など地域によって必要な医療は異なります。速やかに緊急的な治療が必要なのか、回復期の治療が必要なのか、など。

そこで、地域医療構想では「どのような機能を持つ病院なのか」を明確にするために、病院機能を4つに分類し、「それぞれの機能の病床がどれくらい必要なのか」数を決めていきます。

高度急性期機能
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能

急性期機能
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能

回復期機能
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。
特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)。

慢性期機能
長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能
– 長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000094397.pdf

地域医療構想の自治体の一例

実際に医療の役割を分類し、必要な病床数をまとめた自治体の一例をご紹介します。

●東京都
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/kanren/tokyochiikiiryoukousou.html

●青森県
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/iryo/files/tiikiiyokousou_gaiyou.pdf

●長野県
https://www.pref.nagano.lg.jp/iryo/kenko/iryo/shisaku/hokeniryo/documents/iryokosonagano.pdf

●兵庫県
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf15/iryoukousou.html

●大分県
https://www.pref.oita.jp/uploaded/life/1034995_1264890_misc.pdf

 

地域医療構想のため国から得られる支援

地域医療構想では、質の高いく効率的な医療提供体制づくりや、地域での医療システムづくりが必要です。それらを実現するための費用が国から交付されます。

平成26年から、消費税の増収分を活用した財政支援制度 地域医療介護総合確保基金が創設され、各都道府県に設置されています。

地域医療介護総合確保基金の令和6年度予算案は、公費ベースで1,553億円(医療分1,029億円(うち、国分733億円) 、介護分524億円(うち、国分349億円))です。

都道府県が交付を得るためには「都道府県計画」「市町村計画」といった基金事業計画の策定が求められます。

盛り込む内容の一例として、
○ 基金に関する基本的事項
・公正かつ透明なプロセスの確保(関係者の意見を反映させる仕組みの整備)
・事業主体間の公平性など公正性・透明性の確保 
○ 都道府県計画及び市町村計画の基本的な記載事項
○ 都道府県は市町村計画の事業をとりまとめて、都道府県計画を作成
があります。

https://www.mhlw.go.jp/content/001195663.pdf

 

誰もが安心して医療を受け続けるために

この記事では、地域医療構想とは何か、地域医療構想が必要な理由、地域医療構想の実現に向けて国からどのような支援が受けられるのかをご紹介しました。

赤ちゃんから高齢者までお世話になる病院。病床数、スタッフなど医療資源は有限です。だから、地域で安心して医療が受けられる体制づくりが大切ですね。

地域医療構想は2025年で終わるわけではなく、これから先の高齢社会の日本で引き続き考えていく課題なので、ぜひ参考になさってみてください。