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少子化対策として注目?N分N乗法について調べてみた

作成者: 佐々木健|2023/12/19 4:39:15

そもそも「N分N乗方式」って何?

こちらは、1946年にフランスが第二次世界大戦後の人口減少を改善するために導入された制度になっており、家族の所得を合算し家族構成に応じた除数Nで割って一人当たりの所得を算出する。これに1人当たりの税額をN倍して計算を行います。
累進税率の所得税よりも、子どもの数か多いほど低い税率が適用されて税額も少なくなり、出産の動機づけになるとされています。

 N分N乗方式のメリットとデメリットとは?

メリットとしては支払う税金が減るので、出産に対しての金銭的ハードルを下げることができます。
しかしながら、以下のような懸念点もあります。

高所得世帯に有利

財務省の資料によると、日本では納税者の約6割に最低税率の5%が適用されており、約8割強の納税者に税率10%以下が適用されています。そのためN分N乗方式を導入しても、もともと低い税率の適用を受けている方は減税効果の恩恵を受けにくく、減税適応者が高所得者に偏ってしまうようです。

資料はこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030X00T00C23A2000000/
https://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20230203.html

片働き・共働き世帯で不平等になる

同じ世帯収入600万円の家庭にこの課税方式を適用してみると、『夫:年収400万円、妻:年収200万円』と『夫:年収600万円』を比較した際に減税効果として、夫のみ収入を得ているほうが29万7500円ほどお得になるようです。
日本としては女性の社会進出を促しているところなので、その妨げにならないかというところで政府も慎重に見極める方針のようです。

少子化対策にどの程度効果があるのかはまだ未知数

フランスの出生率は諸外国に比べても高い水準にあるのは事実です。
しかしながら、フランスの子育て政策はN分N乗方式だけではありません。所得制限のない各種子育て手当、子育て世帯への休暇制度の充実など、他にも要因が挙げられます。

現在、適用されている累進課税制度との兼ね合いもあり、ハードルが高い中、導入をしたところでどのような効果が日本で得られるのか・・・なかなか考えなければならないところです。

参考資料
https://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_266/05_kaigai01.pdf

 

いかがでしたでしょうか?
まだまだ、世論としては人口減少における国や自治体の影響がこれから先どんどん進んでいくと思います。少子化は本当に難しい課題だと思いますが、引き続き国や自治体がさまざまな例に習って、いい方向に導いてくれることを祈ってます。