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待機高齢者ゼロへの道|山梨県の実践的アプローチ

作成者: にしのやすひろ|2024/03/19 7:01:35

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高齢化が加速している昨今、特別養護老人ホームの空きを待つ「待機高齢者問題」が各地で表面化しています。この記事では待機高齢者問題が抱える根深い課題や、山梨県が取り組む介護待機者ゼロに向けた具体的な施策について解説していきます。ぜひ最後までお読みいただき、高齢化社会へ向けて避けて通れない課題を解決する参考としてご活用ください。

待機高齢者問題の課題

日本における待機高齢者問題は、社会的な急務課題としてその重要性を増しています。ここでは、進行する高齢化、特別養護老人ホームの入所待ち問題、そして介護による離職の深刻化といった、待機高齢者問題における主要なポイントを振り返ってみましょう。

進行する高齢化

日本の高齢化は、社会に多大な影響を及ぼす進行中の問題です。総務省統計局が公開した『人口推計-2021年(令和3年)3月報-』によると、65歳以上の高齢者は全人口の約29%を占めており、これは4人に1人以上が高齢者であることを意味します。また内閣府が発表した『令和2年版高齢社会白書』によると、特に秋田県では高齢化率が37.2%に達し、2045年には50.1%になると予測されています。

高齢化は避けられないことであり、労働力不足、医療・介護サービスへの圧力増加、そして経済成長の鈍化といった課題への対策が急務とされています。

特別養護老人ホームの入所待ち問題

高齢化が進む中、介護施設への需要は増大しており、特に特別養護老人ホーム(特養)への入所希望者は後を絶ちません。これは特養が一般の有料老人ホームと比べて費用が安いためであり、多くの高齢者やその家族にとって魅力的な選択肢となっています。

厚生労働省の『特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)』によると、令和4年度には27.5万人もの待機高齢者が存在しており、特に都心部では施設数が少ないため、入所待ちの状態が続いています。このような状況は、高齢者の生活の質を低下させるだけでなく、家族の負担増加にもつながっています。

介護による離職の深刻化

厚生労働省の『就業構造基本調査(2012年)』によると、2011年10月からのわずか1年間で介護を理由に離職した人は10万人を超えており、この数字は増加傾向にあります。

この調査によって、親を介護施設に入所させられず、結果的に会社を辞める人が少なくない現状が明らかになりました。働き盛りの世代が職を離れざるを得ない状況の発生は、経済的にも社会的にも大きな損失です。

山梨県による待機高齢者問題への取り組み

山梨県では、特養入居待機者を減少させるための取り組みを独自に進めています。「健康寿命やまなしプラン」は、この問題に対する県の考えを示すものであり、介護待機者ゼロを目指す具体的な計画を含んでいます。このプランは高齢者一人ひとりがその人らしい生活を全うできるよう支援することを核としており、山梨県の未来を見越した持続可能な社会づくりに貢献するものです。

~健康寿命やまなしプラン~

山梨県は、独自の「健康寿命やまなしプラン」を推進しています。この取り組みは、山梨県の高齢化率が全国平均を上回っていることを受け、2040年をめどに高齢者の増加と生産年齢人口の減少を食い止めるために制定されました。

内閣府の『令和2年版高齢社会白書』によると、山梨県の高齢化率は2019年時点で30.8%であり、2040年には41.4%に達すると予測されています。この現実に直面し、県は既存の介護施設の有効活用を図っています。県内の116軒の特別養護老人ホームはその96%が稼働しており、空きがほとんどない状態ですが、併設されているショートステイの居室を特養として利用することや、民間企業が運営する介護付き有料老人ホームの活用・サービス付き高齢者住宅の活用推進が検討されています。

もちろんショートステイ自体も重要な介護サービスであり、そのバランスを考慮する必要があります。また施設面の拡充だけではなく、在宅介護の充実や予防介護の推進も重要項目とし、多角的な視点から介護待機者ゼロへ向けた取り組みが進められています。

介護待機者ゼロに向けた具体的な計画

山梨県知事の長崎幸太郎氏は、介護待機者ゼロを実現するために年間約6億円の追加経費が必要と試算し、決して実現できない数字ではないと見込んでいます。

この財源を確保するためには、自治体資産の効率的な活用が鍵です。山梨県は不動産などの県有資産を活用し、収益力の向上を図る計画を進めています。2020年の全面的な資産評価見直しはその具体的なステップの一つ。専門家や観光関係者とのオンライン会議を通じて、県有資産の価値を高め、収入を増やすための戦略が議論されています。

売却可能な資産を最大限に活用し、民間に貸しているものの賃料を見直すことで資金を確保。それを基金として積み立てることで経費を捻出します。設置する基金は『やまなし教育環境・介護基盤整備基金』とし、介護とともに教育にも当てることとしています。

山梨県の「健康寿命やまなしプラン」は、高齢化社会における課題に対応するための実践的なアプローチであり、山梨県の将来に向けた前向きな一歩です。この取り組みは、他の地域にとっても参考になるモデルと言えるでしょう。

避けて通れない「待機高齢者問題」と向き合おう

この記事では、山梨県の取り組み「健康寿命やまなしプラン」を参考に、待機高齢者問題について解説してきました。介護待機者ゼロを達成させるための具体的な対策を参考にし、ぜひお住まいの地域のヒントとしていただければ幸いです。

【参考資料】
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/index.html
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202103.pdf
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index2.html#kekka
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000157884_00004.html
https://www.pref.yamanashi.jp/chouju/kennkouchoujuyamanashi.html
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/433746/032200058/?P=1