issuesの高松です!
国際的に認めらえた日本の学力の高さは、教員の力で支えられています。
2023年12月に発表された「OECD生徒の学力到達度調査」で日本の学力は、
・数学的リテラシー 1位
・読解力 2位
・科学的リテラシー 1位
という結果でした。
※OECD生徒の学力到達度調査(PISA2022):
子どもたちが将来生活していく上で必要とされる知識や技能が、義務教育修了段階においてどの程度身についているかを測定することを目的としてOECDが実施している調査。PISA2022は世界81カ国・地域から約69万人が参加。
この学力の高さを維持するためには、教員が健康で、元気に働きやすく、さらに教員自身が学び続けられる環境を整えることが大切です。
この記事では、『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について』から、教員の働きやすい環境を整える方法をご紹介します。
授業の準備以外にも、
・不登校、いじめ、虐待、ヤングケアラー、日本語が苦手な外国人の子へのケア
・部活の指導
・書類の多さ
・保護者対応
など、多岐にわたる業務があります。その結果時間外労働が増え、メンタルヘルスの悪化などにつながる結果に。
また「教師はブラックな職場」という認識が若い世代に広がると、教師のなり手が減り、日本の教育が成り立たなくなります。
教員の働き方を変えるアイデアをご紹介します。
今までの学校運営は教師1人でやる「個業」型に頼ってきましたが、今は学校運営にも協働が必要です。
協働メンバーとして、次のような職種があります。
・教員業務支援員:データ入力や集計、各種資料の準備、行事の準備などを行います。2024年度予算においてすべての小中学校へ配置する方の予算が計上されました。
・スクールソーシャルワーカー
・スクールカウンセラー
・部活動支援員
・多様な専門性や背景を持つ教師:優れた知識や経験を持つ社会人(特別免許状)など
・地域住民
・主幹教諭:校長、副校長、教頭といった管理職と各職員のパイプ役(2008年度から制度から制度化)。
2022年に精神疾患で病気休職した教員は約6,500人。これは調査を始めてから過去最多の人数です。
労働安全衛生法では常時50人以上の職員を使用している事業所では
・産業医の選任
・衛生委員会の設置
・ストレスチェックの実施
が義務づけられていて、50人以上の職員がいる学校ではこのような対策が必要なのです。
しかし公立学校の約84%が教職員数50人未満。教職員50人未満の学校では産業医や保健師を選任して、健康管理を行うことは「努力義務」で、公立学校での選任は約7割に留まっています。
それぞれの学校での対応が難しいのなら、教育委員会で医師を任用・選任して、複数の公立学校の教師の健康管理をお願いする方法もあります。
教員にも「11時間を目安にした勤務間インターバル」を取り入れる必要がある、という考え方もあります。
これは、教員が生活時間や睡眠時間を確保して、心身ともにゆとりをもって教育活動を行える、また教員の健康を守るためです。
しかし、子どもたちが登校する時間が決まっていて、教員が前日遅くまで残業したから、翌日は勤務開始時間を遅くするというのは学校の運営に支障がでます。
その問題をどのようにクリアするか、検討が必要な事項です。
「教員には業務はテレワークではできない」と思われがちです。
しかし、
・授業計画
・オンライン会議・研修
・長期休業期間など授業が行われない期間の業務
ではテレワークを活用することもできます。
「どのようにすればテレワークができるか」を考えることが必要です。
令和4年の学校教員統計では、1人の教員の持ち授業数の平均は、
・小学校 24.1単位
・中学校 17.9単位
・高校 15.4単位
小学校は教員が授業にかける時間の割合が中学・高校よりも多く、持ち授業時数を減らすことが課題です。
近年、小学校でも高学年には「教科担任制」を導入して、担任の持ち授業時数が軽減されてきています。
この「教科担任制」には他にもメリットがあって、専門性のある教師が授業を担当することで子どもたちがその科目を深く学び、興味関心を引き出すことができます。
近年、ベテラン職員の退職で、若手教員が増えています。若手教員は時間外の業務も多く、精神疾患による休職率も高いのです。
若手職員の負担を軽減されるため、様々な取り組みができます
・新卒1年目は学級担任ではなく、教科担任として学級副担任を担当
・持ち授業時数を軽減する
・若手教員が年齢が近い中堅教員に気軽に相談できる場を整える
また、若手職員が増えることで、産休・育休を取得する職員も増えています。安心して産休や育休が取得できる体制を整えることも支援の1つです。
教員の業務を軽くするためには、PDCAを回し続けれなければいけません。
Check
教員の在校時間など働き方や業務量の現状、その改善に向けた各学校の働き方改革の進捗状況の把握
Action
Checkを踏まえて、
・教員の在校時間が長い学校の管理職へのヒアリング
・在校時間が長い教員への改善策の検討
・管理職マネジメント研修の実施
・各学校の働き方改革に向けた進捗の改善策
などを検討
Plan
教員の在校時間などの働き方や業務量の現状、これまでの取り組みを通じて改善を図った取り組み内容や好事例、そして取り組みの進捗状況を踏まえた改善方策の設定・公表など
Do
公表した内容を踏まえて、教育委員会や各学校において働き方改革を推進する
この記事では、『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について』から、これからの教員の働き方をご紹介しました。
教員が子どもたちを思った時間外労働は、子どものためにはつながらないこともあります。
子どもたちの教育は「先生が心も身体も元気」であることが前提です。
ぜひお住まいの自治体での参考になさってみてください!
「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について│文部科学省 2024