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消防団の充実強化取組事例集【東日本編】

作成者: にしのやすひろ|2024/05/24 10:14:29

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地域の消防団員数が減少し、入団者数も激減しているという課題に直面していませんか?消防団員減少を解決するためには、女性や若者が興味を抱いてくれるPR戦略がカギといえるでしょう。この記事では、千葉県木更津市や栃木県、宮城県など東日本各地で実施されている、先進的な消防団の充実強化事例を紹介します。各自治体がどのようにして新たな団員を確保し、消防団の活動を活性化させているのか、具体的な取り組みを解説します。ぜひ最後までお読みいただき、皆様の自治体における消防団員確保や活動の充実に役立ててください。

千葉県木更津市の事例 ~VRゴーグルを活用した入団促進事業~

千葉県木更津市では、消防団員の減少傾向に歯止めをかけるため、新たな取り組みとしてVRゴーグルを活用した入団促進事業を実施しています。VRによるリアルな没入体験が市民の関心を引き、消防団への入団を促進する効果が期待されています。

キッカケは2021年に開催された市の防災イベントです。火災発生時の避難体験をVRで行ったところ、参加者から非常に高い評価を受けました。多くの市民が「今後のイベントでもこのような体験がしたい」との声を寄せ、VRでの疑似体験が市民の関心を引く有効な手段であることが分かりました。

この成果を受け、木更津市は清和大学と連携し、大学の文化祭や市の防災フェスタでVRゴーグルを使用した消防体験イベントを実施。このイベントでは火災避難や放水作業などの消防活動を疑似体験できる内容を提供し、参加者に消防団の活動内容を身近に感じてもらいました。その結果、多くの参加者が消防団に興味を持ち、入団希望者も増加するなど、大きな成果を上げました。

https://www.city.kisarazu.lg.jp/soshiki/shobo/keibo/1/4209.html

栃木県の事例① ~県内有名人材と連携した高校生等意識啓発事業~

消防団員数の減少要因の一つとして、若者の消防団に対するイメージや認知度の低さが挙げられます。栃木県では若者の加入促進を目的として、高校生を対象にし親しみやすい人材を活用したPRを実施しました。

この取り組みで栃木県は、地元出身でスラックラインの日本チャンピオンである岡田亜佑美選手をイメージキャラクターに選定しました。岡田選手はターゲット層である高校生にとって年齢が近く、共感を得やすい存在です。彼女を起用することで、若者にとって身近で親しみやすいイメージを持たせることを狙いました。

具体的な活動として、岡田選手のポスターやクリアファイルを制作し、各市町や県内の高校に在籍する最高学年の生徒全員に配布しました。また岡田選手が出演する防災イベントも開催し、直接的な啓発活動を実施。普段消防団に接する機会が少ない県民にも認知が広がりました。

https://www.youtube.com/watch?v=uoeyCWz_fdA

栃木県の事例② ~情報誌と連携した消防団応援事業~

栃木県では、消防団員の確保と士気向上を目的に、情報誌と連携した消防団応援事業を展開しています。地域に根ざした媒体を活用することで、消防団の存在意義や活躍を広く社会に発信し、消防団活動への理解を深めることを目指しました。

具体的な活動のひとつに、消防団の魅力や活動内容を特集したフリーペーパーの発行があります。これによって、女性や若者層に対しても消防団の活動を広く伝えることに成功しました。

この企画では、消防団員限定でサービスが受けられる「栃木県消防団応援の店」という制度も設けられており、社会全体で消防団を応援する雰囲気が醸成されました。

広告企業の持つ広報力を活用することで、消防団の存在意義ややりがいを広く県民に伝えられた大きな成功事例と言えるでしょう。

https://www.tochinavi.net/feature/home.shtml?id=11025

栃木県鹿沼市の事例① ~宇都宮ヤクルト販売株式会社と連携による消防団イメージアップ~

特に女性の参加が少ない課題を解決するために、鹿沼市の消防団は、宇都宮ヤクルト販売株式会社と連携し消防団のイメージアップを図っています。

地域住民との信頼関係を築いているヤクルトレディが、防火啓発や防災意識の向上に一役買い、クリーンなイメージを取り入れることに成功しました。ヤクルトレディは火災予防運動や出水期前の避難促進などの広報活動を行い、啓発用グッズを活用して効果的な防火防災活動を行います。

結果として消防団員の負担が軽減され、活動も円滑に行えるようになりました。ヤクルトレディへの消防団入団の呼びかけも行われ、入団希望者に対しては勤務の免除やボランティア休暇の活用などの配慮がなされています。

防火防災広報活動の一環として、宇都宮ヤクルト販売株式会社と合同で実施したイベントでは、参加者数が以前の約10倍に達し、鹿沼市消防本部及び消防団の知名度も県内外に広がりました。この成功により、消防団員一人ひとりのモチベーションが向上し、鹿沼市全域で消防団を応援する声が高まっています。

https://www.city.kanuma.tochigi.jp/0232/info-0000008426-1.html

栃木県鹿沼市の事例② ~鹿沼市消防フェスティバル~

鹿沼市では「鹿沼市消防フェスティバル」を開催し、体験型の消防イベントを展開しています。消化訓練や車両展示、放水やポンプ車乗車の訓練体験、避難プログラムなど、幅広いプログラムを市民に提供し、2024年のイベントでは約3,800人の方が来場。大きな盛況を見せました。

家族連れの来場が多いため、幼少期から防災の意識付けを行うきっかけになるとともに、消防団を身近な存在として感じられるイベントとして定着。未来の消防団員の育成や、消防団の存在意義への理解が促進されています。

今後は市内の保育園、幼稚園、小学校に出向くイベントも企画され、団員自身にも充実感や達成感を体感させることで、モチベーションアップにつなげていく予定です。消防団の役割や重要性を広く啓発し、地域の安全を守る働きかけとなるでしょう

https://www.city.kanuma.tochigi.jp/0232/info-0000009272-1.html

宮城県の事例 ~学生消防団活性化事業~

宮城県における学生消防団活性化事業は、消防団の充実と強化に大いに寄与しています。若者が主体的に消防団活動に参加することで、消防団の認知度向上と入団促進が期待されています。

この取り組みの背景には、若年層の消防団に対する認知度が非常に低いという問題があります。特に学生層をターゲットにした広報活動を行うことで、消防団活動への理解と関心を高めることが重要です。

具体的な取り組みとして、学生消防団員のアイディアを活かした活動服のデザイン変更や、学生団員を起用したPRムービーやポスターの制作があります。これらのPR素材は、映画館でのシネアドやスポーツイベント時のスクリーン上映など、さまざまな媒体で活用されています。

実際に参加した学生たちが積極的に活動している姿は、周囲の同世代にも良い影響を与え、さらなる参加を促進する効果が期待されます。

https://youtu.be/k4zkbcJusjs?si=NJjwCAKinNF5hZq9

消防団を充実強化させ地域防災力の底上げを図ろう

この記事では、千葉県木更津市や栃木県、宮城県など、東日本各地で実施されている、先進的な消防団の充実強化事例を紹介しました。消防団は地域の防災力を支える重要な存在であり、その活動は地域の安全を守る上で欠かせません。消防団は地域の住民との緊密な連携によって、消火活動や災害時の救助活動など、多岐にわたる任務を遂行しています。

これらの事例を参考にして、地域の消防団を充実させるための具体的な施策や取り組みを検討してみてください。特に、女性や若者が活躍しやすい環境づくりや、地域住民との連携強化などが重要です。ぜひこの記事を参考にしていただき、皆さんの地域での消防団の活動がより活発になり、地域の安全・安心を守る一助となることを願っています。

【参考資料】
https://www.fdma.go.jp/relocation/syobodan/torikumi-jirei/field_01.html
https://www.fdma.go.jp/relocation/syobodan/torikumi-jirei/field_06.html