「自治体でのカーボンニュートラル政策の事例を知りたい」
温室効果ガスによる気候変動は、世界的な問題です。 日本でも各自治体が、温室効果ガス削減に取り組んでいます。
今回は、カーボンニュートラルへの取り組みを地域活性化につなげた、栃木県宇都宮市と兵庫県姫路市の事例をご紹介します。
最後までお読みいただくと、お住まいの自治体でも活用できるアイディアが得られますよ。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというものです。排出した部分は、同じ量を植物や森林が吸収することで差し引きゼロにします。
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを宣言しました。
全国の自治体で、ゼロカーボンシティ宣言を表明し、自分たちができる身近なことから取り組みを始めています。
●脱炭素ポータル|環境省
宇都宮市は人口約51万人(2024年1月1日)で、栃木県の中央に位置します。
2019年にSDGs未来都市に、さらに脱炭素先行地域にも選定されています。 民間企業と連携してカーボンニュートラルを目指した実証実験を行っており、注目が集まっている市です。
2021年にゼロカーボンシティ宣言を表明しています。
以前の宇都宮市は、市の東西を結ぶ公共交通機関が少なく、自動車の利用が多いという現状でした。
そのため、
・通勤で道路が混雑する
・市の中心部から離れた住民の移動が難しい
・交通の便が悪いと市の魅力が落ちて、若い世代が市外に流出してしまう
といった課題を抱えていました。
さらに、2019年の二酸化炭素の排出量の割合は、産業30%、次いで運輸27%という結果に。
実は栃木県は、車の保有率が全国第2位。自動車からの二酸化炭素排出量の割合は全国平均より高い数値です。
そこで宇都宮市では、「温室効果ガスの削減」と「公共交通機関の利便性向上」の両軸で政策を立てました。
宇都宮市で取り組んだことは、公共交通機関を整備して住民の足を確保することです。
自動車の利用を減らし、二酸化炭素が削減できる予測を立てました。
●LRT
環境に優しく、最先端技術を駆使したライトレールを導入。
この LRT には 再生エネルギーを活用しています。太陽光発電やゴミ焼却場でのバイオマス発電から作られたものです。
地域の中の再生エネルギーを活用しています。
●バスのEV化
バスを温室効果ガスの排出が少ない、電気自動車に切り替えています。
さらに LRTと路線が重複しないよう見直しました。LRTの駅と接続するところに配置換えをして、交通の便が良くなるようにしています。
今後の課題はバスのエネルギー問題。
いつ充電すると再生エネルギーを効率よく活用できるのか、 これからさらに検討を進めていくそうです。
●宇都宮市 カーボンニュートラル ロードマップ
●都市行政における カーボンニュートラルに向けた取組 事例集
姫路市の人口は約 53万人。兵庫県内で2番目に人口が多い市です。2021年2月にゼロカーボンシティ宣言を表明しました。
姫路城周囲の13の公共施設を、脱炭素先行地域にしました。
姫路城、姫路公園、姫路城西御屋敷跡地庭園 好古園、動物園、美術館などの観光施設があります。
姫路城は世界遺産にも認定されており、積極的な開発が難しいエリアです。そのため姫路城周囲を新たに開発するのではなく、エリアで使用する電力を見直しました。
市の遊休地に太陽光パネルをおいて発電し、ケーブルでそれぞれの施設に電気を送ります。
さらに姫路城のライトアップの投影機をLED化して、電力消費を抑えています。
姫路市では姫路城と姫路駅の間の景観・空間作りも大切にしています。
姫路城と駅の間をバスやタクシーを使って移動していた観光客が、歩いて移動したくなる景観や空間を作りました。
自動車に乗らないことで二酸化炭素排出も抑えられ、商店での買い物をしてもらうと地域の活性化にもつながります。
街づくりもカーボンニュートラルにつながるのです。
姫路市
●令 和 5 年 度 リーディングプロジェクト - 主要事業の概要
この記事では、宇都宮市の二酸化炭素を削減した乗り物の事例、姫路市の観光地でも二酸化炭素削減が可能なことを紹介しました。
そしてこの事例の共通点は、カーボンニュートラル政策が地域の活性化につながることです。
ぜひお住まいの自治体での参考になさってみてくださいね。