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少子化の進行や教員の働き方改革を背景に、部活動の地域移行が自治体にとって重要な課題となっています。この記事では、東日本地域における運動部と文化部の地域移行事例を紹介していきます。各都道府県の事例を通じて、地域移行の重要性や具体的なメリットを学んでいきましょう。ぜひ最後までお読みいただき、地域の発展に寄与する部活動地域移行のヒントとしていただければ幸いです。
■指導連携先:東海大学など
■委託費:1,030,326円
秦野市では地域移行を実施するために「秦野市地域部活動指導ハンドブック」を作成。このハンドブックにより関係者同士の共通理解が促進され、地域スポーツ団体などさまざまな関係者との連携が強化されました。平日と休日を含めた一貫指導により、地域の特性を生かした「秦野スタイル」の体制が構築されています。
東海大学との連携・協働スキームでは、中学校単位での事業委託を目指し、地域の部活動に専門性と質の向上をもたらしました。スポーツ協会との連携・協働では、種目ごとの事業委託を目指し、地域の実情と種目の特性に合った支援を提供しています。
■指導連携先:福井県ボート協会
■委託費:779,330円
美浜町では、県の競技団体が地域スポーツクラブを創設し部活動の地域移行を推進。福井県ボート協会による「福井ジュニアローイングクラブ」では、ジュニア世代の強化や中高一貫指導体制が整いました。
この取り組みでは生徒や保護者の高い満足度が示されています。参加した生徒の75%が「とても満足」、25%が「満足」と回答し、保護者の90%が「十分満足・満足」と回答しています。特に、「指導者の技術的指導力」に対する満足度が高いことが挙げられます。
高い技術を持つ団体からプログラムを提供してもらうことにより、生徒たちは全国大会での活躍を果たしました。こうした成功体験は、地域移行に対する信頼と満足度を高める要因となっています。
■指導連携先:さけがわ友遊クラブ
■委託費:672,894円
鮭川村における部活動の地域移行では、地域のスポーツ協会やスポーツ少年団、そして中学校PTAが協力し、指導者の確保と活動場所の提供が行われています。
また、スクールバスの活用も重要な要素となりました。学校外の地域クラブ活動に参加する生徒の移動において、村のスクールバスを活用することで、安全かつ効率的な交通手段が確保されています。
鮭川村では地域のリソースを活用し、部活動の継続と発展を図るための有効な手法が実践されました。
■指導連携先:きたあいづスポーツクラブ
■委託費:1,050,600円
会津若松市は競技種目ごとに異なる2つの地域移行体制を構築しました。これにより、地域のニーズに合わせた効果的な運営が可能になりました。
まずは、合同練習会モデルです。複数校が週末に合同の練習会を実施することで、人材の有効活用と指導者の負担軽減を図りました。指導内容は顧問・指導者間で共有され、指導者への報酬や施設利用、保険などが適切に管理されています。
次に、総合型地域スポーツクラブモデルです。地域スポーツクラブが運営主体となり、指導者が指導を実施します。クラブマネージャーがコーディネートし、定期的な打ち合わせを通じて指導内容を調整します。このモデルでは、地域のスポーツクラブの力を借りて、より包括的な支援を提供しています。
地域移行は競技種目の特性に即した柔軟なアプローチが求められますが、会津若松市の取り組みはその要請に応えるものです。
■指導連携先:朝日町型部活動コミュニティクラブ実行委員会など
■委託費:563,514円
朝日町では、地域と学校が連携・協力した総合型地域スポーツクラブを立ち上げ地域移行が進められています。またユニークな取り組みとして、子供たちの移動手段不足に対処するために、独自のライドシェアサービス「こどもノッカル」の実証実験も開始。住民の自家用車に相乗りして移動するこのサービスは、子供の習い事の送迎にも活用され、地域移行における移動手段としての新たな可能性を模索しています。
指導面ではスポーツエキスパートによる一貫指導が実施されています。専門性の高い指導が可能になり、生徒たちの技術や競技力が向上しました。また、小学校から中学校へのスムーズな移行を図るために、スポーツ少年団から地域クラブ活動へと計画的・継続的な指導が行われています。
■指導連携先:社会人吹奏楽団など
■委託費:567,000円
大館市では地域合同型の部活動が取り入れられています。これにより全市内の吹奏楽部が同等の基礎指導を受けられ、顧問の異動や校合併といった変動があっても、生徒が安定して活動を続けられる環境が整いました。
また専門講師からの指導を受けることで、技術面だけでなく社会性も向上し、生徒のレベルと意識の向上もみられました。
顧問全員での情報交換も行われ、活用すべき工夫や課題の共有により、部活動の運営が円滑化。地区吹奏楽連盟の協力もあり、スムーズな活動展開を可能にしています。
■指導連携先:東海村吹奏楽団
■委託費:265,000円
那珂郡東海村では、吹奏楽部に地域の団員を指導者として迎え、専門的な指導を受けられる環境を整えています。この取り組みにより、生徒たちの吹奏楽に対する興味や関心が高まり、自身の演奏技術の向上を感じると同時に、部活動に対する楽しさや居心地の良さが育まれました。また、顧問の時間外勤務時間の削減にもつながっています。
今後の方針として、年度当初には1年生の基本指導を重点的に行い、高い技術を身に付けさせることが挙げられます。また、東海村吹奏楽団以外の地域人材の確保や学校外の練習場所についての検討も重要です。これらの取り組みを通じて、部活動の地域移行がさらに充実したものとなることが期待されます。
■指導連携先:元県立高等学校吹奏楽部顧問
■委託費:610,000円
大多喜中学校吹奏楽部において、主顧問の休日の部活動参加が難しい状況が以前から課題になっていました。大多喜町ではこの問題に対処するため、専門的な知識と経験を持つ引退した教員を地域指導者として招き、休日の活動を率いることとしました。
生徒たちは外部講師からの専門的な指導を受けることで、充実した活動を享受しています。練習意欲が高まり、個々のスキル向上にもつながっています。財政面でも、地域からの補助金により、家庭の負担が軽減されました。
活動場所も高校や公民館に移すことで、教員の負担軽減が図られました。この地域移行によってすべてが好循環になる良好な成果が得られています。これからも、地域と学校が連携し、充実した部活動を提供していくことが重要です。
■指導連携先:市川三郷吹奏楽団
■委託費:650,000円
市川三郷町の吹奏楽部活動における地域移行の事例では、町の吹奏楽団から専門性のある指導者を起用。技術指導では各楽器の特性や役割に応じた専門的な指導が行われ、生徒からは強く支持する声が多く寄せられています。
また運営面においても、大会参加時の機材搬送や活動に必要な備品の調達など、演奏技術以外の観点からも多大な恩恵があり、経験が乏しい担当顧問の負担軽減にも大きく寄与しました。
■指導連携先:近畿大学高等専門学校など
■委託費:700,000円
名張市では、専門的な知識や指導力を有する外部指導者と地域施設の協力により、地域移行が進められています。近畿大学工業高等専門学校と桔梗が丘自治連合協議会がそれぞれコンピューター部と茶道部の活動に協力し、専門的な指導と施設の提供を行ったことで、顧問の負担が軽減され、生徒は質の高い活動を享受できました。
一方でアンケートにより、保護者の費用負担が増えたなどの課題も明らかになっています。今後も、部活動の地域移行を推進し、持続可能な運営を目指す中で、保護者の負担軽減や地域との連携強化が課題となっていくとみられています。
この記事では、東日本地域における運動部と文化部の地域移行事例を紹介してきました。各都道府県の事例を通じて、地域移行の重要性や具体的なメリットを学べたのではないでしょうか。これらの先行事例を参考にし、地域の発展に貢献する部活動地域移行のヒントとしてご活用いただければ幸いです。
部活動の地域移行は、子供たちの成長と教員の働きやすさにとって重要な要素です。地域の未来を担う子供たちにとっても、より良い環境で活動できることは大きな恩恵です。自治体や関係者が協力し合い、地域全体の発展につながる取り組みを推進していくことが求められています。皆さんの地域でも、部活動の地域移行が住みよい街づくりの一翼を担うことを願っています。
【参考資料】
https://www.mext.go.jp/sports/content/20230919-spt_oripara-000028259_01.pdf
https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/sobunsai/pdf/93942801_01.pdf