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水上の悲劇を繰り返さないために──船の事故ゼロへ、自治体ができること

作成者: 佐々木健|2025/05/15 4:59:42

 

 

観光船が運休。通学の船が減便。高齢の船長が1人で危険な夜間航行を続けている――
こうした水辺のインフラ課題に、心当たりはありませんか?

人口減少と高齢化が進むなか、フェリー・渡船・観光船・ダム巡視艇といった“水上の公共交通”が、今まさに岐路に立たされています。しかも、それらは通学・通院・観光・物流・災害対応など、自治体の暮らしと経済を支える不可欠な交通手段でもあります。

しかし現実には、

  • 船員の高齢化と不足

  • 安全管理体制の限界

  • 河川や港湾インフラの老朽化
    といった複合的な問題が、各地で減便や事故という形で表面化し始めています。

こうした背景のもとで、いま各地で導入が進むのが、*自動操船」「AI航行支援」などの海のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。本記事では、最近の事故事例とともに、地方議会が取り組める“止めない水上交通”の具体策を紹介します。ぜひ、次の議会質問や政策提案のヒントとしてご活用ください。

 

1 「ヒト依存」だけでは守れない時代

船舶事故の約7割はヒューマンエラーが引き金といわれます。熟練船長の高齢化と人手不足が同時進行するなか、観光・通勤通学・物流・防災と多用途で船を必要とする自治体ほど、事故リスクと公共サービス維持を両立させる仕組みづくりが急務です。

2 過去3年の主な事故・教訓

ここで具体的に海の事故についてみてみましょう。3年で発生した船の事故の一部をまとめてみました。

年月 水域/船種
2022 / 4 北海道知床沖 観光船 KAZUI 死者行方不明26人。荒天でも出航を強行、安全管理体制欠如 日テレNEWS NNN
2023 / 3 京都保津川観光舟 岩に衝突・転覆、船頭2人死亡、19人負傷。川下りでも操船ミス 関西テレビ放送 カンテレ
2024 / 1 滋賀琵琶湖 プレジャーボート 転覆で男性3人死亡。全員ライフジャケット着用も低体温で救命失敗 ニッポン放送 NEWS ONLINE
2024 / 3 山口下関沖 ケミカルタンカー KEOYOUNG SUN 転覆し8人死亡。荒天で錨泊中に転覆、化学物質980t積載 運輸安全委員会
2024 / 7 北海道苫小牧港 フェリー Silver Breeze 夜間入港時に防波堤消波ブロックへ衝突、船体損傷(140人無事) 日テレNEWS NNN
2024 / 7 宮城松島湾 遊覧船

離岸時に護岸接触、乗客5人負傷 日テレNEWS NNN

 
これらの事故を引き起こしている要因は様々ですか、以下のようなことが考えられます。
 
  • 「職人の技」への依存

    • 安全運航の現状

      • 船員の経験・集中力に大きく依存

      • いわゆる「職人的な技術」が安全の要

    • 限界とリスク

      • 船舶事故の 約7割が人的要因

      • 経験値や勘に頼る体制は再現性が低い

    • 熟練者の減少

      • ベテラン船員が年々減少し、技術供給が縮小

      • 経験依存のリスクがさらに拡大

    • 必要な対策

      • 経験に頼らず安全を担保するシステム導入

      • デジタル化・自動化による標準化と再現性の確保

  • 人手不足の深刻化

    • 船員数の推移

      • 総数は減少傾向

      • 50歳以上が過半数を占める高齢化構造

    • 世代交代の停滞

      • 若年層の流入不足で担い手確保が困難

      • 経験・技術の継承が途絶えつつある

    • 熟練船長確保の困難さ

      • 経験豊富な船長の採用・維持が難しい

      • 引退後のノウハウ喪失リスクが顕在化

    • 資格取得のハードル

      • 20トン以上の船舶では海技士免許が必須

      • 学習・実習コストが高く新規参入を阻害

    • 結果としての課題

      • 人的資源不足が安全・運行計画全体に波及

      • 労働負荷増大 → さらなる離職・事故リスク

 

3 これらの解決策を学んでみませんか?

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