議員活動にとって欠かせないのが、住民との対話です。今の時代は、使い方次第でSNSも強力な味方になります。一方で、多様な意見を十分に拾うことができているのかという点は、常に悩ましい問題かもしれません。川崎市議会議員の加藤孝明さんは、届いた意見にはすべて耳を傾け、対話をしていくと話します。加藤さんに、その手法や対話をする上で心がけていることについてお話を伺いました。
加藤孝明さんプロフィール
川崎市議会議員(自民党) 2期目
1987年生まれ
選挙区:川崎市幸区
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ー今日はありがとうございます。まずは、自己紹介からお願いします。
現在2期目で、健康福祉委員会の副委員長を務めさせていただいておりいます。
議員になる前は、衆議院議員である田中和徳代議士の川崎市幸区の地元担当秘書として約8年半働いておりました。
勤めていた横浜の会社をご縁として、田中代議士の事務所にお手伝いに行ったのがきっかけです。解散総選挙が近いという雰囲気もあり、「働いてみないか」とお声がけいただきました。正式に秘書になったのは、自民党が民主党から政権を奪還する選挙だったため、地域・有権者の方々から期待される声が大きく、とても刺激的だったというのが理由のひとつです。
ー現在2期目に入られましたが、どんな政策に力を入れていますか?
ー加藤さんは、有権者の方とのコミュニケーションを大事にされていると伺いました。どのようなことを心掛けているのですか?
秘書時代は、支援者かそうでないかを問わず、地域を歩き、悩みごとを伺い、国の動向や田中代議士の活動報告をすることがメインの仕事でした。
今も当時と同じように、地域をまわってご意見・ご要望を伺い、市の動向についてお伝えしていきたいと常に考えております。田中代議士はライフワークとして、駅での街頭演説を可能な限りされております。私も定例会ごとに活動報告のチラシを作り、可能な限り駅で配るようにしております。
ー支援者かどうかを問わずというのは、とても大切ですね。一方で、議員になると支援者以外の方との接点は少なくなってしまうこともあるのではないでしょうか?
ー具体的には、どのように対応されるのですか?
まずは、話を聞きます。明らかに認識が間違っていることに対しては、「これはこうじゃないですか」とご説明しながら、私自身の考えも伝えるようにしております。意外にも、しっかりとお話しすれば、最後には分かっていただけることも多いです。「自民党は嫌いだけど、お前は応援してやるよ」と言っていただくこともありますね。
ーやはり対話が重要ですね。その他に工夫されている点はありますか?
ウェブサイトやメールを通じて意見を下さる方もいます。
会ったこともなく、顔も知らない人からのご意見でも、必ず行政とやり取りをして、メールや電話で対応するようにしています。中には、他都市の方から「私の市では○○という取組みをしております。なぜ川崎市では導入しないのでしょうか?難しいのであれば国に働きかけてはいかがでしょうか」というご意見をいただくこともありますが、代わりとなる川崎市の取組や導入に向けた課題と私自身の考えもお伝えするようにしております。
ーこのようなご対応をされていると、有権者の方からはどんな反応をいただくのでしょうか?
私よりも経験が長く実績の多い市議会の先生方ばかりですが、私のことを積極的に支援してくださる方も多く、期待していただいていることを感じます。
それは恐らく、これまでも相談をしたことはあるけれど、返事がなかった…というような経験があるのではないかと思うのです。
ーきっと有権者の方たちは、意見を受け止めてくれる議員を探しているのでしょうね。
そうかもしれません。ただ、ご相談をいただいても、すぐに解決できること、時間がかかること、実現が難しいことがあります。
実現が難しいご相談だとしても、きちんと受け止めて、答えていくことを大事にしております。たとえば、国や県、市の状況を伝えて、なぜ実現が難しいのか―予算の不足なのか、法律や条例の仕組みなのか―を納得いただけるように説明します。「実は、これまでも同じような相談をしたことがあったけれど、ようやく理解することができた」というお声をいただくことも多いです。
実現までに時間がかかる案件も、その間のコミュニケーションが途絶えてしまうと、「あれ?せっかく話したのに何もしてくれないのかな?」と思われてしまうこともあります。ですので、進捗がなくても報告するようにしております。
ーひとりひとりの声に向き合うのは簡単なことではないと思います。ここまで取り組まれていても、悩まれる点はありますか?
「昔はよく顔出してくれたのにね」とお𠮟りを受けることも正直あります。
秘書の頃は、地域をまわって、コミュニケーションをとることが仕事でした。しかし今は、議会活動がメインです。その他にも、消防団や青年会議所、ロータリークラブなど様々な団体にも所属させていただいております。やはり、秘書の頃と比べると、地域を歩く頻度は減ってしましますが、もう少し頑張らなければいけないですね。
ーありがとうございます。最後に、今後どんな政策に取り組まれて行きたいとお考えですか?
先ほどもお話しした、市場の再整備ですね。課題の背景には老朽化もありますが、Amazonや楽天などの登場で流通がかなり変化したこともあります。そもそも公設の市場が必要なのか?市民が市場に求めるものは何か?――こうしたことも議論されるようになりました。
それでも市場は食の流通拠点であり、防災拠点でもあり、賑わいを創出する場でもあります。時代と地域のニーズにあった市場として再整備していきたいと思っております。
それと、今年は川崎市政100周年を迎えます。川崎市は政令指定都市のなかでも、人口も企業も集まって成長している都市です。ただやはり、まだまだイメージがよくないのも事実です。「川崎ってすごく若くて元気があるよね」というイメージに変えていきたいです。