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地域資源の循環で脱炭素を目指す!~2つの事例より~

作成者: 高松陽子|2024/03/08 4:43:59

「バイオマスを活用したカーボンニュートラル政策を知りたい」

温室効果ガスによる地球温暖化は世界的な問題です。日本でも2050年までに二酸化炭素排出ゼロを目指し、それぞれの自治体で取り組みをしています。

今回は地域の資源を使って脱炭素に取り組んでいる京都府京都市、秋田県大潟村の事例をご紹介します。

最後までお読みいただくと、お住いの自治体で活用できるヒントが得られますよ。

 

【京都府京都市】天ぷら油で二酸化炭素削減

京都市では、家庭から出た使用済みの天ぷら油など廃食用油から、バイオディーゼル燃料を精製して、ごみ収集車や市バスの燃料に使っています。

年間で二酸化炭素量で1,000トンの削減です。

京都市の取り組みは早く、平成9年京都議定書の採択から、全国に先駆けて実施しています。

 

バイオディーゼル燃料とは?


バイオディーゼル燃料は家庭や飲食店から出た廃食用油と、メタノールを反応させたものです。これでディーゼル車で利用できる燃料になります。

バイオディーゼル燃料を使ったときに出る二酸化炭素量は、植物が生きている間に吸収した分とバランスが取れる量です。だから、カーボンニュートラルを目指せます。

バイオディーゼル燃料を導入した自動車は令和4年4月の段階で約300台。市バスやごみ収集車で使われています。

そのうちごみ収集車24台はバイオディーゼル濃度100%。これからますます需要が高まる見込みです。


廃食用油を使うメリットは3つ


天ぷら油などの廃食用油を使うメリットは、二酸化炭素削減だけではありません。

①廃食用油のリサイクル

家庭で出た油は、固めたり、紙に吸わせて廃棄するのが一般的です。

それをバイオディーゼル燃料にするので、ゴミの減量になります。

②自動車の排ガスがクリーンに

すすや二酸化硫黄も出ないので、クリーンな空気を維持できます。

③地域コミュニティの活性化

天ぷら油を回収する拠点があり、住民は直接持ち込みます。拠点を管理する方、油を持ち込んだ住民同士での会話が生まれ、地域コミュニティの活性化が期待できます。

●京都市役所CO2削減率先実行計画 <2021-2030> 京 都 市

●京都市:バイオディーゼル燃料化事業

【秋田県大潟村】稲わらを活用した再生エネルギー~本格稼働に向けて~



秋田県大潟村は人口3000約人。周りを八郎湖に囲まれた海抜ゼロメートル地帯で、秋田県内の米どころの1つです。

2022年4月に脱炭素先行地域に選定されています。

海抜ゼロメートル地帯ゆえの悩み

大潟村を囲む八郎湖は、もともとは琵琶湖に次ぐ日本第2位の湖。20年の歳月をかけ干拓事業で大地を作り出しました。

八郎湖には河川からの水や農業用水が流れ込みます。海抜ゼロメートルの大潟村では、八郎湖に流れ込んだ水を排水させなくてはいけません。

その排水に必要な電力は、大潟村の年間電力消費量の約1/3。村では太陽光発電で電力をまかなっています。

稲わらを活用した再生エネルギー~本格稼働に向けて~

米どころの大潟村では、収穫後の稲わらが大量にでます。

もともと一部の稲わらは水田にすりこんでいました。しかし、温暖化の原因になるメタンガスが発生するという問題が。

さらに発酵するときに二酸化炭素も発生し、環境への影響が課題でした。

そこで、稲わらを活用したバイオガスプラントを検討し、本格稼働に向けて準備を進めています。プラントを使えば、温室効果ガスの発生の解決につながります。


もみ殻を活用したバイオマス熱と燻炭

米どころの大潟村では、脱穀した後の米のもみ殻の活用も課題でした。

村の試算では年間1万2000トン出るもみ殻のうち、70%が活用されていない現状です。

そこで、村ではもみ殻を燃料にしたバイオマス熱を検討。2024年7月の本格導入に向け準備を進めています。

バイオマス熱は、村の宿泊施設や温泉施設へ提供され、利用される予定です。

さらに、バイオマス熱に利用された後は培養土として活用も検討中。脱炭素に向けて、村内で循環させる仕組み作りが出来上がりつつあります。


●自然エネルギー100%の 村づくりへの挑戦! ~第1章電気編~ 大潟村

●脱炭素先行地域、東北は秋田・宮城の3計画選定 環境省 - 日本経済新聞


不要になった資源は宝の山

この記事では、京都市京都府、秋田県大潟村で不要になった稲わら・もみ殻を活用した脱炭素政策をご紹介しました。

不要で捨てられるだけだったものが、脱炭素に向けた資源として活用されています。不要になった資源は実は宝の山だったりするのです。

お住まいの自治体で是非参考になさってみてくださいね。