【まとめ】ひとり親が活用できる支援施策

issuesの高松です!

「ひとり親を支える国の支援を知りたい」

国が実施しているひとり親支援は数多くあります。

この記事では、ひとり親が直接支援をうけられる制度をまとめました。また海外の施策もご紹介します!

 

【拡充】児童3人目から増額!児童扶養手当

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児童扶養手当は、ひとり親家庭の児童へ給付されます。対象年齢は18歳の3月31日までです。

令和6年度から児童3人目の手当が増額されます。

・児童1人目 45,500円
・児童2人目 10,750円
・児童3人目以降 令和6年11月〜10,750円(今まで6,250円)
※いずれも全額支給での金額

また、児童扶養手当の所得制限限度額が令和6年11月から変更になります。2人世帯の場合、190万(今まで160万円)が上限になり、これより収入があると一部支給に変更になります。


母子・父子自立支援プログラム策定事業

ひとり親家庭の親に対して、個別のケースに応じた支援メニューを組み合わせ、自立支援プログラムを策定・フォローしていきます。

令和6年から児童扶養手当受給相当の所得要件がなくなり、多くのひとり親が活用できるようになりました。

自立する前の支援から、自立後も生活状況や再支援の必要性確認のためアフターケアを行い、自立した状況を維持できるよう支援を受けることができます。


自立支援教育訓練給付金

母子・父子自立支援プログラム策定事業を受けている人が対象となります。ひとり親には、職業訓練講座を受ける受講料の一部が給付されます。

・雇用保険制度の教育訓練:受講料の6割
・雇用保険制度の教育訓練の中で、専門実践教育訓練給付の指定講座(専門資格の取得を目指す):受講料6割
・【令和6年度から】修了後1年以内に資格取得・就職した場合は、受講料費用の25%を追加支給 

ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

ひとり親の学びを支援して、よりよい条件での就職や転職を目指せるよう、高等学校卒業程度認定試験のための講座受講を一部支給する制度。

母子・父子自立支援プログラム策定事業を受けていることが条件です(令和6年度から、児童扶養手当受給相当の所得要件を撤廃)。

・通信制/通学/通学・通信制併用のいずれでも対象
・受講開始時給付金 受講費用の4割
・受講修了時給付金 受講費用の1割
・合格時給付金 受講費用の1割

ひとり親家庭住宅支援資金貸付

母子・父子自立支援プログラム策定事業を受けているひとり親に、住宅資金の貸し付けをしています。

条件は児童扶養手当受給相当(所得水準を超過した場合でも1年以内であれば対象)で、自立に向けて意欲的であること。

12か月にわたり家賃を貸付(上限4万円)し、無利子で借りられます。さらに、1年以内に就職し、就労を1年継続すると返済免除になります。


高度職業訓練促進給付金

ひとり親の就職に必要な資格取得をサポートする給付金です。令和6年度から、児童扶養手当相当の所得要件を緩和し、所得制限を超えても1年継続が可能になりました。

対象の資格は、 看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師、シスコシステム認定資格、LPI認定資格など

令和6年度から民間資格でも可能になり、ニーズのあるIT系の資格もとれるようになりました。


ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

高度職業訓練促進給付金を受けて入れば対象になる貸付事業です。

・養成機関に入る際の入学準備金として50万円貸付
・就職準備金として20万円貸付

返済免除制度があります。学校卒業後1年以内に資格を活かして就職して、貸し付けを受けた自治体で5年間働いたら返還免除となります。


ひとり親家庭等生活支援事業(ひとり親家庭等生活向上事業)

生活に関する悩み、家計管理・育児などに関する専門家による講習会の実施、高等学校卒業程度認定試験合格の学習支援を行っています。

また、ひとり親の情報交換の場を設けたり、離婚の前後や離婚調停中で一定期間、母子生活支援施設等を活用し離婚後の住まい・就業の支援や、同行する親子関係の再構築を含めた家庭・生活環境の支援を行っています。

離婚前後親支援事業

離婚協定開始前の父母に対して、離婚に必要な情報提供や手続きのサポートを行っています。

支援内容には、
・親支援講座 養育費の取り組みの講義や当事者間の意見交換
・ひとり親支援の情報提供
・養育費の履行確保の取り組み 公正証書の債務名義の作成支援
・保証会社と養育費保証契約を結ぶための支援
・戸籍抄本の書類取得支援
・弁護士による個別相談
・裁判外紛争解決手続を利用した調停にかかる費用の支援
・養育費の受け取りにかかる弁護士費用支援
などがあります。

親子交流支援事業

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別居親と子供の交流をサポートする事業です。支援員が親子交流の日にこどもをひきとり、相手に引き渡し、交流の場に付き添います。

頻度は月1回までで、支援期間は最長1年です。

実施自治体は令和3年時点で18自治体。支援実施ケースは72ケースとまだまだ少ないのが現状です。


母子家庭等就業・自立支援事業

母子家庭・父子家庭の母・父が、就業相談から就業情報の提供までの一貫した就業支援サービスや養育費の取り組みなどに関する専門相談など生活支援サービスを提供する事業です。

・在宅就業推進事業:在宅就業に関するセミナーの開催、在宅就業コーディネーターによる支援など。
・求人情報提供事業:求人情報の提供、電子メール相談など
・就業環境整備支援事業:PC等の貸与を行うことで、在宅就業や各種訓練に必要な環境整備を図る
など


ひとり親家庭等日常生活支援事業

生活補助や保育サービスが必要になったひとり親へ、家庭生活支援員を派遣するサービスです。

・生活援助:家事や介護、乳幼児の保育など。
・一時利用:技能取得のための通学や、残業などで、子育てのサポートに活用。
基本的にはサービスを受けられる場所はひとり親宅ですが、保育サービスの場合は児童館なども利用します。

子どもの生活・学習支援事業(ひとり親家庭等生活向上事業)

ひとり親のこどもの悩みの相談や教育の機会を支援します。

ひとり親の子どもへの悩み相談(児童館や子ども食堂)、受験料や模試費用の補助などが受けられます。


母子父子寡婦福祉資金貸付金

児童を扶養しているひとり親に、貸付を行っています。貸付金は、事業開始資金、技能取得資金、生活資金、結婚資金など計12種類です。

無利子または年利1.0%で、貸付金の種類や連帯保証人の有無によって変わります。


ひとり親が抱える雇用と貧困問題

母子家庭の親の8割が仕事をしているにも関わらず、貧困に陥ってしまう現実があります。その要因の1つが非正規で働いているということ。母子家庭の親の4割がパートやアルバイトと言われています。

母子家庭の貧困の問題は日本だけではありません。イギリスやアメリカでも同様です。ここで海外での事例をご紹介します。


イギリスの事例

イギリスでは貧困に陥る家庭を「再び」増やさないことに重点を置いた施策を取りました。

例えば、最低賃金の引き上げで、社会全体の給与の平均増加率をより早めのベースアップで引き上げて、底辺の収入で働く人たちの収入改善を図りました。

また、
・仕事をすると給与が政府から支払われる
・求職活動をすると奨励金がもらえる
・保育費をカバーする
など手厚い保護でひとり親の就業率が高まり、母子家庭の貧困を食い止めました。


アメリカの事例

アメリカでは貧困を増やさない政策を取りました。

少し厳しいですが、生活保護の給付期間を生涯5年と定めていたり、受給期間は就労・求職活動・職業訓練をしているかといった要件があります。

ただし、経済状況に合わせて最低賃金を法律で引き上げられるようにしたり、一定の所得以下であれば収入の最大34%の税金還付が受けられる制度を導入しました。

その結果、母子家庭の貧困率が1996年は35.8%だったところ、2017年には27.9%にまで減少しました。

日本と世界におけるひとり親家庭のための支援制度の違いとは│gooddo 2024

ひとり親支援策の周知が課題

この記事では、ひとり親が活用できる給付やサービスを紹介しました。

国では様々な制度を整えていますが、母子家庭・父子家庭世帯にこれらの制度がすべて知れ渡っていないという現実もあります。

ぜひお住まいの自治体で参考になさってみてください。

令和6年度予算の概要 (こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援関係)│こども家庭庁