GIGAスクール構想で変わる教育~NEXT GIGAスクール構想への課題~
issuesの高松です!
「GIGAスクール構想と、それに続くNEXT GIGAスクール構想の全体像を知りたい」
GIGAスクール構想で教育現場にICTが浸透してきて、子どもたちにも端末を使った主体的な学習スタイルが出来上がりつつあります。
この記事では GIGAスクール構想とNEXT GIGAスクール構想に向けた国と自治体の動きをご紹介します。
GIGAスクール構想とは?
GIGAスクール構想は、文部科学省が推進している教育のICT環境を整備する取り組みです。
児童生徒1人1台の端末の購入や、高速大容量の通信ネットワークを全国の学校に整備しています。
GIGAスクールには次のようなメリットがあります。
それぞれの児童生徒に合わせた学びの実現
1人1台ずつ端末を持つことで、児童生徒の理解度に合わせた教材や課題を提供できます。
また、学習の進み具合に合わせた適切な支援も可能です。
場所を問わずに児童生徒同士が一緒に学ぶ環境
クラウドを活用することで、教室の中・外を問わずに児童生徒同士で意見交換したり、課題に取り組むことができます。
教師の負担軽減
ICTを活用することで、教師の授業準備や採点、成績管理などの事務作業が効率化できます。教師が児童生徒一人ひとりに行き届いた指導ができるようになります。
ギガスクールは、子どもたちが自ら学ぶ教育環境を実現する重要な取り組みとなっています。
GIGAスクール構想の生まれた背景
ICT環境の整備は自治体によって格差
以前から学校のICT環境の整備が進んでいないという問題がありました。
例えば、2018年の調査では、学校の無線LANの配備は最も整っている都道府県で73%、整備が進んでいないところでは13.6%という結果が。
また、端末の整備にもばらつきがあります。
端末の整備が進んでいる都道府県では1.9人に1台、整備が遅れているところでは7.5人に1台という結果が出ていました。
〇平成30年度学校における教育の情報化の 実態等に関する調査結果(概要)
https://www.mext.go.jp/content/20191224-mxt_jogai01-100013287_048.pdf
学校の授業でICTが活用できていない
2018年のOECDの「生徒の学習到達度調査(PISA2018)」では、日本のICT活用はOECD各国の中で最下位。
1週間のうち授業でICTを活用する割合は、国語を例にとると、OECDは44%、日本14%です。
OECD平均より30%も低い結果が出ました。
〇GIGA スクール 構想の実現へ
https://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_1.pdf
学校外でのICTはチャット利用が中心
また、生徒の学習到達度調査(PISA2018)では、学校外でのICTの使い方も調査しています。
日本では学校の宿題のために端末を使う割合は3%で、OECD平均22%よりも少ない数値です。
日本でもチャットでの利用は87%に対し、OECD平均67%と明らかに学習以外での利用が多くなっています。
〇GIGA スクール 構想の実現へ
https://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_1.pdf
GIGAスクールに取り組み始めてからの学習の変化
体育の授業にICTを活用した事例【茨城県水戸市】
水戸市の中学校では、保健体育科「ソフトテニス」の授業で、タブレット端末を活用しています。
試合の戦略を考えて、実際に試した結果をGoogle Jamboardに入力。
クラスメートと課題を共有して、改善策をディスカッションします。
毎授業ごとにデータを蓄積して、PDCAを回し、戦略を見直していきます。
〇中1・2保健体育科「球技 ネット型(ソフトテニス)」(国田義務).pdf
https://drive.google.com/file/d/12H_9Tv1jwL7vNe3beBzvOa-AOi4k0Lt2/view?usp=drivesdk
スイスとつながるオンライン交流会【千葉県袖ヶ浦市】
袖ヶ浦市では市内の全小中学校とスイスの日本人学校の先生を、オンラインでつなぐ取り組みをしました。
インターネットで調べる情報にはないようなリアルな声を知ることができて、異文化理解にも役立ちます。
〇市立小中学校一斉によるオンライン交流 - 袖ケ浦市公式ホームページ
https://www.city.sodegaura.lg.jp/soshiki/gakko/dainikaionline.html
次のフェーズへ。NEXT GIGAスクール
端末の更新が始まる
GIGAスクール構想で児童生徒に整備された端末は、早い自治体では2024年から更新の時期に入ります。
バッテリーの耐用年数が4〜5年であり、この時期には端末の故障も多くなる傾向があります。
令和6年度補正予算では補助金額は上限55,000円 / 台と設定されています。
国からの補助以外は自治体の負担になります。子どもの数が多い自治体では、費用負担が大きくなるのが現状です。
自治体でのICT活用度の差をうめる
端末の利用は教員のICTスキルや、ICTをサポートする専門スタッフの有無によって、自治体で差があります。
より、学習の場でICTを活用できるよう、それぞれの自治体での対応強化も求められています。
GIGAスクール構想の前から端末を活用していた自治体事例【東京都荒川区】
東京都荒川区ではGIGAスクール構想が始まる前の2013年から、区独自に児童生徒に端末を整備していました。
2020年の追加購入のためにICTに6億円の予算を取り、国からの補助金と合わせて2500台を追加整備。
ICTの活用は端末の費用だけでなく、指導員やネットワーク環境の整備、教える教員の知識技術の向上になどにも費用がかかります。
国や自治体には、端末だけの費用ではなく総合的な予算組みが必要になってきそうです。
〇7年前から全小中校に一人一台PCを実現させた荒川区‐先行的な取り組みの裏側 | TECH+(テックプラス)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20201022-1374674/2
ハード面、ソフト面両方の整備が大切
この記事ではGIGAスクール、NEXT GIGAスクールの概要をご紹介しました。
学校のICT整備、児童生徒の端末の入れ替えと同時に、教える側のスキルアップや人員確保が大切です。
NEXT GIGAスクール構想では、どの自治体に住んでいても、子どもたちが地域差がなく学べる環境の整備がますます進んでいきそうです。
ぜひお住まいの自治体でのご参考にしてみてくださいね。