保育園の防災対策と災害時の休園ルール
□保育施設での防災対策はどうなっているの?
□災害時は保育園は休園するの?
保育園では園児や保育者の安全を守るため、月1回の防災訓練が定められています。しかし災害時の休園ルールは自治体によってさまざまです。
この記事では、
◻︎保育施設での防災対策
◻︎災害時の休園ルールを決めた事例
を紹介します。
最後までお読みいただくと、お住いの自治体でも活用できるヒントが得られますよ。
親も防災を考えるきっかけになる保育園の防災対策
保育園ではさまざまな防災の取り組みを行っています。その一例をご紹介します。
毎月の避難訓練
保育園では毎月避難訓練をします(※児童福祉法の中の児童福祉施設最低基準(第6条))。幅広い月齢の子供たちを安全に避難させるためです。
筆者の子どもの保育園でも、毎月避難訓練があります。親には日程のお知らせがあるのみで、火災・地震なのかは分かりません。
子どもから教えてもらうと「今日は給食室から火事だった」「今日は地震だった」と月によって想定ケースはさまざま。
毎月の訓練で「地震のときは机の下」「火事のときは煙を吸わないように」なども教えてもらっているようです。子どもとの会話が、自宅でも防災について考えるきっかけになっています。
遊びの中の防災訓練
保育園の外遊びの1つが「散歩」。散歩は防災でも役立ちます。
例えば、散歩の途中で、「この道は高いコンクリートの壁があるね。地震が来たら倒れてくるかもしれない」といった、先生から防災目線で説明があります。また指定されている広域避難場所まで歩いてみることもあります。
日々のアクティビティを通じた防災も大切です。
引き渡し訓練
引き渡し訓練とは、災害発生を想定して、保護者が子どもを引き取る訓練です。園に直接引き取りに行くケースもあれば、一時避難場所に行くケースもあります。
筆者も何度か経験していますが、本番さながらの訓練で、園側の緊張感が伝わってきます。
緊急時の連絡体制
災害時は電話もつながりにくくなります。複数の連絡手段を持つことがおすすめです。東日本大震災では、都内でも携帯電話がつながりにくくなりました。
電話以外に、保育アプリを使った連絡方法もあります。
都心では通勤に1時間以上かかるケースもあり、災害が起きても親はすぐに帰れません。子どもの安否を知るためにも、複数の連絡体制を整えておくことが必要です。
https://hoiku-bosai.com/post-992/
https://bosaijapan.jp/app/uploads/2018/12/METI.pdf
災害時でも保育園は開けるべき?
休園ルールは自治体によってさまざま
災害時の保育園の開園は自治体によって異なります。
避難指示・避難勧告にいたった自然災害(地震以外)の経験がある市町村へのアンケート結果で
●臨時休園や自宅待機の対応を取った:64.8%。
●対応をとったことがない:31.5%
という結果が。
(※調査期間: 2019年10月下旬から11月22日まで。n=1,081。回答は市町村保育主管部)
自治体による違いがアンケート結果からもわかります。
保育園の休園ルールづくりにおける課題
休園のガイドライン策定には、検討課題が5つあります。
①警戒レベルが発令された時の各レベル毎の対応
②ハザードマップに応じた各保育所毎の対応
③臨時休園等の判断に関する保育所・保護者への連絡方法・タイミング
④代替保育が必要とされる家庭の把握と保育の代替措置の設定
⑤上記事項に関して、入園説明会等を通じた保護者等への周知
集中豪雨の経験からガイドラインを定めた岡山県倉敷市の事例を紹介します
岡山県倉敷市の休園ガイドライン
倉敷市では、平成30年9月、市内の全保育園を対象として災害時の休園ガイドラインを定めました。
●特別警戒・避難指示・避難勧告などがでたら、休園(登園後なら降園)すること。
●臨時休園の決定は倉敷市が行うこと
●警戒レベル3~5で、かつ、何時の段階で休園とするか
などが明記されています。
岡山県倉敷市がガイドラインを作った理由
きっかけは、平成30年西日本豪雨の被災経験です。
それ以前は明確な基準はなく、「状況によって臨時休園しよう」という程度の認識でした。
しかし西日本豪雨では、真備地区の保育園5園で全損や床下浸水を経験。豪雨のあと、「早めの避難のためには明確な基準が必要」と議論があり、ガイドラインが作られました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000756535.pdf
https://www.zenshihoren.or.jp/special/disaster-prevention/index.html
保育園の防災対策は、親子の防災意識向上にもつながる
この記事では、保育園での災害対策、保育園休園のルールを定めている自治体の事例をご紹介しました。
保育園での避難訓練や、日常のアクティビティを通じた防災の意識付けは、親にとっても防災を考えるきっかけになります。
ぜひ、ご自身の自治体で検討される際のご参考になさってみてください。