【まとめ】子どもを日常の不慮の事故から守る方法│こどもの事故防止ハンドブック
issuesの高松です。
交通事故、食べ物による窒息、熱中症など、日々子どもの事故に関する報道は絶えません。その中には大人が配慮することで防ぐことができる事故も数多くあります。
こども家庭庁の調査では、令和4年度の子どもの死亡は約2500人。そのうちの180人が不慮の事故です。年齢は0-4歳が全体の65%を占めます。
この記事では、子どもの痛ましい事故を防ぐため、「こどもの事故防止ハンドブック」から日常生活での注意点をまとめました。
窒息・誤飲事故
〇就寝時の窒息事故(好発年齢0~1歳):
うつ伏せで寝て、顔が柔らかい寝具に埋もれるのを防ぐため、できるだけベビーベッドに寝せて、布団は硬めのものを選ぶのがおすすめ。1歳までは仰向けに寝かせましょう。
・掛布団、ベッド上の衣類、ぬいぐるみ、スタイ(よだれかけ)で窒息:掛け布団は子どもが払いのけられる軽いものを選びます。子どもの近くに口や鼻を覆うもの、首に巻きつくものを置かないようにします。
・ベッドと壁の隙間などに挟まれる:寝ている間に動き回って怪我をしないように、できるだけベビーベッドを選ぶことがおすすめ。また大人ベッドにとりつける幼児用ベッドガードは、1歳半未満の子どもに使用すると事故につながるので、絶対に使わないでください。
・家族の身体の一部で圧迫される:大人と一緒に就寝して、気が付かずに大人が子どもの身体を圧迫感することがないよう、ベビーベッドの使用がおすすめです。
・ミルクの吐き戻しによる窒息:授乳のあとすぐに横にするのではなく、げっぷをさせてから寝かせるようにしましょう。
〇ブラインドやカーテンのひもなどによる窒息(好発年齢0~6歳):
ひもが首に絡まないよう、子どもの手の届かないところにまとめます。また踏み台に乗っても手が届かないようにする工夫もおすすめです。
〇包装フィルム、シールなどの誤飲(好発年齢0~3歳):
0~3歳はなんでも口にする年代です。手の届くところに飲み込む可能性のあるものは置かないようにしましょう。特にお兄ちゃんお姉ちゃんがいる場合、遊んでいたおもちゃがそのままだと、気がつかずに飲み込んでしまうことも。遊ぶ場所をきめて、誤飲がないようにしましょう。
〇たばこ、お酒、医薬品、洗剤、化粧品などの誤飲(好発年齢0~3歳):
タバコやお酒の誤飲は、中毒症状が現れることがあり、特に注意が必要です。こどもの目に触れない場所や、手の届かない場所に保管しましょう。
〇ボタン電池、吸水ボール、磁石などの誤飲(好発年齢0~5歳):
ボタン電池の誤飲は、食道につまったり、胃の中に止まると重症事故につながります。また樹脂製の吸水ボールは、腸閉塞を起こすリスクがあります。複数の磁石の誤飲は、消化管に穴があいたり、腸閉塞などを起こすおそれがあります。
〇食事中に食べ物で窒息(好発年齢0~6歳):
子どもは噛む力が弱いので、食べやすい形状にして食事に出します。また遊びながら、歩きながらの食事も避けましょう。
特に注意が必要なのは、
・トマトやブドウなどの球状の食品
・イカやエビなど噛み切りにくい食材(0歳〜1歳)
・気管に入りやすいナッツ類(5歳以下)
〇おもちゃなど小さな物で窒息(好発年齢0~6歳):
対象年齢より上のおもちゃは細かいパーツを含みます。手の届かないところに保管しましょう。また商品の対象年齢を守るのがおすすめです。
水まわりの事故
〇入浴時に溺れる(好発年齢0~5歳):
子どもは静かに溺れます。大人が髪をあらって目が離れる時間は、子どもは浴槽から出します。そうでないと溺れたことに気が付きません。また、お風呂で使う浮き輪でも溺れる事故が起きています。目を離さないようにしましょう。
〇浴槽へ転落し溺れる(好発年齢0~2歳):
子どもが浴槽の覗き込んで転落し、溺れることがあります。入浴後は、浴槽の水を抜き、浴室には外鍵を付けてこどもが入れないようにしましょう。
〇洗濯機、バケツや洗面器などによる事故(好発年齢0~5歳):
洗濯機、バケツ、洗面器に水を溜めたままにしないようにしましょう。また洗濯機にはチャイルドロックをかけて、蓋が開けられないようにします。
〇ビニールプールやプールでの事故(好発年齢1歳以上):
水深の浅い場所でも、こどもが溺れてしまうことがあります。水遊びの際は子どもから目を離さないようにします。
〇海や川での事故(好発年齢2歳以上):
必ずライフジャケットを着用し、大人が付き添います。
〇ため池、用水路、排水溝、浄化槽での事故(好発年齢2歳以上):
転落や転倒の可能性がある場所には管理者に柵の設置を要請しましょう。また子どもたちにも、危険な場所で遊ばないよう日頃から説明しておくことも大切です。
やけど事故
〇お茶、みそ汁、カップ麺などでのやけど(好発年齢0~2歳):
こどもの手が届かないように、高温の飲み物や汁物をテーブルに置くときは中央に置き、またこどもを抱っこしたまま扱わないようにしましょう。
〇電気ケトル、ポット、炊飯器でのやけど(好発年齢0~2歳):
電気ケトルやポットは倒れても中身がこぼれない製品を選びましょう。また、コードも含めこどもの手の届かない場所に設置しましょう。また炊飯器の蒸気にふれてやけどすることもあるので、置く場所に注意が必要です。
〇暖房器具や加湿器でのやけど(好発年齢0~2歳):
電気カーペットは低温やけどのリスクがあり、長時間の使用に注意が必要です。また、加湿器の蒸気や倒したはずみで熱湯を浴びることがあるので、転倒しても熱湯がこぼれないタイプの商品を選ぶことがおすすめです。
〇調理器具やアイロンでのやけど(好発年齢0~2歳):
調理器具は調理中、調理後も熱いことがあるので、子どもが触らないよう注意が必要です。また、アイロンやヘアアイロン使用時には子どもを近づけないようにしましょう。
〇ライターや花火でのやけど(好発年齢2~6歳):
使い捨てライターは子どもが操作できない幼児対策機能がある、PSCマーク付きのライターを選びましょう。
転落・転倒事故
〇大人用ベッドやソファからの転落(好発年齢0〜1歳):
寝返りによる転落に注意が必要です。2歳になるまでは大人用ベッドは避ける方が良いでしょう。
〇ベビーベッドやおむつ替えの時の台からの転落(好発年齢0〜1歳):
ベビーベッドは柵をあげて使用しましょう。おむつ交換台など高さがある場所でのおむつ替えは、子どもを下ろしてから後片付けをします。備え付けのベルトは万能な転落防止にはならないので注意が必要です。
〇椅子やテーブルからの転落(好発年齢0〜1歳):
椅子の上に立ち上がらないようにしましょう。ハイチェアの場合、安全ベルトをしめるのがおすすめです。
〇階段から転落、段差での転倒(好発年齢0〜1歳):
はいはい期から階段からの転落リスクがあります。転落防止柵をつけて、子どもが開けられないようにロックしましょう。
〇べランダなどからの転落(好発年齢1歳以上):
ベランダを遊び場にしないこと、またベランダに植木や椅子など踏み台になるものを置かないようにします。また、子どもだけを残して外出することを避けましょう。
〇窓や出窓からの転落(好発年齢1歳以上):
窓は簡単に開けられないように補助錠をつけましょう。また窓の近くに踏み台になるものは置かないようにします。網戸で過ごす場合、網戸に寄り掛かると破れて転倒のおそれが。網戸に近づかないようガードを入れることも有効です。
〇抱っこひも使用時の転落(好発年齢0-2歳):
抱っこ紐で前屈みになるときは、子どもが落ちないように手で支えます。
〇ベビーカーからの転落(好発年齢0-2歳):
段差に引っかかったり、重い荷物でバランスを崩して転倒することがあるので、注意が必要です。またベビーカーの安全ベルトも正しく装着します。
〇ショッピングカートからの転落(好発年齢0-2歳):
ショッピングカートの幼児用座席に座らせて、立ったりしないようにします。
〇遊具(すべり台、ジャングルジム、ブランコなど)からの転落(好発年齢2歳以上):
遊具の対象年齢を守り、大人が目を離さないようにします。マフラーや水筒など引っかかるものは外してから遊びましょう。
〇ペダルなし二輪遊具、キックスケーター等で転倒(好発年齢2歳以上):
こどもが足で蹴って進むペダルなし二輪遊具や、キックスケーターは、道路交通法上、交通量の多い道路では使用できません。また必ずヘルメットや膝や肘にプロテクターを装着しましょう
自動車・自転車関連の事故
〇チャイルドシート未使用による事故(好発年齢0-6歳):
短時間の乗車でもチャイルドシートを使用します。説明書きを読んで正しく装着することが大切です。
〇車のドアやパワーウインドウに挟まれる事故(好発年齢0-3歳):
車のドアやパワーウインドウを閉める時は、こどもの顔や手が出ていないか安全を確認します。また子どもが自分で操作できないように、ロック機能の活用も有効です。
〇車内での熱中症(好発年齢0-6歳):
子どもを車内に残しておくことは危険です。車内の温度は上がり、熱中症から死に至ることがあります。
〇道路上などでの事故(好発年齢1歳以上):
こどもと歩く時は、手をつなぎ、白線の内側を歩きます。また、歩道を歩くときは、大人が車道側を歩くようにしましょう。
〇こども乗せ自転車での転倒(好発年齢0-6歳):
都道府県公安委員会規則では、こどもを乗せることは、未就学児で、幼児用座席を設置した場合に認められています。抱っこひもでこどもを前抱っこしながら運転することは道路交通法違反です。
〇自転車に乗せたこどもの足が後輪に巻き込まれる、スポーク外傷(好発年齢0-6歳):
後輪へのスカート等の巻き込みを防止するドレスガードを設置すると足の巻き込み防止に有効です。
挟む・切る・その他の事故
〇カミソリ、カッター、はさみなどの刃物やおもちゃでのけが(好発年齢0-2歳):
洗面台や風呂場にあるカミソリは使用したら、すぐにこどもの手の届かない所に保管しましょう。
〇小さな物を鼻や耳に入れる(好発年齢0-3歳):
ビーズやプラスチックの玉、小さなおもちゃ部品やお菓子などを鼻や耳の穴に入れて遊ぶことがあるので注意が必要です。
〇テーブルなどの家具で打撲(好発年齢0-3歳):
角の丸い家具を選ぶ、クッションテープを取り付けるなどして、ぶつかってもけがをしないように工夫をしましょう。
〇ドアや窓で手や指を挟む(好発年齢1-3歳):
ドアや窓の開閉時には、こどもが近くにいないか確認します。またドアは風で急に閉まることがあるので注意が必要です、
〇キッチン付近で包丁、ナイフでけが(好発年齢1-6歳):
包丁の収納場所の扉や引き出しにはチャイルドロックを付けるなどの工夫をしましょう。
〇タンスなどの家具を倒して下敷きになる(好発年齢1-6歳):
タンスなどの家具は固定し、引き出しや開き扉にはストッパーを付け、家具で遊ばせないようにしましょう。
〇ドラム式洗濯機での事故(好発年齢2-6歳):
ドラム式洗濯機にこどもが入り、窒息する事故が起きています。ドラム式洗濯機は、未使用時でも、蓋は必ず閉めて、チャイルドロック機能を利用しましょう。
〇歯磨き中に歯ブラシでの喉突きなどの事故(好発年齢1-6歳):
歯磨き中は、保護者がそばで見守り、歯ブラシを口にくわえたり、手に持ったまま歩き回ったりせず、床に座らせて歯磨きをさせます。歯磨き中に転倒すると、喉の奥に突き刺さり、脳まで達することもあり危険です。
〇エスカレーター、エレベーターでの事故(好発年齢0-6歳):
ベビーカーでのエスカレーターの利用は避けます。エスカレーターをこどもが利用する際は、必ず大人が手をつなぎ、靴やサンダル、衣類の裾などが挟み込まれないよう、黄色い線の内側に立たせます。
〇機械式立体駐車場での挟まれ事故(好発年齢1-6歳):
機械式立体駐車場で、機械にこどもが挟まれる事故が起きています。駐車装置の操作中は装置から離れず、こどもが近づかないよう注意しましょう。
もしもの時の「応急手当方法」
救命講習は、お近くの消防署などで受講できます。
<胸骨圧迫(心臓マッサージ)>
意識がなく呼吸が停止している場合は、直ちに胸骨圧迫による心肺蘇生を開始します。幼児でも乳児でも、胸の厚さが3分の1くらい沈む強さで、1分間に100~120回のスピードで圧迫します。
・幼児の場合:胸骨の下半分を、手のひらの根元で押します。
・乳児の場合:左右の乳頭を結んだ線の中央で少し足側を、指2本で押します。
<人工呼吸>
あお向けにして、頭を後ろに反らし、同時に顎の先を上に持ち上げ、気道を確保します。
・幼児の場合:鼻をつまみ、口と口をくっつけて息を吹き込みます。
・乳児の場合:口と鼻を一緒に覆い、胸が軽く上がる程度まで息を吹き込みます。
やけどをしてしまった時
やけどをしてしまったら、すぐに10分以上冷やします。刺激を避けるため、容器に溜めた水で冷やすか水道水・シャワーを直接当てないようにしましょう。服の上から熱湯などがかかった場合は、脱がさずに服の上から冷やします。
異物を飲み込み喉に詰まってしまった時
119 番通報を誰かに頼み、直ちに以下の方法で詰まった物の除去を試みます。
1歳以上の幼児には、まず「背部叩打法」を行い、異物が除去できなかった場合は「腹部突き上げ法」を行います。1歳未満の乳児には、「背部叩打法」と「胸部突き上げ法」を数回ずつ交互に行いましょう。
意識がない場合は、心肺蘇生を行います。
<背部叩打法(はいぶこうだほう)>
幼児はこどもの後ろから片手を脇の下に入れて、胸と下あご部分を支えて突き出し、あごをそらせます。片手の付け根で両側の肩甲骨の間を強く迅速に叩きます。乳児は片腕にうつぶせに乗せ顔を支えて、頭を低くして、背中の真ん中を平手で何度も連続して叩きます。
<胸部突き上げ法(きょうぶつきあげほう)>
片手で体を支え、手の平で後頭部をしっかり支えます。心肺蘇生法の胸部圧迫と同じやり方で圧迫しましょう。
<腹部突き上げ法(ふくぶつきあげほう)>
幼児は、後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片方の手を握り拳にして、腹部を上方へ圧迫します。
打撲をしてしまった時
〇頭の打撲の場合:
傷口から出血している時は、傷口を閉じるようにガーゼで圧迫し、安静にして様子をみましょう。顔色が悪く元気がないときは、小児科や脳外科を受診しましょう。意識があって元気なときでも、1日~2日は安静にして様子をみます。こぶができた程度なら、安静にして冷たいタオル等で冷やします。
〇身体の打撲の場合:
腕や足などを打った時は、冷たいタオルなどで冷やします。おなかを強く打った時は、衣類を緩めて、安静にして、病院を受診しましょう。
出血した時
傷の処置で大事なのは止血です。まずは水で傷を洗います。これは感染防止にもなります。傷口の深さと大きさを確認してガーゼを当てて止血します。それでも血が止まらず、出血がひどい時は、止血しながら病院を受診しましょう。
熱中症の応急手当
涼しい場所や日陰のある場所へ移動し、衣服を緩め、安静に寝かせます。首の周り、脇の下、太ももの付け根など太い血管の部分を冷やしたり、飲めるようであれば水分と塩分をこまめに取らせます。
誤飲の対応
飲んだものによって、緊急性の高いものや吐かせてはいけないものがあります。基本的には、吐かせずに、同じものを病院に持参して受診しましょう。応急手当がわからないときや受診の必要性は、医療機関や子ども医療電話#8000に相談しましょう。
苦しそうな呼吸、窒息・顔色が青白、けいれん、ぐったりして呼び掛けてもぼんやりしている時には、すぐに救急車を呼びます。ボタン電池、磁石、水で膨らむビーズ、たばこ等を食べてしまったら、すぐに受診が必要です。
子どもの事故を防ぐために大人ができること
この記事では「こどもの事故防止ハンドブック」の内容についてご紹介しました。
子どもの周囲の大人たちが、子どもの身の回りの危険を予め知り対策を立てることで、防げる事故があります。
ぜひお住まいの子ども安全を守る参考になさってみてください。
<参考サイト>
こどもの事故防止ハンドブックについて│こども家庭庁
こどもの不慮の事故の 発生傾向と対策等│こども家庭庁 2024