クリーンな選挙活動を!公職選挙法違反になってしまった事例をまとめてみた

issues(イシューズ)の米久です。

公務員ならば誰もが理解しているつもりの「公職選挙法」ですが、選挙期間後に公職選挙法違反で逮捕や辞任されたという報道を耳にする機会も少なくありません。議員本人が公職選挙法について正しく理解していたとしても、秘書や選挙事務所スタッフが故意でなくと意図せず違反してしまったという実例もあります。本記事では、そもそも公職選挙法とは何か、どういった行為が公職選挙法違反になってしまうのか、どんな罪に問われるのかなど事例を詳しくまとめました。是非最後までお読みいただき、気付いたら犯罪に関わってしまったということがないよう理解を深め、公職選挙法違反にならないようご確認いただけますと幸いです。

公職選挙法とは

23008611_s (1)

公職選挙法とは、国会議員や地方公共団体の議員を選ぶための国政選挙、地方選挙などの公職選挙について定めた法律で、候補者や選挙事務関係者だけでなく有権者にも適用されます。

この法律の目的は「日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期すること」と定めています。(引用:昭和二十五年法律第百号:公職選挙法

また、公正な選挙を行うために禁止事項が規定されており、これに反すると公職選挙法違反になります。選挙違反となる行為は、金銭や物品などによる票の獲得や誘導をする「買収罪」、特定の有権者や選挙運動に対する寄付などの直接利害関係を利用した投票の誘導などを指す「利害誘導罪」などがあります。

また、平成25年に公布されたインターネット等を利用した選挙運動が一部解禁されましたが、使い方を間違えると罪に問われる可能性があります。次に、実際に起きてしまった公職選挙法に違反してしまった事例を解説します。

◉インターネット選挙運動について

公職選挙法違反になった事例

5175141_s (1)

公職選挙法に違反する恐れがある、または違反した一部の実例をまとめました。

 

有料ネット広告を掲載

東京都江東区区長の陣営が、選挙期間中にYouTube上に有料ネット広告を掲載し投票を呼びかけていたことで違反しました。また、区長を支援した前法務副大臣が有料ネット広告の利用を提案・掲載させるなどの罪で起訴されました。

インターネットを利用した演説の動画配信や政策宣伝などの「政治活動」は認められていますが、候補者の氏名や政党を表示させた挨拶目的の有料広告の使用は資金のある候補者が有利になる等の理由から公平性を保てなくなるため違反となります。ただし政党等に限り、当該政党等の選挙運動用ウェブサイト等に直接リンクした有料インターネット広告(バナー広告等)を掲載することができます。

◉インターネット選挙運動に関する注意

 

選挙運動期間外にSNSへ為書きを投稿

選挙運動期間外に立候補予定者へ向けた必勝の為書き写真をSNS(X、旧Twitter)に投稿しました。

この実例は、県警から事前運動にあたる恐れがあるとして警告を受けました。上記で解説した通り政策の普及宣伝などの「政治活動」の場合は問題ありませんが、当該件は特定の選挙で特定の候補者の当選をはかることを目的に投票行為を勧める「選挙運動」に該当する可能性があると見なされます。

◉元長崎県議会議員北村貴寿ウェブサイトより

◉公職選挙法の一部を改正する法律案(インターネット選挙運動解禁)要綱

 

選挙はがきの宛名書き依頼で罰金30万円

前衆議院議員が公示日より前に母校の卒業生に、自身と所属する政党への投票を呼びかける選挙はがきと、宛名書き等を依頼する文書の封書を送りました。

この実例は、選挙ハガキの宛名を書く作業依頼の文書の送付は、公示前でも選挙運動の準備行為として認められていますが、送付先が母校卒業生という「不特定多数」にあたることが問題になります。実質的な投票を依頼するもので公示前の選挙運動にあたるとし、一審・二審とも罰金30万円の有罪判決を言い渡されました。

 

IR(統合型リゾート)汚職事件

現職国会議員がカジノを含む統合型リゾート(IR)参入を計画した中国企業側から計約758万円を受領しました。

この実例は収罪及び証人を買収しようとした組織犯罪処罰法違反にあたるとして実刑となりました。元政策秘書も当事件に加担したとして、収賄罪に問われ懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡されました。

 

有権者への寄付行為

元経済産業大臣が東京都練馬区の有権者に対して、香典や枕花など総額約80万円相当を渡しました。

この実例は、違法に寄付をしたなどとして公職選挙法の罪に問われ罰金40万円、公民権停止3年の略式命令を受けました。

 

大規模買収事件

元法務大臣が妻を当選させるため地方議員ら100人に現金計約2871万円を配ったとして罪に問われました。

買収罪などで懲役3年追徴金130万円の判決が言い渡されました。現金を受け取った地方議員らも公職選挙違反で起訴され、全員が在宅起訴や略式起訴となりました。

 

意図せず違反することがないように

27757637_s (1)

本記事では、公職選挙法違反とは何か、どういった行為が公職選挙法に違反するのか一部の警告・検挙された事例を基に解説してきました。

公職選挙法違反にならないようにするために、事例を基に正しい理解を深め、公平・公正な選挙活動をする上での参考にしていただけますと幸いです。