選挙の禁止事項まとめ|選挙活動で気を付けたい違反行為と罰則

issuesのにしのです。
選挙活動にまつわる違反行為や罰則について、正しく理解できていますでしょうか?選挙に関する違反行為は、たとえ意図していなかったものであっても、議員としての信頼を失い、場合によっては刑事罰を受ける結果を招きます。この記事では、選挙違反の種類と罰則について詳しく解説いたします。選挙活動を適正に行うためには、違反行為を避ける知識を身につけることが重要です。ぜひ最後までお読みいただき、選挙活動の際の参考としてご活用ください。

選挙違反の種類と罰則について

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選挙は民主主義の根幹を成すものであり、公正かつ公平に行われることが求められます。ここでは選挙の公平性を維持するために定められた選挙違反の種類と、それに対する罰則について詳しく説明します。

選挙違反の種類

  • 買収罪
    買収とは、金銭や物品、接待などを提供することで票を獲得しようとする行為です。実際に金銭を渡さなくても、約束するだけで違反となります。また、買収に応じた場合や、他人に買収を促した場合も処罰の対象です。
  • 利害誘導罪
    利害誘導罪は、特定の有権者や選挙運動者に対して、その者や関係する団体(寺社、会社、学校、組合、市町村など)に寄附などの特別な利益を提供して投票を誘導する行為です。これに応じた場合や、他人に利害誘導を促した場合も処罰されます。
  • 選挙妨害罪
    選挙妨害とは、有権者や候補者に対する暴行や脅迫、集会や演説の妨害、文書やポスターの破壊、候補者の職業や経歴に関する虚偽の情報を流布する行為を指します。偽名を使った通信も処罰の対象です。
  • 投票に関する罪
    詐欺的手段で選挙人名簿に登録させる行為、投票所で虚偽の宣言をする行為、投票を偽造・増減する行為は、すべて処罰されます。また、投票所や開票所で有権者に対して指示や勧誘を行う行為や、投票内容を知ろうとする行為も処罰の対象となります。

選挙違反の罰則

  • 選挙権・被選挙権の停止
    選挙違反で刑罰を科せられた者は、一定の期間、選挙権と被選挙権が停止されます。この停止期間中、該当者は投票することも立候補もできません。この措置は、選挙の公正性を確保するために重要な役割を果たしています。
  • 連座制
    連座制とは、候補者や立候補予定者と密接な関係にある者(例えば秘書や親族など)が選挙違反を犯した場合に適用される制度です。たとえ候補者や立候補予定者自身が違反行為に直接関わっていなくても、関係者が買収罪などの罪を犯し、刑に処せられると、候補者や立候補予定者の当選が無効となります。また、これに加えて立候補制限という制裁も科されます。

満20歳未満の者が選挙犯罪等を犯した場合

満20歳未満の者が犯罪を犯した場合、通常は少年法の適用を受けます。懲役などの刑罰が科される刑事処分ではなく、少年院への送致などの保護処分が一般的です。

しかし、満18歳以上満20歳未満の者でも選挙違反を犯した場合、刑事処分の対象となるケースがあります。例えば、候補者の子による買収罪などです。家庭裁判所が選挙の公正確保に重大な支障を及ぼすと認めた場合、保護処分ではなく刑事処分の対象となり、連座制が適用されます。

たとえ連座制の対象とならない場合でも、家庭裁判所の判断で刑事処分の対象とすることも可能です。このように、満20歳未満の者でも選挙犯罪に対する対応は厳格なものになっています。

寄附禁止の具体例について

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政治家と有権者のクリーンな関係を保ち、選挙や政治の腐敗を防止することを目的として寄附の禁止が定められています。ここでは、寄附禁止の具体例について詳しく解説します。

  • 政治家からの寄附禁止
    選挙の有無にかかわらず、政治家が選挙区内の住民に対して寄附を行うことは原則として禁止されています。これは寄附の名義や形式に関係なく適用され、特定の例外を除いて一切認められません。また、住民側から寄附を求めることも禁止されています。冠婚葬祭の際の贈り物も寄附と見なされるため、特に注意が必要です。
  • 後援団体からの寄附禁止
    政治家の後援団体(後援会など)による寄附も、政治家自身による寄附と同様に法律で厳しく禁止されています。ただし、例外として「後援団体の設立目的に沿った行事や事業に関する寄附」は認められています。しかしこの場合でも、花輪や供花、香典、祝儀などの提供、および選挙前の一定期間内の寄附は一切禁止されています。これは後援団体を通じた不正な影響力の行使を防ぎ、公正な選挙を維持することを目的としています。
  • 政治家の関係会社などからの寄附禁止
    政治家が役職員や構成員として関与している会社や団体が、政治家の名前を表示して寄附を行うことは禁止されています。同様に、政治家の名前を冠した会社や団体が、選挙に関連して行う寄附も認められていません。これらの寄附行為は、政治家本人の寄附と同様に取り締まられ、厳しく規制されています。
  • 政治家等への寄附制限
    政治家やその関係者に対する寄附については、政治資金規正法によって厳しく制限されています。これには寄附の量的制限や質的制限が含まれており、特に国や地方公共団体と契約関係にある企業や個人からの寄附にはさらなる制限が課せられています。

禁止事項に留意しクリーンな選挙の実現を

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この記事では、選挙における禁止事項について解説してきました。選挙違反の防止や寄附の禁止は、公正な選挙を実現するための重要な要素であり、政治家と有権者の関係をクリーンに保つために欠かせない規制です。選挙に関わるすべての人々がこれらのルールを遵守することで、選挙や政治の腐敗を防ぎ、健全な民主主義の実現に寄与できます。

選挙違反や寄附の禁止に関する知識を深めることは、思わぬ違反行為を未然に防ぐためにも大切です。ぜひ支持者にも選挙に関するリテラシーを求め、公正な選挙を実現させましょう。

【参考資料】
選挙違反と罰則.総務省.2024
寄附の禁止.総務省.2024