住民参加型予算と地方自治 ~東京都杉並区「皆さんとつくる予算」の事例紹介~
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住民にもっと行政を身近に感じてもらいたい
- 住民の声を取り入れた予算編成を検討したい
このようなお悩みはありませんか?
本記事では、
- 住民参加型予算とは?
- 事例紹介 ~東京都杉並区「皆さんとつくる予算」~
- 参加型予算を導入する際の注意点
について紹介します。
住民参加型予算の事例を知ることで、住民と行政を身近な関係にするヒントが生まれることでしょう。ぜひ最後までお読みください。
住民参加型予算とは?
住民参加型予算とは、行政の資源配分を決める重要な政策過程である予算編成に、住民が直接関与する仕組みのことを指します。住民に身近な存在である地方自治体では、住民が政策過程の諸段階に自発的に関与する「参加」が重要となってきます。
そこで、住民の意思を行政活動にダイレクトに反映できる方法として、住民参加型予算が近年注目を集めています。国内では三重県、東京都、世界ではブラジル、フランス、ポルトガル等で先行事例があります。
今回は、令和5年度に東京都杉並区で実施された住民参加型予算「皆さんとつくる予算」について、事例をご紹介します。
【参考資料】https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202005/202005j.html
事例紹介 ~東京都杉並区「皆さんとつくる予算」~
東京都杉並区では、令和5年度のモデル事業として、住民参加型予算「皆さんとつくる予算」を導入しました。住民参加型の行政を目指す岸本区長が力を入れる施策で、都内の市区町村では初の取り組みです。
「皆さんとつくる予算」 施策の流れ
「皆さんとつくる予算」 施策の概要
①区民からの事業提案
森林環境譲与税基金の使い道について、下記の事業要件を提示した結果、区民から57件の提案がありました。
<事業要件>
- 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に掲げる施策(間伐等の森林整備関係、人材育成・担い手対策、木材利用・普及啓発)に該当するもの
- 1 事業につき 2,000 万円以内のもの
- 単年度事業であるもの
②区による内容確認
区で内容を確認し、区民と作り上げた10事業を選定しました。
③区民投票の実施
令和5年10月1日~31日に区民投票が行われ、6,991票の投票がありました。結果は下記のとおりでした。
④区による予算編成
⑤区議会による議決
予算案に計上する事業案を区長が決定し、令和6年1月下旬に予算案を発表します。
参加型予算を導入する際の注意点
東京都杉並区で実施された住民参加型予算「皆さんとつくる予算」の参加者アンケートによると、
「納めた税金の使いみちを区民が考える良い機会になる。画期的な取り組みだと思う。」
「行政が区民の意向を知る良い機会。区民の参加意識、当事者意識を高めるきっかけにもなる。」
という好意的な声があった一方で、
「投票期限近くになって参加型予算の存在を初めて知った。事業募集を行っていたことは知らなかった。」
「投票システムを改善してほしい。」
という、広報やシステム上の課題の声もあがりました。
参加型予算の導入を成功させるにあたり、モデル事業で見出された課題をどのように解決していくかが、大切なポイントといえるでしょう。
【参考資料】https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202005/202005j.html
住民参加型予算で、住民と政治を身近な関係に
本記事では、東京都杉並区の事例をもとに、住民参加型予算のメリットや、注意点についてご紹介しました。
住民と政治を身近な関係にするヒントとして、ぜひご活用ください。