【勉強会レポート】街の不安を取り除く!地元企業のための外国人材雇用と「予防設計」
先日、「issues官民共創勉強会」にて「街の不安を取り除く!地元企業のための外国人材雇用と「予防設計」をテーマとしたオンライン勉強会が開催されました。
今回は、株式会社MOL CAREER 取締役 田上竜也氏と、同社のとど氏をお招きし、外国人材の雇用と地域共生についての勉強会を開催しました。
主催のissuesは特定の企業の営業支援を行うものではなく、官民共創の促進を目的とし、議員の皆様へ先進事例の共有や学びの機会を提供する中立な立場として本レポートをお届けします。
このレポートでは、ご多忙のため勉強会にご参加いただけなかった地方議員の皆様へ、外国人材の増加に伴う住民不安の解消と共生社会の実現に関する社会課題にフォーカスした当日の主要な内容を、具体的な事例と質疑応答の内容を踏まえてお伝えします。
在日外国人の現状
2025年末の在留外国人数は400万人を超え、全人口の約3.3%に達しています。また、外国人労働者数も13年連続で増加しており、2025年には過去最多の257万人となりました。この傾向は全国的なものであり、現在、外国人住民と無関係の都道府県は存在しません。 日本社会が人口減少の本格局面に入り、生産年齢人口の減少や地方の担い手不足が深刻化する中、国は外国人材の受け入れと共生を国家戦略として推進しています。これは検討段階ではなく、すでに実行フェーズにあると位置づけられています。
住民不安が生まれる構造
在留外国人の増加に伴い、外国人に関する相談やトラブルの件数も増加傾向にあります。しかし、その多くは悪意によるものではなく、「制度の複雑さ」「設計不足」「情報格差」に起因しています。相談内容の約半数は「在留資格・在留手続き」および「労働条件・雇用」に関連するものです。 企業が雇用後の生活サポートを行わず現場に丸投げしてしまうことで、ゴミ出しのルール違反や騒音といった生活トラブルが散発し、これが地域住民の不安に繋がる構造があります。この住民不安や不信感を放置すると、最終的には行政の対応コストの増大や、企業の採用難による地域経済の停滞といった地域の財政問題に転化することが指摘されています。
外国人共生の先進事例
北海道東川町では、人口減少の危機に直面する中で、外国人を単なる労働力としてではなく「地域の担い手」として受け入れる設計への転換を行いました。2015年に町立日本語学校を設立し、これを行政主導の受け入れの核としています。 企業任せにするのではなく、自治体が「受け入れの設計者」として機能し、就労・住居・生活をセットで設計する面での受け入れを実施しています。また、多言語資料による事前教育や生活情報の発信を通じてトラブルを予防し、地域イベントでの交流によって関係構築を図っています。結果として、外国人比率が約15〜20%であっても大きな社会問題は発生しておらず、定着と長期居住が成立しています。
解決の方向性と予防的投資
外国人対応において、問題発生後の事後対応は行政コストの増大を招くため、トラブルを未然に防ぐ「予防設計」への投資が必要とされています。解決策の方向性として、「雇用(入口の設計)」「共生(関係の設計)」「運用(現場の設計)」の一体的な設計が挙げられます。 現状、多くの自治体では市民課などが窓口業務を兼務しており、専門的な支援や企業との労務調整まで手が回らない課題を抱えています。そのため、行政、企業、地域が連携し、地域全体での受け入れ基盤を強化することが、持続可能な共生社会の実現に向けた有効な手段となります。
質疑応答やハイライト
質問:不法就労などは自治体として把握しているのでしょうか。
回答:日本に3ヶ月以上滞在する外国人は在留カードが発行され、自治体に住民登録をするため、基本的な情報の紐付けはされています。また、特定技能や技能実習の場合は受け入れ企業と支援機関が状況を管理し、失踪等の場合は国に通報される仕組みがあります。ただし、日常ですれ違う個人の状況を常に見極めることには限界があるため、地域での相互理解が重要となります。
質問:外国人と地域住民との懇親会を開催し、お互いを知ることがトラブルを防ぐことになるのではないでしょうか。
回答:地域住民との交流の機会を設けることは、外国人を理解し、誤解を解くための非常に良い機会です。受け入れ企業側が主導して交流の機会や日本語学習の機会を提供することは制度上求められている役割でもあり、外国人が地域で孤立することを防ぐ意味でも重要です。
質問:すべてが行政任せにならないようにするためのステップや注意点はありますか。
回答:行政だけで対応することには限界があります。まず受け入れの主体となる企業に対して、国が定めた制度や守るべき法令をしっかりアナウンスし、理解してもらうことが重要です。企業側がそれらを遵守し、最終的に外国人本人に落とし込んで守らせていくという連携を一貫して行うことが、行政の負担を軽減するポイントとなります。
まとめ
今回の先進事例は、外国人材の受け入れが単なる労働力不足の解消にとどまらず、地域社会の持続可能性に直結する課題であることを示しています。事後対応による行政コストの増大を防ぐためには、自治体が主体となって雇用・共生・運用を一体的に設計し、予防的な支援に投資することが重要です。この予防的アプローチは、地域住民の不安を解消し、地元企業の人材確保を支えるとともに、中長期的な地域の財政問題の回避という多角的な地域課題解決において大きな意義を持っています。
自治体規模に応じた具体的な対策シミュレーション
皆様が活動されている自治体の地域特性や予算規模に合わせた、より具体的な先進事例の共有と課題解決の相談会(ミートアップ)を実施しています。
個別相談をお申し込みいただいた皆様には、本勉強会のアーカイブ動画を共有いたします。
動画を事前にご覧いただき、あらかじめ自治体の担当課と地域の現状や課題感についてコミュニケーションを取っていただいた上で相談会(ミートアップ)ご参加いただけますと、当日はより地域の実情に即した有意義な情報交換が行えます。
地域の社会課題解決に向けた具体的なステップとして、ぜひこの機会をご活用ください。
個別相談の予約リンクは以下からご確認ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
issuesでは、今後も議員の皆様の地域課題解決の一助となるような情報発信や勉強会を実施してまいります。
