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自治体が取り組む最低賃金引き上げの重要性|地域経済の活性化へ

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止まらない物価の上昇や、少子高齢化の進行による人材不足を背景として、企業の最低賃金引き上げを推進したいと考える自治体も多いのではないでしょうか。この記事では、自治体における最低賃金引き上げ施策の重要性や、実際に行われている支援策を参考に、賃金引き上げの施策について解説していきます。ぜひ最後までお読みいただき、地域の中小企業を支援する際の参考としてご活用ください。

そもそも最低賃金はどうやって決まっている?

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最低賃金制度は、労働者の生活を支えるために国が定める制度です。地域ごとに最低賃金が設定され、雇用者はこれを下回らないように労働者に支払わなければなりません。

最低賃金は公益代表、労働者代表、使用者代表で構成される最低賃金審議会によって決定されます。この審議会では、中央からの引上げ額の目安を元に各地域の実情を考慮し、都道府県労働局長が最終的な決定を下します。

最低賃金の決定にはいくつかの要素が考慮されます。まず、「労働者の生計費」が重要な要素です。労働者が健康的で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用が算出され、それに基づいて最低賃金が設定されます。さらに、「労働者の賃金」と「通常の事業の賃金支払能力」も考慮されます。

都心部と地方の最低賃金が異なる理由は、この生計費の違いにあります。都心部はあらゆる物価が高いため、その分最低賃金も高く設定されています。特定の業種や職種においては、他の業種に比べて労働条件が厳しい場合、それを反映して最低賃金が設定されることもあります。

最低賃金制度には賛否もありますが、労働者の生活を支え、社会の安定に貢献する重要な制度であると言えます。地域の実情や経済状況を考慮しながら、公平かつ適切に最低賃金が決定されることが求められます。

自治体における最低賃金引き上げ施策の重要性

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国が定める最低賃金は毎年引き上げられており、その影響は地方の中小企業にこそ及んでいます。賃上げによる人件費の増大は企業の経営を圧迫するという懸念が根強く、賃金水準が最低賃金付近で張り付いている傾向から、経営者の多くが賃上げの上昇を経営の脅威だと捉えていることがみてとれます。

しかし実際には、賃上げは事業活性化につながる大きな要因です。賃上げにより従業員の労働意欲が高まり、サービスの質が向上することは明白であり、さらに賃上げに取り組む企業は消費者からの支持を受け、売り上げが好転するデータが実際にあります。最低賃金の引き上げが,経営の圧迫や倒産・失業を招くという懸念は事実とは異なります。

地方における最低賃金引き上げの課題を解決するためには、まず最低賃金を引き上げることで内需を掘り起こすという考え方が必要です。そして中小企業の経営者が安心して最低賃金が引き上げられるよう、自治体や県レベルでの企業支援政策の拡充が不可欠と言えるでしょう。

福岡県の事例 ~経営革新賃上げ環境整備緊急支援補助金~

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福岡県では、中小企業の経営向上を図り、持続的な賃上げを実現するために、「新事業活動」を支援する取り組みが行われています。その一環として、「経営革新賃上げ環境整備緊急支援補助金」が実施されています。

この支援プログラムは、経営革新計画の承認を受けた福岡県内の中小企業や、県内に住民登録を行っている個人事業主を対象としており、経営革新計画に必要な経費の一部を補助します。経営革新計画とは、中小企業が新たな事業活動に取り組み、経営を向上させるための中期的な計画です。

具体的には、設備機器導入費やシステム導入費、外注費、広告宣伝費などが補助対象になります。補助率は対象経費の2/3以内で、上限は65万円です。

この支援プログラムを利用することで、中小企業は経営革新計画実行時の負担を軽減することが可能。中小企業の持続的な賃上げを促進し、地域経済の発展に貢献することが期待されています。

北九州市の事例 ~北九州市生産性向上・賃金引上げ応援補助金~

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さらに北九州市では、県とは別の独自の政策として、国の業務改善助成金の交付決定を受けた市内の事業者に最大60万円の上乗せ補助金を提供しています。

この制度は、市内の中小企業の生産性向上を奨励し、労働者の賃金を増やすことを目的としています。補助率は補助対象経費の10分の1で、設備投資などの業務改善に要する経費に対して給付されます。

補助金の利用には、事業場内で最低賃金を30円以上引き上げることと、生産性向上に関連する設備投資を行うことが条件とされています。補助率や上限額は、賃金引き上げの額や従業員数に応じて変動します。

この取り組みによって、北九州市の中小企業は生産性向上と賃金引き上げを実現し、地域経済の活性化につながることが期待されています。

中小企業支援を拡充し最低賃金引き上げを

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この記事では福岡県の事例を参考に、最低賃金引き上げのための自治体の取り組みについて解説してきました。企業側も働き手側も恩恵を受けられる支援を行うことで、持続的な地域経済の発展を促せます。ぜひ参考にしていただき、お住まいの地域のヒントとしていただければ幸いです。

【参考資料】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalm/24/0/24_35/_pdf/-char/ja
https://www.pref.yamanashi.jp/rosei-jin/chinginhikiage_hojokin.html
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/keieikakushingenyukoto.html
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/san-kei/09801348.html