財政負担ゼロで実現する、子育て世帯の「時間貧困」解消と保育の質の向上
「issues官民共創勉強会」では、「災害対策にも財政負担ゼロでできる子育て世帯の課題解決」をテーマに、BABY JOB様をお招きし、深刻化する子育て世帯の社会課題と、その解決に向けた具体的な施策についてご紹介いただきました。
このレポートでは、ご多忙のため勉強会にご参加いただけなかった地方議員の皆様へ、子育てに関する社会課題にフォーカスした当日の主要な内容を、具体的な事例と質疑応答の内容を踏まえてお伝えします。
1. 深刻化する少子化と共働き世帯の「時間貧困」

日本の少子化は深刻です。2024年の出生数は過去最少の720,988人となり、これは将来人口推計の低位推計(66.8万人)に迫る水準です。少子化対策においては、保育定員の拡充が出生数増加に寄与するという先行研究もあり、保育施策の重要性が高まっています。
しかし、核家族化が進み、子育て世帯の7割超が共働き世帯となる中で、多くの家庭で新たな課題が生まれています。特に注目すべき社会課題が「時間貧困」です。
「時間貧困」とは、やりたいことがあるのに時間が足りていない状態を指します。6歳未満の子どもを持つ正社員として働く共働き世帯の妻の80.9%がこの時間貧困に陥っているというデータがあり、この状況は少子化対策において克服すべき重要な課題とされています。
2. 保護者と保育士が抱える日常の隠れた負担

子育て世帯の「時間貧困」は、日常の身体的・時間的な負担(疲労感、家事負担)の大きさに起因しています。その中でも、保育園に通う保護者にとって問題の1つとなっているのが、登園時の荷物の多さと紙おむつの記名作業です。
多くの保育施設では、毎日5枚から7枚ほどの紙おむつを持参する必要があり、これらの使い捨て紙おむつすべてに名前を書く必要があります。仮に1枚あたり5秒かかるとすると、1年間で約2時間を費やしている計算になります。この作業に加え、おむつ切れの心配や忘れ物への申し訳なさなど、精神的なストレスも積み重なっています。
この課題は保護者だけでなく、保育現場にも負担をかけています。従来の持ち込み方式では、保育士は園児ごとに保護者が持参したおむつの残数を気にしながら管理し、履かせ間違いがないよう注意し続けることへのストレスを抱えています。
3. 財政負担ゼロで実現する「手ぶら登園」の導入効果

こうした課題を解決するために、BABY JOB社が提供しているのが、保育施設向け紙おむつサブスクリプションサービス『手ぶら登園』です。
このサービスの最大の特徴は、自治体や保育施設に費用負担がかからない仕組みであることです。
保護者が任意で契約し、月額料金をBABY JOBに直接支払うため、保育施設側で集金などの手間も発生しません。
【保護者への効果】 広島市での実証実験では、利用した保護者のうち97%(軽減した89%+少し軽減した8%)が負担軽減を実感しました。最も多かった要因(50%)は「準備をする手間が減った」ことであり、記名や購入、鞄に詰める作業が軽減されたことがわかります。
【保育士への効果】 保育士にとっても負担が大幅に削減されます。本サービスを利用すると、おむつをサイズごとに管理するだけで済み、残数を心配するストレスから解放されます。保育士222名を対象とした調査では、6割以上が週に30分から1時間程度のおむつに関する作業時間が削減できたと回答しており、業務ストレスが「とても減った」「減った」と答えた人は合わせて約93%に上っています。削減された時間は、子どもたちと関わる豊かな時間につながります。
4. 官民連携による多角的な課題解決事例

この「手ぶら登園」サービスは、既に公立園の導入自治体が130以上、導入施設数は8,000施設を超える実績を誇ります。
具体的な導入事例として、以下の自治体が挙げられます。
- 宮崎県高原町:急速な出生数減少に直面する中、「子育て支援連携協定」を締結し、町内すべての保育施設(認可・認可外を含む)で導入。高原町は、災害時に保育施設に備蓄されているおむつを避難所等へ優先的に提供できる点を高く評価しました。
- 愛知県東浦町:高原町と同様に「子育て支援連携協定」を締結し、町内の公立・私立認可園全園で導入。この調印式がメディアに取り上げられたことで、地域のシティプロモーションやSDGs学習の機会創出にもつながりました。
- 静岡県磐田市:随意契約により公立保育施設(6園)で導入。自治体の予算を使わない民間サービスであるため、行政手続き上のハードルが下がり、迅速な導入につながるスキームとして評価されています。
自治体における事業者選定方法の参考データとして、BABY JOBの受注実績では、随意契約が88.3%を占めています。これにより、行政は長期の予算化プロセスを経ることなく、迅速な課題解決に着手することが可能です。
5. 当日の質疑応答紹介

勉強会では、地方議員の皆様から導入にあたっての具体的な質問が寄せられました。
Q:自治体や保育施設側に初期費用やランニング費用は発生しますか?
A:初期費用、システム登録料、解約費用は一切かかりません。 利用料は保護者様がBABY JOBに直接お支払いいただく「月額利用料のみ」で運用可能です。
Q:導入前に実証実験を実施する場合、費用はかかりますか?
A:実証実験は基本的に無料で実施しております。費用はBABY JOB側で負担いたしますので、自治体や保護者の方々に費用が発生することはありません。
Q:政令市や大規模都市特有の導入課題はありますか?
A:横浜市では公立・私立合わせて300園ほど導入実績があり、政令市でも導入は進んでいます。
Q:私立保育園や認可外施設への導入はどのように進めますか?
A:公立園は保育課などと協議を進めますが、私立園は法人ごとや園ごとの判断となります。
連携に向けた次なる一歩
「手ぶら登園」は、保護者、保育士、子どもたちにとっての「三方よし」を実現する施策です。保護者の「時間貧困」を解消し、保育士の業務負担を減らすことで、結果として保育の質を向上させ、子育てしやすい街としての魅力向上にも直結します。
行政だけで子育ての課題を解決することが難しい時代だからこそ、実績と専門性を持つ民間企業との官民共創が不可欠です。
しかし、地域特有の行政手続きや議会内での合意形成には、専門的な知見が必要です。BABY JOB様は、多数の自治体との連携実績から、議員様の「水面下の提案」や「行政担当課・首長・副首長との三者面談」の設定といった、具体的な次のアクションを強力にサポートできる体制を整えています。
ぜひこの機会に、子育て支援の実現に向けて、実績とノウハウを持つ専門企業との個人面談の場をご活用ください。貴自治体で抱える固有の課題や、効率的な導入ステップについて、より踏み込んだ協議を行うことで、具体的な施策実現への道筋が見えてくるはずです。
