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こども計画を作るときのポイントは?~こどもの声をひろい上げるための4自治体の事例~

「こども計画を作るときのポイントを知りたい」

こども基本法の第11条では、こども施策については、対象となるこどもや保護者等の意見を反映させるために必要な措置を取るよう明記されています。

でもこどもの意見を集めるのはなかなか大変なことです。

この記事では、こどもたち(保護者も)の意見をすくい上げる工夫をしてきた、4つの自治体の事例をご紹介します。

こども基本法説明資料│こども家庭庁

 

都道府県こども計画・市町村こども計画とは?

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こども大綱をベースに、都道府県や市町村でこども計画を立案していきます。

こども基本法第10条に「都道府県・市町村は、こども大綱を勘案して、こども施策についての計画を定めるよう努めるものとする」とあり、それぞれの自治体でこども大綱を考慮した計画を策定します。

さらに、こども基本法第10条4、5には「都道府県こども計画・市町村こども計画 は、こども・若者育成支援推進法、こどもの貧困対策の推進に関する法律、その他の法令 の規定により地方公共団体が策定する計画と一体として策定することができる」ともあります。

こども基本法説明資料│こども家庭庁

 

アンケート・ヒアリングで自治体ごとの課題を見つける

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こども計画はそれぞれの自治体の地域特性を反映させる必要があります。

こどもたちや保護者のニーズを知るためには、アンケートやヒアリングが有効です。

対象は「こども」なので、アンケートやヒアリングにはいくつか配慮が必要です。

アンケート用紙であれば、
・こどもの年齢に応じた分かりやすい文章にする(ルビ、小学生を対象にしたアンケートなら小学3年生くらいまでの漢字のみ使用、政策→取組など分かりやすい言葉に言い換える など)
・イラストや図説を取り入れる
など。

ヒアリングやインタビューでは、
・意見を言うことは任意であることを伝えること
・意見を表明したことにより不利益を被ることはないことを伝えること
・ファシリテーターがこどもたちが話しやすい雰囲気を作る
・聴く側のおとなが、こども・若者の視点で一緒に考える姿勢を持っていることを伝える
・「グラウンドルール」(意見を聴く場のルール)を決める(例:意見がまとめられないときは「パス」と言ってOK)
など

こども・若者の意見の政策反映に 向けたガイドライン│こども家庭庁

こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン<概要版(取組ポイント)│こども家庭庁

【高知市四万十市】回収方法の工夫で81%の回収率

高知県四万十市では、「こども・子育て支援事業計画」策定に当たり、「子育て支援に関するアンケート調査」を実施しました。

対象は市内在住で、「未就学児」がいる家庭(未就学児童調査)と「小学校児童」がいる家庭(小学生児童調査)です。

四万十市では、アンケートは郵送・保育施設や学校での回収にしました。未就学児の調査用紙の回収率は77%、小学校児童は85%、両方の平均は81%という高い回収率を実現できました。

自治体こども計画策定のためのガイドライン│子ども家庭庁

 

【福岡県宗像市】ヤングケアラーの発見を目的としたアンケートの工夫

宗像市では「第2期宗像市こども・子育て支援事業計画」の次期計画策定にあたって3つのアンケートを実施しました。

そのうちの1つ「こどもの生活に関する実態調査」では、貧困家庭やヤングケアラーの発見を目的として小学5年生と中学2年生の児童生徒と保護者が対象です。

センシティブな内容であり、2点配慮がされています。

●調査名からは貧困家庭やヤングケアラーの発見と分からないようにした。

●児童生徒の質問には、授業の一環としてアンケートを実施して、保護者の影響を受けないようにした。

自治体こども計画策定のためのガイドライン│子ども家庭庁

 

【秋田県湯沢市】回答しやすいようタブレットを使用

湯沢市では、市内の全中学生を対象に、「こどもの生活アンケート」で家庭内でのお困りごとを調査しました。

アンケートでは、虐待、ネグレクト、ヤングケアラーなど、支援が必要な生徒を発見することが目的です。

工夫したのは以下2点です。

●回答しやすいよう、アンケートのタイトルに配慮。「ヤングケアラーアンケート」などの直接的な表現は避けた。

●家庭の状況を問う内容のため、学校のタブレット端末で回答する方式。最後には相談窓口を紹介した。

アンケートの結果から支援が必要な生徒については学校や教育委員会と情報共有をしています。

このアンケートから、ヤングケアラーと判断できる家庭や、支援を必要と思われる家庭に、家計支援、相談支援などの支援につながっています。

自治体こども計画策定のためのガイドライン│子ども家庭庁

 

【愛知県名古屋市】こどもたちから直接ヒアリングできる場の設定

名古屋市では、「こどもの社会参画のよりどころとなる指針」を策定し、市の職員がこどもの意見を聞く際の留意点、こどもの意見を聞く方法などをとりまとめています。

小学生から高校生までのリアルな声をひろいあげるため、「なごっちフレンズ」という仕組みを活用しています。

なごっちフレンドとは、地元名古屋のことを考え活動するこどもたちを応援する情報提供の制度です。

なごっちフレンドの仕組みを活用して、イベントで直接こどもの意見収集できる機会を作り出す工夫をしています。

名古屋のことを考え活動するこども「なごっちフレンズ」大募集!│名古屋市

こども・保護者からの意見をフィードバック

集まった意見がどのように扱われ、どのような結果となったのか、こどもたちに分かりやすく伝えると共に、そのプロセスを地域に発信していきます。

そしてその集まった意見をもとに、それぞれの都道府県や市町村でこども計画を立案していきます。

自治体こども計画策定のためのガイドライン│子ども家庭庁

 

こども計画の基本は「こども」のリアルな声

この記事では、こども計画に必要なこどもたちの声の集め方を中心に、四万十市、宗像市、湯沢市、名古屋市の事例をご紹介しました。

こどもや保護者など、実際の声を聴くことが大切です。

大人同士との会話と違い、こどもの声を聴くためにはコツやポイントがありますが、大人が気が付かなかった視点がたくさん出てくることでしょう。

ぜひお住まいの自治体での参考になさってみてください。