地元食材で地域を元気に!自治体の事例に見る地産地消へのアプローチ
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国を上げた地産地消推進への呼びかけを受け、お住まいの地域でも取り組みが検討されていることと思います。この記事では、自治体による地産地消の事例や、向き合うべき課題について詳しく解説しています。ぜひ最後までお読みいただき、地域全体で連携した地産地消を実現する際の参考としてご活用いただければ幸いです。
加速する地産地消への取り組み
地域で生産された農林水産物を地元で消費する「地産地消」の取り組みは、もともと地域内で自発的に広がっていた活動であり、産地直売所や農産物加工など、さまざまな形態で行われていました。しかし、生産者の減少、商品購入者の伸び悩み、生産のばらつき、施設の整備不足などの課題が浮かび上がり、地域内での消費が十分に実現できていない状況が続いています。
2021年に地産地消関係法令が強化されたことにより、地域内の食の循環をさらに活発化させるよう呼びかけられています。地産地消が実現すれば、流通経費削減や消費の拡大、増収、環境負荷低減など多岐にわたる好影響が期待され、生産者・消費者ともに直接的なメリットが享受できます。また地域活性化やSDGsの視点からもポジティブな効果があり、地産地消は自治体にとって重要な施策のひとつだと言えるでしょう。
具体的な取り組みとしては、直売所や量販店、観光施設での地場農産物の販売、学校給食や福祉施設への提供、外食や加工関連での地場農産物の活用が挙げられます。地産地消の流れに乗り、地域コミュニティ全体で協力し合いながら仕組みを築いていくことが求められています。
北海道足寄町の事例 ~ふるさと給食~
北海道足寄町の小・中・高校では2017年からふるさと給食月間を設け、町産食材を豊富に使用した給食を提供しています。この取り組みでは生徒たちが生産者の農地を訪れ、生育状況を視察したり、収穫作業を手伝ったりするなどし、地元生産者との連携を促す一助にもなっています。この結果、約12カ所の新しい生産者とのつながりが生まれ、地域経済にも寄与しています。
ふるさと給食の効果は、経済面だけでなく食育面でも成果が表れています。特産品であるラワンブキを使用した、抹茶ケーキやパスタなど新しいメニューの開発を進め、食材の楽しみ方を提案しています。また、本来給食には使われない高級食材を、農水省支援事業を活用しながら提供し、町産の羊肉を使用した「羊まるごとカレー」や、町産短角牛の給食使用は前例のないメニューとして好評を博しました。
足寄町のふるさと給食は道産食材の使用率が63.7%であり、そのうち足寄町産食材は26.5%を占めています。ふるさと給食が、地域振興と子どもたちの食育に大きく寄与していることがお分かりいただけるはずです。
静岡県富士市の事例 ~食材納入システム~
静岡県富士市は「食材納入システム」を通じて学校給食で地域の農産物を積極的に活用しています。この取り組みは、2006年に富士市学校給食地場産品導入協議会によって始まり、地域の発展や市場の活性化、そして食育の促進を目指しています。
学校給食における地場産品の導入には「価格・規格・量」といった課題があり、従来の仕組みでは特定の農家や一部の業者だけに負担がかかる構造でした。
そこで富士市は、地元の卸売市場での地場産品の取扱量を調査し、学校給食に供給可能な量を確認した上で、農産物の納入時に市場を通す導線を構築しました。この方法により、負担が個人に集中することを防ぎつつ、安定した供給が可能な仕組みが整いました。
農業者には生産物のアピールの場となり、流通業者は永続的な取引きが見込まれ、学校給食にとっては安心して地場農産物を注文できる、三方よしのシステムとして確立されました。
富士市内の学校給食における県産品の割合は、2006年時点で28.6%でしたが、2011年には41.9%まで向上。この成功例は高く評価され、他の地域からも注目を集めました。
地産地消へ向けて自治体が取り組むべきこと
地産地消の取り組みが進む中、その実践にはさまざまな課題が存在します。生産者の負担増加や食材の売れ残り、食品廃棄などの問題は避けて通れません。これらの課題に対処するためには、地域全体での協力が不可欠です。
まず安定した流通を確保するためには、給食施設や外食施設との連携を優先的に進めることが大切でしょう。そして過剰供給を防ぎつつ消費者の要望にも答えるため、農家や関連施設との密な連携をもって需要と供給を調整することが重要です。
生産者に対してもブランディングやマーケティングスキルなど、新しい視点から消費を生み出す能力が求められるため、必要な知識を習得できるような支援が必要です。
永続的な地産地消を実現するためには、生産者に一方的な負担をかけないよう、自治体や地域全体で連携し、総合的なアプローチを取ることが重要です。
地産地消で流通とコミュニティの活性化を
この記事では、北海道足寄町と静岡県富士市の事例をもとに、地産地消への取り組みについて解説してきました。生産者と消費者の交流や、特定の負担をかけずに市場を維持する取り組みを参考にし、ぜひお住まいの地域のヒントとしていただければ幸いです。
【参考資料】
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/chisan_chisyo/attach/pdf/torikumi-4.pdf
https://www.town.ashoro.hokkaido.jp/kyoiku-iinkai/kyoiku-tetuzuki/kyushoku-center/5-2.html
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/chisan_chisyo/attach/pdf/hyosyo-15.pdf