こどもの、こどもによる、こどものための選挙 ~「ちがさきこども選挙」事例紹介~
- 若年者の投票率がなかなか上がらない
- 選挙をより身近に感じてほしい
このようなお悩みはありませんか?
本記事では、
- こども選挙とは?
- 事例紹介 ~キッズデザイン最優秀賞「ちがさきこども選挙」~
- 参加者の声・今後の課題
について紹介します。
こども選挙の事例を知ることで、選挙をより身近な存在にするヒントが生まれることでしょう。ぜひ最後までお読みください。
こども選挙とは?
こども選挙とは、こども達を対象とした市民発の模擬選挙プロジェクトです。
発足のきっかけは、
「こども達は有権者ではないが立派な主権者であり、一人ひとりが未来について考え、その声を政治に届けることが大切だ」
という発起人の想いがありました。
「こども達に未来について考える機会が現在ないのであれば、こども達が社会と関わる空間を、自分達市民が生み出せばよい」
こんな想いから始まった市民運動が、「こども選挙」のきっかけとなりました。
全国へ広がる「こども選挙」の輪
神奈川県茅ケ崎市で実施された初のこども選挙を皮切りに、全国の自治体での導入が相次いでいます。
- 神奈川県茅ケ崎市(2022年10月実施)
- 埼玉県さいたま市(2023年4月実施)
- 鳥取県鳥取市(2023年4月実施)
- 香川県高松市(2023年4月実施)
- 神奈川県海老名市(2023年11月実施)
- 神奈川県藤沢市(2024年2月実施予定)
- 長崎県壱岐市(2024年4月実施予定)
- 愛媛県新居浜市(2024年11月実施予定)
事例紹介 ~キッズデザイン最優秀賞「ちがさきこども選挙」~
全国初のこども選挙となる「ちがさきこども選挙」は、2022年10月30日に投票が実施されました。そして2023年9月、第17回キッズデザイン賞にて最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞しました。
公募で集まったこどもたち15人と、実行委員、ボランティアが一丸となり、選挙に向けて2か月に渡って取り組んできた内容を紹介します。
①こども選挙委員の募集
- ホームページやタウンニュースを通じて、茅ケ崎市内の小学生~高校生から公募
- 15人のこども選挙委員が決定
②保護者への説明
- プログラム説明
- 公職選挙法に違反しないよう、「こどもの選挙運動禁止」「人気投票の事前公表禁止」への注意喚起
③ワークショップ&民主主義勉強会
- 茅ケ崎の「好きなところ」「残念なところ」「解決策」を、こども自らが考えメンバーに共有
- 民主主義に関する講義
④市民活動家からの講義
- 3組の市民活動家から、茅ケ崎について学ぶ
⑤候補者インタビュー作成
- 50の質問案から、3つの質問をこども自ら選出
- 候補者へのインタビュービデオ制作
⑥投票所の開拓
- 市内11か所の店舗、施設による協力
⑦告知ポスター、チラシ配布
- 市内に5000枚のチラシとポスターを配布
⑧投票(投票所での投票、ネット投票)
- 投票者:小学生~17歳のこども
- こども選挙委員、実行委員会と約60人のボランティアによる運営
- 投票結果は市長選結果発表後に公開
⑨開票結果
- 計566人の子供が投票(投票所での投票399人、ネット投票167人)
- 候補者へのメッセージ総数359通
⑩候補者へメッセージを届ける
- 集まったメッセージを候補者へ手渡し、または郵送
参加者の声・今後の課題
投票した子供からは、
- 「大人になったら絶対投票しに行きたい」
- 「選挙は日本や地域の未来を変える大事なものだと感じた」
といった、主権者意識の芽生えを感じとれるコメントがありました。
また投票した子供の保護者からも、
- 「多くの子供が模擬選挙を経験できれば、世の中は変わるのではと感じた」
- 「自分達の街や将来を考えるきっかけとして良い機会となった」
と好意的な声が多くあがりました。
一方で、運営上の課題として、
- 実施のための労力とコストへの負荷が大きい
- 投票への呼びかけ、告知が難しい
- 行政や学校との連携不足
があげられました。
こども選挙で、選挙をより身近な存在に
本記事では、全国初のこども選挙「ちがさきこども選挙」の事例をもとに、得られた知見や今後の課題について紹介しました。選挙を身近に感じてもらうための施策のヒントとして、ご活用ください。
【参考資料】