自治体におけるSNS開設と運用|注意点やポイントを解説

issues(イシューズ)の米久です。

現在多くの自治体がSNSを活用し情報を発信していますが、「SNS運用についてよく分からない」「炎上が心配」と不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、そもそもなぜ自治体がSNSを運用する必要があるのか、メリット・デメリット、注意点や担当者向けチェック項目をご紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、自治体が安全で適切なSNS運用ができるよう参考にしていただけますと幸いです。

 

なぜ自治体がSNSを運用する必要があるのか

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インターネット上には、「利用者のニーズに応えた話題性はあるが真偽の不確かな情報」がいくつも存在します。新型コロナウィルスの医療、健康に関するデマや、災害時のフェイクニュースなどは記憶に新しいのではないでしょうか。特に緊急時は、そのニュースに対し世間全体が注目している傾向が強いです。何か力になりたい、助けたいという善意や、不安感や怒りなどの不の感情が集まることで「いいね」「リツイート」等の機能で一気に拡散されてしまいます。災害時のデマは人命に関わる可能性もあります。こうした問題を防ぐためにも、自治体は正しい情報を市民が得られやすい方法(媒体)を活用し、発信することが非常に重要になります。

また、現在はインターネットを通して分からないことや興味のあること等、思い立ったらどんなことでもインターネットで調べることができる時代です。SNSによる情報収集が一般的になった世の中で「情報がない」ことは市民の不満につながります。こうした背景から、自治体のSNS開設・運用をする必要性が高まっています。

 

自治体のSNS運用メリット3つ

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●災害等の緊急時や防災の正しい情報を発信

災害大国の日本は、地震や津波、洪水、土砂災害などの自然災害が多く発生します。災害が発生したとき、住民に迅速且つ正確な情報を届けることができるのかが人命を救う鍵となります。災害時に、防災無線やエリア放送、自治体ホームページなどで情報を発信するだけでは、情報の空白の時間や放送の聞き逃し、放送を見れない状況の人、検索に手間取るなどの原因により避難等の遅れにつながることが考えられます。

しかし、SNSを活用することで、自治体からの緊急情報のプッシュ通知で住民のスマートフォンに即座に情報が届くことや、被害状況や避難経路などを写真や動画、地図などと共にリアルタイムで発信することが可能です。また、日頃から災害対策に関するコンテンツを提供することで、住民の防災意識を高める効果も期待できます。SNSが普及した現在、自治体は災害、防災における多様な情報伝達手段が求められるでしょう。

 

●観光増加等の経済的影響

SNSの強みは、手軽に全世界へ情報を発信することができ、拡散されやすいため興味・関心のなかった新規ユーザーの目にも留まりやすいことです。地域の魅力が詰まった写真やショート動画などの視覚的な発信は、国や言語が違えど相手にインパクトを与えることができ、観光客やインバウンド集客につながります。

 

●移住を促進

コロナ禍の影響で、テレワークやフリーランスなどの新しい仕事のスタイルが確立された現在、都市部を離れ地方移住する人が増加しています。移住を検討する際に様々な情報をSNSを通じて収集することが一般化しているため、自治体の魅力的な取り組み(子育て支援や移住支援金等)をSNSで発信することは、移住を促進する効果的な方法の一つだと言えるでしょう。

 

自治体のSNS運用デメリット2つ

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●業務量増加による負担

SNSは幅広い層の人が活用しており、その手軽さから窓口や電話よりも問い合わせしやすいツールです。市民の困りごとなどをリアルタイムで把握できるため、今後の施策の参考になる利点があります。一方で、緊急性の低い相談が増加することで支援を必要とする人に適切な対応をすることができないなど、業務量増加による対応不足や職員への負担が危惧されます。

 

●炎上やなりすまし等のSNS特有のトラブル

炎上とは、インターネット上で火が燃え上がるように誹謗中傷や批判のコメントが殺到する状態を指します。自治体がSNS運用をする上でのメリットの中で、情報発信が簡単にできることと拡散性の高さを挙げましたが、万が一炎上した場合は瞬く間に広まり、匿名による誹謗中傷や悪質ななりすまし等で自治体や地域のイメージに深刻なダメージを与えることになります。

自治体がSNSを利用する際、炎上等のリスク回避や万が一発生した場合の対処法を定め、業務量の増加に対しどのように対処するのかが課題となります。

 

投稿担当者が気にすべきポイント

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●運用する目的を確認する

SNSを活用することで自治体や地域に様々なメリットが期待できますが、運用する目的を明確にすることで、その有効性をより十分に活用できます。「移住の促進のため」「観光客を増やすため」など、なぜSNSを運用するのか、目的をはっきりさせておくことで戦略的、体系的な意義のある活用が可能となります。

 

●炎上対策や異動を見越した運用ルールを定める

一旦SNS上に公開した情報は、削除をしたとしても転送やコピー等で半永久的に残るなど、投稿担当者はSNSの特性を十分に理解した上で運用する必要があります。意図せずにユーザーの気持ちを害してしまうことや情報拡散スピードの速さなど、すぐに大きなトラブルにつながりやすいことから事前にSNS運用にあたってのガイドラインを定めておくと良いでしょう。京都市や御宿町、葉山町では、SNSの開設及び運用する場合に適用するとして「ソーシャルメディアガイドライン」を策定しています。また、担当者が異動することで一時的な混乱やミスが発生しないよう、運用ルールづくりについても気にするべきポイントの一つです。

<参考例>
京都市ソーシャルメディアガイドライン 
御宿町ソーシャルメディア活用ガイドライン
葉山町インスタグラム公式アカウント運用方針

 

●偏りのない投稿を心がける

公正性または中立性に疑義を生じさせる恐れのある情報の発信になってはいないか、投稿内容に配慮する必要があります。例えば、SNS上でもらったコメントに対し返信する人としない人が存在してしまうことや、ある店や商品だけを贔屓しているように受け取られることがないよう、一貫性のある平等な姿勢や発言を心がけましょう。

 

まとめ|担当者が確認するべきチェック項目

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最後に、自治体がSNSを開設・運用するにあたり担当者が確認するべき項目を下記の通り記載します。

 

  • なぜSNS運用をするのか目的が明確である
  • 誤字脱字等のチェック
  • 誤った情報、不適切な発言がない
  • 公正性、公平性が保たれている
  • URL等の遷移先が正しい
  • 画像と文章の整合性がとれている
  • 著作権等コンプライアンス違反の危険性がない
  • ソーシャルメディアガイドライン、運用ルールに遵守している

上記は参考までに地域の状況に合わせてカスタマイズをするなどして、安全なSNS運用をしていただくためのヒントとなれば幸いです。