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女性議員の妊娠・出産のルールはどうなっている?

issuesの高松です!

「女性議会の妊娠・出産ルールはどのようになっている?」

「第5次男女共同参画基本計画」を受け、標準会議規則で産前産後の休業について明文化されました。

一般企業同様、女性議員にも母子の健康を守るルール作りは大切です。

この記事では女性議員の妊娠・出産ルールと自治体の会議規程の整備状況をご紹介します。

まだまだ少ない女性の地方議員

女性の有権者は全体の約52%。

地方議会議員に占める女性の割合はまだまだ少なく、以下の通りです。
・特別区議会 30.8%
・都道府県議会 11.8%
・市議会 17.4%
・町村議会 12.2%

女性が1人もいない地方議会もあり、
・市議会 24
・町村議会 233
となっています。
(いずれも2022年12月31日時点)

地方議会における両立支援に係る会議規則の整備状況について│総務省 2023

議員の産前産後休業は労働基準法と同じ産前6週産後8週

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2021年標準会議規則の改正で、女性議員の産前産後休業が明文化されました。

「標準」都道府県議会会議規則では、以下の通り明記されています。

第2条 
2 議員が出産のため出席できないときは、当該出産の予定日の6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)前の日から当該出産の予定日(議員が出 産したときは、当該出産の日)後8週間を経過する日までの範囲内で、出席できない期間を明らかにして、あらかじめ議長に届け出ることができる

「標準」市議会会議規則、「標準」町村議会会議規則も同様の内容が書かれています。参考にしているのは労働基準法第65条です。

「標準」町村議会会議規則の一部改正について(通知)│総務省 2021

議会の欠席には欠席届の提出が必要

議員の場合、欠席届が必要になります。

・1回でまとめて出しても、1回ずつ都度でもいいこと
・出産が遅れて産前の欠席期間が6週間を超えても産前休暇として扱い、新たに欠席届を出すこと
などそれぞれの議会で明文化されています。

「標準」町村議会会議規則の一部改正について(通知)│総務省 2021

 

議員の出産・育児での欠席が認められるようになった背景

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2020年12月25日に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」には、政治分野における女性の参画拡大に向けた地方議会の取組について書かれています。

• すべての市区町村議会において出産が欠席事由として明文化されること
• 出産に係る産前・産後期間にも配慮した会議規則の整備や育児・介護等の欠席事由としての明文化を促進させること
• 会議規則における出産・育児・介護等に伴う欠席規定の整備状況等を調査し見える化等を行うこと

これを受けて、2021年1月に女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会に向けて、標準会議規則の改正の検討を要請しました。

それぞれ議会で2021年1月下旬から2月上旬にかけ標準会議規則が改正されました。

地方議会における両立支援に係る会議規則の整備状況について│総務省 2023

 

標準会議規則改正から自治体での整備が進んだ

標準会議規則の改正前(2020年)と改正後(2023年)でどのように変化したのか、総務省が「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」について毎年調査しています。

都道府県議会(N=47)

●本人の出産
(明文規程あり) 100%(2020年)→100%(2023年)

●配偶者の出産 
(明文規程あり) 31.9%(2020年)→34.0%(2023年)
(運用上認められている) 17.0%(2020年)→17.0%(2023年)

●育児
(明文規程あり) 25.5%(2020年)→93.6%(2023年)
(運用上認められている) 17.0%(2020年)→2.1%(2023年)

※調査時点 2023年は7月1日時点、2020年は4月1日時点
※対象議会数 都道府県議会:47

地方議会(N=1741)

●本人の出産
(明文規程あり) 81.8%(2020年)→93.9%(2023年)
(運用上認められている) 3.3%(2020年)→1.8%(2023年)

●配偶者の出産 
(明文規程あり) 3.8%(2020年)→83.5%(2023年)
(運用上認められている) 27.8%(2020年)→5.5%(2023年)

●育児
(明文規程あり) 3.0%(2020年)→83.0%(2023年)
(運用上認められている) 26.5%(2020年)→5.5%(2023年)

※調査時点 2023年は7月1日時点、2020年は4月1日時点
※対象議会数 市区町村議会:1,741


地方議会における両立支援に係る会議規則の整備状況について│総務省 2023

出産・育児で休業する当事者の思い

九州大学が出産・育児を経験した議員に行ったインタビュー調査から、会議規程に「出産」が明記されたことで、周囲からの視線が変わった事例をご紹介します。

会議規則の改定で、周りから出産・育児が認められるようになった

Aさん(1人目の出産では議会の出産規程はなかった。2人目の出産では規程があった)

・1 人目のときは、産んだだけだったけれども、2 人目のときには認知された感じ。
・1人目は会議にも委員会にも出て、可能な限りおっぱい飲ませて…としていた。「わたくしごとで迷惑かけてすいません」という気持ちが強かった。
・2人目は赤ちゃんを議会に連れてきて、ベビーシッターさんに見てもらいながら委員会に出て、間に授乳していた。そういう自分が委員会に出てもみんな認めてくれて、「無理しなくていいのよ」「負担ない?」など、みんなの許容のしかたが1人目と違った。

地方議会議員の妊娠・出産への対応に関する考察 : インタビュー調査の結果から│九州大学 2019

一般企業と同様に、議員にも妊娠・出産ルールは必要

この記事では女性議員の妊娠・出産ルールと、会議規程の自治体の整備状況をご紹介します。

妊娠・出産の休業が明文化されたことで、全国的の議会での体制作りが整ってきました。

しかし妊娠・出産は女性だけのものではなく、男性議員にも関係することです。出産後のサポートには男性の協力も必要になってきます。

ぜひお住まいの自治体での参考になさってみてください!