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藤枝市の官民連携空き家対策|地域コミュニティの再生の戦略

issuesのにしのです。
全国の地方自治体が現在直面している空き家問題は、単なる不動産だけの問題ではなく、地域経済やコミュニティにも大きな影響を与えます。お住まいの地域でも空き家問題に直面しているところは多いのではないでしょうか。この記事では、静岡県藤枝市が行っている官民連携の空き家対策に注目していきます。移住体験ツアーやDIYイベント、逆空き家バンクなどの成功事例を参考に、空き家問題の対策について考えていきましょう。ぜひ最後までお読みいただき、地域の課題解決に役立ててください。

静岡県藤枝市の事例 ~空き家ゼロにサポーター~

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藤枝市では、2019年8月2日に「藤枝市空き家ゼロにサポーター」という官民連携の取り組みを開始しました。これまで藤枝市では空き家問題の相談会を開催してきましたが、行政だけでは具体的な対応や取り組みにつなげにくいという課題がありました。そこで、官民連携の仕組みを構築し、行政や地域住民、事業者が協力して空き家問題に取り組み、より具体的な成果を上げる仕組みづくりを行いました。

「藤枝市空き家ゼロにサポーター」は、空き家所有者の相談に応じ、適切なサポーター業者を紹介するとともに、サポーター業者同士の連携を図ります。これにより、再生や流通につながる取り組みが加速し、地域の活気が徐々に取り戻されています。

2024年1月時点で45の事業者が参加し、一体となって空き家問題に取り組んでいます。藤枝市が行った官民連携の取り組みは、地域の課題に対する新たな解決策を生み出す方法として、他の地域でも参考になる成功モデルとなっています。

リノベ物件で行う「移住体験ツアー」で移住者誘致

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静岡県藤枝市は、首都圏からのアクセスが良く、気候が温暖で自然も豊かな立地に位置しています。この魅力的な環境が、首都圏の住民たちにとって魅力的な移住先として注目されています。その中で、藤枝市は空き家再生と移住促進の取り組みを並行して行っています。

リノベーションされた物件を対象にした移住体験ツアーは、新築価格の約半額で物件を購入できる可能性があると首都圏からの移住希望者から大きな関心を集めています。さらに藤枝市は移住を促進するため、最大170万円の補助金を提供しています。この補助金は購入、改修、引越し費用に使え、移住者の負担を軽減します。

具体的な成果として、藤枝市では移住体験ツアーが始まってから3年間で278人の移住者が集まりました。これにより、空き家が減り、地域に新たな人々が定住することで地域経済にもプラスの影響が生まれました。業者にとっても空き家再生が積極的に行え、市の税収増にもつながっています。

藤枝市の取り組みは、空き家再生と移住促進をシームレスに組み合わせた独自のアプローチです。この取り組みは、地域の活性化や人口減少対策において有効な手法であると言えるでしょう。

「DIYイベント」で空き家所有者の意識変化を

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空き家ゼロにサポーターでは、空き家の活用を促進するためのDIYイベントを定期的に開催しています。このイベントでは、参加者が実際に手を動かしながら、キャットウォークやピザ窯、漆喰塗り、ドッグランづくり、床の張り替えなどの制作体験を通して、空き家の活用方法を学びます。

DIYイベント体験は単に買い手の関心を集めるだけでなく、所有者側の意識変化にも寄与しています。ビフォー&アフターの変化を具体的に体感することで、所有者は空き家に対するマイナスイメージを払拭し、「空き家は再利用可能な資源なんだ」という認識を持つようになります。

所有者が自らの空き家の補修や売却に意欲的に取り組むことにつながり、空き家問題解消の一助となっています。このように、DIYイベントは所有者側の意識変化に大きな影響を与える大きなキッカケとして役立っています。

逆空き家バンク「リ・バース」で買い手側のニーズを拾う

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逆転の視点で空き家を活用するための施策として、藤枝市は逆空き家バンク「リ・バース」を導入しました。このシステムでは、空き家を求める人々が自分のイメージや要望を登録し、それに適合した物件が提案されます。従来の空き家バンクとは異なり、買い手のニーズが優先され、藤枝市がそのマッチングをサポートします。

従来の空き家バンクでは、空き家情報の登録により場所が公開されるため、防犯上の懸念がありました。さらに、かつての住人が知らない人に売却する際の不安も指摘され、登録数の伸び悩みが見られました。それに対し、リ・バースでは、買い手の希望条件のみが登録されるため、防犯上の問題が解消され、売り手側も売却後の用途が事前に把握できるため、安心感が生まれます。

リ・バースの利用希望登録には、空き家を改修して宿泊施設や塾、私設図書館、カフェなどに転用したいという事業用途への希望も多く見られます。これらが実現すれば、空き家活用は地域経済の活性化につながることが期待されます。

リ・バースによって、所有者は安心して空き家を手放せる環境が整い、購入希望者は自分にピッタリの空き家物件が見つけられます。藤枝市では、首都圏での移住促進イベントなどでリ・バースを積極的に紹介し、認知度向上に努めています。

藤枝市の空き家対策に学ぶ成功の秘訣

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この記事では、静岡県藤枝市の空き家対策に焦点を当てて解説してきました。藤枝市では、地域の活性化や新たなコミュニティ形成を促進するために、空き家問題に対する積極的な官民連携を展開しています。

この先駆的な取り組みの成功要因は、住民・移住者・行政・業者すべてがWinWinの関係を築く仕組みを構築していることです。空き家問題を解決するだけでなく、地域コミュニティの再編成や新たな価値の創造にも注力し、相乗効果をもたらしました。

空き家対策は自治体だけでは解決できない課題です。藤枝市のように民間との連携を強化し、プロフェッショナルなサポーターを巻き込んだ一枚岩の施策が求められています。

この記事を通じて、藤枝市の成功事例が皆さまの地域での空き家問題解決のヒントとなり、地域発展のキッカケとしていただければ幸いです。

【参考資料】
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/toshikensetsu/akiya/oshirase/18659.html
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/toshikensetsu/akiya/gyomu/hojyokin/1524025341858.html
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/soshiki/toshikensetsu/akiya/gyomu/akiyabank/20621.html